マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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百話まで書いた記念の番外編です。
(プロローグとあわせると百一話になりますが気にしないでください)


第百話 Another Story ヒナ

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――これは、イッシュ地方を旅しているサトシ達から少しだけ未来の………そしてヒナがトレーナーになって少し時間が経った頃の物語。

 

 

 

 

 

「やって来たよホウエン地方!!」

『ピッチュ!!』

 

 

兄のサトシに似た黒髪を肩まで伸ばしているヒナは、サトシがかつてホウエン地方で旅をしていた時に愛用していた帽子をかぶり、意気揚々と船から降りて叫んでいる。帽子はサトシが旅をしていた時から年月が経っているため、かなり古くなっていた。

ヒナが叫んだことでピチューも一緒になって大声で叫んでいるため、周りの人々から見るとヒナとピチューの叫び声はかなり目立っていた。

 

 

ヒナがカント―から出発した船に乗ってやって来たのはホウエン地方。ヒナはこのホウエン地方でこれから旅をするようだ。ヒナは大きく背伸びをしてからピチューに向かって、そしてボールに入っているポケモンたちに向かって口を開く。

 

 

「これからホウエン地方でいっぱい楽しもうね!バトルもコンテストも!」

『ピッチュゥ!!』

 

 

ピチューが力強く頷くとともに、ボールがカタカタと揺れていく。返事してくれたことにヒナは嬉しそうに微笑み、そして走り出した。ホウエン地方に行ったらオダマキ博士に会いに行けと兄であるサトシに言われていたからだ。

 

トレーナーとして成長したヒナはホウエン地方ではポケモンコンテストにも出場しようと意気込んでいるようだ。ヒナは楽しそうな表情になりながらピチューを肩に乗せてホウエン地方のオダマキ博士のもとへ走って行く。

途中で様々なポケモンを見歩きながらも、ピチューと話し、笑いながら目指していく。

そしてようやく着いた建物の中に入り、口を開いた。

 

 

「こんにちは!オダマキ博士いますか?」

『ピチュ?』

 

 

 

 

「…あれ、君はヒナ?…久しぶりだね、僕のこと覚えてる?」

 

 

「…君は…確かマサト君?」

『ピッチュゥ?』

 

 

 

眼鏡をかけて、椅子に優雅に座っている少年がヒナを見て小さく微笑んでいた。成長したマサトはヒナよりも少し年上なため、その表情はトレーナーとしてとても余裕があるように見える。

ヒナは嬉しそうな様子でマサトに近づき、挨拶をする。ピチューは知らないようで首を傾けていたため、ヒナはマサトに紹介する。

 

「ピチュー、ホウエン地方のポケモントレーナーのマサトだよ」

 

「よろしく」

『ピッチュ!』

 

マサトがにっこりとピチューに向かって挨拶をしたため、ピチューも手を上げて挨拶をする。そして今は何をやっているのか、ホウエン地方で旅をしているのかヒナが聞こうと口を開いた瞬間にドアが開き、オダマキ博士が入ってきた。

 

「やあやあヒナちゃん!久しぶり!懐かしいなぁもうトレーナーなんだ…」

 

「お久しぶりですオダマキ博士!」

『ピッチュゥ!!』

 

「もしかしてこれからホウエン地方を旅するのかい?」

 

「はい!カント―地方やジョウト地方を旅してきましたので、これからはホウエン地方も旅をしようと思ってるんです!」

『ピチュ!』

「…なるほど。かつてのサトシ君のように様々な地方で旅をするんだね。じゃあこれをやろう!ポケモン図鑑だ!」

「良いんですか?…ありがとうございます!」

『ピッチュ!』

 

 

オダマキ博士からホウエン地方のポケモン図鑑を貰い、ヒナは喜びながらそれを受け取る。そしてバックの中に図鑑を入れ、オダマキ博士に礼を言う。

 

 

「これからはどう旅をするんだい?」

 

「ジム戦はもちろんやります…けど、ホウエン地方に来たんですから、コンテストにも出場しようかと思ってるんです!ピチューはそういうの大好きですから!」

『ピッチュ!』

 

「じゃあやることはいっぱいあるんだね!頑張って旅をするんだよ!」

 

「はい!ありがとうございました!」

『ピチュピチュ!!』

 

 

 

ヒナとピチューは激励を飛ばしてくれたオダマキ博士に礼を言ってからまた、意気揚々と研究所から出て歩き出す。ヒナが最初に向かうのは近くで行っているジムだ。まずは挑戦することらしい…でもそれを止めたのは先程まで話していたマサトだった……。

 

 

「ねえちょっと待って」

 

「…へ、マサト?どうしたの?」

『ピチュゥ?』

 

 

マサトが研究所から走ってヒナたちの方へとやって来た。そして好戦的な笑みを浮かべながらも言う。

 

 

「僕とポケモンバトルをしない?」

 

「ポケモンバトル…?」

『ピチュ?』

 

 

「そう。ポケモンバトル…それも最初のパートナーポケモンで戦おうよ。君もピチュー以外のポケモンは持ってきているんでしょ?」

 

「………いいわ。売られたバトルは買うのが礼儀だもんね…ピチューはバトル見て今後のコンテストの参考にしてね!」

『ピッチュ!!』

 

 

そうして、ヒナとピチューはマサトに連れられて、バトル場へとやって来た。オダマキ博士が先程出て行ったはずのヒナとマサトがバトル場にいるのに気づき、自ら審判をしてくれるためありがたく礼をいって受け入れる。

そしてお互いボールを取り出して、そして相棒の名を呼んで叫んだ。

 

 

 

 

 

「出番だよ、リザードン!!」

『グォォォオオッッ!!!!!』

 

 

「出てこい、サーナイト!!!」

『サーナァァ!!!』

 

 

 

『ピチュピッチュゥゥゥウ!!!!』

 

 

お互いがボールから出したのは最初にパートナーとなったポケモンだ。ヒナのリザードンは進化をしたことで身体が黒くなり、とても力強い炎を吐き出して威嚇している。サーナイトを睨み付けていて、今にも威力のあるかえんほうしゃを放ちそうな雰囲気が漂っている。

そしてマサトのサーナイトはとても優雅に一礼をして、そしてリザードンに鋭く睨み付け、どう倒していこうかと考えているような強者の雰囲気を漂わせている。

ヒナとマサトにとって、お互いとても頼れるパートナーであって相棒のリザードンとサーナイトがそれぞれ対峙をし、好戦的な目で睨みつつもオダマキ博士からのバトル開始の合図を待つ。

 

ピチューはその間も自分の仲間であるヒナとリザードンを応援して頑張れと言って叫んでいた。

 

 

そしてオダマキ博士がそれぞれリザードンとサーナイトを見てから手を上げて合図をする。

 

 

 

「ではこれより、リザードン対サーナイトのバトルを開始する。始め!!」

 

 

 

「よし、先手必勝!行くよリザードン!!」

『グォォォオオッッ!!!―――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――ヒナの物語は、ホウエン地方の旅路はまだまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






未来でのホウエン地方の旅の始まり―――――――――。




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