アララギ博士の父親も随分個性的のようだ。
こんにちは兄のサトシです。早速ですがアララギ博士の父親が倒れてしまい物凄い大事になってきてます。
「…なんだ、腹が減ってただけだったのか」
『ピィカッチュ』
『ああそうだな。サトシに勝るいい食べっぷりだ』
「まあお腹空いてたらお兄ちゃんみたいにいっぱい食べるよね」
『カゲカゲ』
『ピッチュゥ』
「どういう意味だよお前ら」
アララギ博士の父親が電気石の洞穴から突然現れて、そしていきなり倒れたものだから何かあったのではないかと皆が大慌てで治療室へ運び込んだ…けれどただ単に腹が減っていたということを知り、皆が安堵したし、苦笑もした。そしてデントとルカリオが作ったサンドイッチを無我夢中で食べていて、よっぽど腹が減っていたんだということを知る。ただし妹やルカリオ達が俺と似たような食べっぷりだと言ったのは解せぬ。ピカチュウも納得しているように首を縦に振って頷いているし…。
そしてその後、アララギ博士からその父親についての話を教えてくれた。父親は伝説と呼ばれるポケモンを研究している研究者なのだということを知ったアイリスはゼクロムやレシラムも研究しているのかどうか質問する。するとアララギ博士がそれに頷いて答えてくれた。なるほど、確かにゼクロムやレシラムも伝説だったなと俺は納得した。随分あっさりとした出会いだったから普通のポケモンだと思ってたからな。
「ところでパパ…こんなところで何をしてたのよ」
「おお!実はな…英雄伝説にまつわる遺跡が発見されたんだよ…今度のは凄いぞ!英雄とゼクロムが交信していた場所かもしれんのだ!!」
「英雄と…ゼクロムが…?」
『ピカピカ?』
「ああそうだ。…で、その遺跡に来る途中、洞窟の中を迷ってしまってね。デェッハハハハハ!!」
「笑い事じゃないわよ…」
そしてアララギ博士はギギギアルにはさまっていた万年筆を取り出して父親に見せる。父親はその万年筆を落としたということを教えてくれて、それでその万年筆のおかげでアララギ博士の父親がここにいるのかもしれないということが分かったということ、ギギギアルに挟まっていたんだから気をつけろということを言う。
そしてその後アララギ博士の父親はもう行かなければならないと言ってきたため、俺たちはお互いの顔を見て頷き、アララギ博士に向かって口を開く。…その時に妹が苦笑していたような気がするけどきっと気のせいだと思っておく。
「あの!アララギ博士…って同じだったな…あの、俺たちも一緒に英雄伝説にまつわる遺跡に行ってもいいですか!!?」
『ピカピカッチュ!!?』
「お願いします!」
『キバキ!』
「是非とも、お願いします!!」
「………駄目!………」
「ええっ!?」
『ピッカァ?!』
「ははは…まあそうか。…無茶を言ってすみませんでした!」
「………だという理由はない」
「…へ?」
『…ピカ?』
「どういうこと?だという理由はないって…?」
『キバキ?』
「駄目…だという理由はない…?」
「あー…まあいいか……」
『カゲェ……』
『ピチュゥ…』
『……なるほどな。だがすぐにわかることか…』
そしてすぐにわかったこと、アララギ博士が自分の父親はいつも考え事をしていて、言葉を途中で止めちゃう癖があるということを教えてくれた。そして駄目ではなく、一緒に行ってもいいと言うことを知り、俺たちは喜んで、そしてアララギ博士の父親に向かってありがとうございます!と礼をした。
アララギ博士の父親は喜んでいる俺たちに向かってにっこりと笑みを浮かべていた。
―――――――――――そうして向かった英雄伝説のある遺跡。俺たちは電気石の洞穴を抜け、森を歩き、崖を超えてまた森の中を歩き続けた。そして夜になったため一度森の中で野宿をすることになった。
そしてアララギ博士の父親に英雄伝説の遺跡について教えてくれた。ここから行くところには、英雄がポケモンと心を一つにする時、ゼクロムが英雄に力を貸すであろうということ、その力を貸し、交信する場所こそこれから行く英雄伝説にまつわる遺跡というわけだ。
そして翌日、また歩き出して遺跡へ向かい、ようやく着いた入口に俺たちは興味津々な顔でそれらを見る。石がつまれていて、古そうな遺跡なのだろうと思った。
そして中に入って歩き出すと、周りの壁は全て古代文字で書かれていて、ただの一本道が続いているだけだった。そしてすぐに行き止まりの壁にたどり着いた…のだけれど、目の前の壁には古代文字で暗号が書かれているということと、フシデの石像があることが分かった。そして妹がルカリオの近くにいて、ちょっとだけ焦ったような表情を浮かべているのが気になった。
「おいどうしたんだヒナ?」
『ピィカ?』
「あああやばいような気がする…デント。お願いだからアララギ博士の言うことはちゃんと聞いてね!最後まで!」
『カゲ?』
『ピチュ?』
「へ…僕?う、うん分かった…」
「あ、ルカリオ…何かあったらよろしくお願いします…」
『…よく分からないが…承知した』
おそらく妹はこの先を原作で知っているのだろう。そしてデントがアララギ博士の言葉通りにやろうとして、言葉が途中で止まってしまったせいで左に向けろと言うのが駄目だと言うのも知らずにやってしまった。そして壁が下に向かって落ちていき、目の前に大きな岩がある状況に俺たちは慌ててしまった。
「やばい!逃げろ!!」
『ピッカァ!!』
『っ!行くぞ!!』
「うわっ!…いつもありがとうルカリオ…!」
『カゲカゲ!』
『ピッチュ!』
『礼なら後だ!!』
ルカリオが妹達を背負い、走り出した。俺たちも走り出して、転がってくる大岩から逃げていく。そしてこのままじゃいけないと分かってデントがヤナップをボールから出してあなをほるで俺たちはその穴に隠れることができた。そしてアララギ博士の父親は爽やかに笑っていて、俺たちは苦笑してしまった。
そして大岩が転がったおかげで先程行き止まりだった場所から次の道まで行けるようになっていて、俺たちはその先へ歩き始めた。
――――――そしてやって来たのが崖に吊り橋が2本ある場所。
アララギ博士が古代文字の暗号を解読しながら言うため、俺たちはその声を最後まで聞こうと耳を傾けた。そして右の橋は駄目だと言うことがわかり、これで左の橋に向かえばいいと分かって俺とデントは歩こうとしたんだけど…。
「どうしたヒナ?何で止めるんだ?」
「お、お兄ちゃん…ちょっと待って本当に待って!…もうちょっと博士の話を聞こう!」
「ヒナちゃん…?」
「左の橋を渡る……のもいかん!!」
「ええ!?危ない…サトシにデント!渡っちゃ駄目だって!!」
「お、おう分かった!…サンキューなヒナ」
『ピカ!』
「ありがとうヒナちゃん…おかげで助かったよ」
「え…アハハ…ちょっと嫌な予感がしただけだから気にしないで…」
『カゲカゲ!』
『ピチュゥ!』
『いや、それでも助かったんだ。礼を素直に受け取れ』
「う、うん…分かった」
妹が原作を覚えていてくれて本当に良かったと思った。橋を渡ってしまったら何かあったのかもしれないと少し冷や汗が出てきた。そして俺たちは博士の言葉を最後まで聞いた方がいいなということも分かった。
別の道があるということを知り、探していた俺たちにルカリオとキバゴがその道を見つけてくれた。
そして来た道でも同じように3つの洞窟があって、それぞれにポケモンの絵が描かれているのが分かった。
妹が俺の腕を掴んで何か言いたげな顔で左の道であるゴビットの絵の洞窟の方を指差したため、俺がこっちから行こう!と言ったのだけれど、アララギ博士がまずはこっちから見てみようと言って左の道のダルマッカの絵の洞窟から歩き始めたため、俺たちは後を追って行くことになってしまった。妹にはルカリオに頼んで何とか危険がないことを祈った…まあダルマッカもワルビルも罠の道だったのだけれども……。
それらは全部、デントのマッギョとアイリスのドリュウズのおかげで何とか助かった。
途中で道にミイラの棺のようなよく分からないものが置いてあって、これもトラップなのではと皆が警戒しながら歩いていく。…途中でルカリオが立ち止まって波動で調べ、はどうだんで攻撃しようとしてきたのだけれど、アララギ博士がむやみに何かを動かしてはならん!と言ってしまったせいでルカリオは攻撃を止めて、ただじっと睨み付けてから妹達の方に近づいて何かあった時にすぐ行動できるようにしていた。それを見て、俺たちは何かあるのではと警戒心を強める。
そして歩きだし、壁を強く押してようやくたどり着いた最終地点。そこには何やら輝かしい岩が立っていて、中心にはダークストーンと呼ばれている石が埋め込まれているのを発見した。だが、これ以上は何か死に直結する罠があってもおかしくないと言ってそろそろ戻ろうと言うため、俺たちは来た道を戻ることになった―――――。
―――――――まあ、その途中でシンボラーやデスカーンに襲われて、俺たちは皆でバトルしてなんとか抜け出すことができたんだけどな。帰ろうとしたら空からシンボラーが降りてきて攻撃したり、途中に会ったミイラのような棺からデスカーンが出てきて攻撃したりと散々な目にあった。原因はアララギ博士の父が持ち出した黄金のダークストーンだということが分かって苦笑し、ちょっとだけアララギ博士の父親に怒りを覚えたけどな。
まあ何とかダークストーンを元の場所に戻し、シンボラー達の怒りを鎮めて出口までたどり着いたから皆怪我がなくて本当に良かったと思う。
兄の心境。
とにかく無事に外に出られてよかったぜ……。