マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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最強目指す兄と平和に暮らしたい妹との会話と物語の始まり。





兄と妹それぞれのお話
プロローグ~スーパーマサラ人の兄が旅に出た~


 

 

 

私には姉がいた。

でもそれは昔の話、転生したせいで今は姉が兄に生まれ変わっていた。

私は性別は変わらないからよかったけれど、兄にとっては大きな問題らしい。

そしてそのせいで兄はヤケになったのだと私は思う。

 

 

「俺、ポケモンマスターになってやる」

 

「そう?じゃああしたはちこくしないの?」

 

「いやする。大体原作どおりにピカチュウ貰いに行く!待ってろよ未来の相棒!!」

 

兄がポケモンを貰う前日に言った一言だった。

拳を天高く上に掲げ、覚悟を決めたような表情をしているのは昔からヤケになった時にやる癖だ。

主人公の宿命を背負った兄は私が生まれる前は何度も問題を起こしていた問題児だったらしい。

でも私が生まれ、原作通りの世界じゃないと知ったおかげか

「夢はフラグを叩き折ることだ!!!」と兄はトキワの森の中心で叫んで驚いたポッポたちに攻撃されたらしい。

その後すぐさま応戦してポケモンを持たず一人でポッポたちに勝利していたのは主人公だからか、この兄だからか…いや両方か。

 

まあ私はこの未来でスーパーマサラ人と呼ばれてしまうであろう兄の「サトシ」に心の底から応援するだけでいいだろう。

 

 

 

「ヒナもくるか?」

 

「いかない。というかこんなかわいいようじょをきけんなたびにつれていこうとしないでよ」

 

「それ、三歳児がたどたどしい口調で言うセリフじゃない…」

 

「うるさいばかあに」

 

兄が明日、旅をする。それすなわち物語の始まり。

そして私はのんびりとその旅を応援し、平和に暮らすのだ。

私の夢?もちろん危険とは無縁なハッピー・ライフかな。

 

この兄がいる限りそういった平和な生活はできるかどうかわからないけれどね。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

翌日、兄は遅刻をし4番目にポケモンを貰うことができた。

もちろん意図的でしかない行動。でも何故かシゲルさんに驚いたような表情をされて馬鹿にしなかったのは今までの兄の行動のせいなのかな。

 

 

「いってらっしゃいおにいちゃん」

 

 

いつか未来で仲良くなる予定のピカチュウを紐で引っぱり、マサラタウンから旅に出る兄。

もしかしたら兄がこれからの旅でポケモン勝負ではなく自ら勝負を挑むときもあるかもしれないけれど、それは帰ってきてから話を聞いてみよう。

あと、いまは無理かもしれないけれど、いつかピカチュウと仲良くなって帰ってきたら、撫でさせてもらおうと思ったのは私だけの秘密だ。

 

 

 

『ピカチュゥゥゥウ!!!!』

「相棒…少し話し合おうか?」

 

 

 

(さてこれから昼寝でもしようかな)

 

 

 

 

 


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