穴に吸い込まれて、気付いたらそこは辺り一面海だった。
墜落防止のおかけで、墜落することなく機体は旋回していた。
「ここは、どこなんだ……」
異世界に行くことはよくあったが、今回はそうではなかった。
「とりあえず……」
情報の整理を行うために近くの島を探そうと操縦桿を再度握りしめようとした時だった。
「……何かが近づいて来ている」
レーダーに数からして6機の何かがこちらに向かっていた。
「このスピードだと数分足らずで鉢合わせするな……」
この世界の情報を少しでも手に入れるために、それに合流することにした。
◇
「たくよ……なんで、私たちが行かなければいけねぇんだよ……」
「仕方ないでしょ? ゲートが開いたのにドラゴンが出ない代わりにパラメイルが出て来たのよ」
「とりあえずそれを捕獲すればいいんだろ?」
「ええ、そのパラメイルはその場を旋回しているらしいから」
「…………」
「さっさと、終わらせましょう」
黄色、赤色、水色、白色、緑色、桃色のパラメイルは目的の場所に向かっていた。
ゲートから現れるドラゴンを狩るのが彼女らの仕事なのだが、今回開いたゲートから出てたのは一機のパラメイルだった。
「っ!? 目標が移動し始めたわ……って、こちらに向かっているわ!! 総員戦闘態勢!!」
『イエス・マム!!』
水色の機体の指示を聞いた瞬間、前から物凄い速度でこちらに向かって来るパラメイルを確認する。
「いくらなんでも、早すぎでしょ……」
そのパラメイルはこちらがアサルトモードに入る前に通り過ぎたのだ。
だが、そのパラメイルはアサルトモードになると、こちらに引き返してきた。
◇
「あれだな……」
一夏はこちらに向かって来る方向に進むと6機を確認した。
「!? どう言うことだ?」
彼女たちが乗っていたのは束が作ったこれと同じ物だったのだ。
「まさか……ここは……」
この時、ようやくここが何処なのかがわかった。
俺のISに入っている電子書籍、あの作品の世界だということを。
「こりゃあ、彼女たちに関わらない方がいいな……」
下手したら、あの変態に目を付けかれないので俺は逃げることにした。
「そこの者! 我々と共に同行しなさい! 抵抗するというなら……」
水色の機体から音声が聞こえるが俺は無視しする。
「な!? 総員あの機体を捕獲!」
『イエス・マム』
忠告を無視したヴィルキスに似た機体はその場から逃走、各自戦闘態勢に入る。
「そう簡単に逃がしてくれる訳はないか……あれを使うか」
束がこの機体は俺の為に作られているっと言っていた。
「『
突如、巨大な時計盤が出現し、全員驚く。
俺は長針と短針にある銃を手に取る。
「〈
短銃に弾を装填し、自分に向け、引き金を引いた。
その瞬間、その機体は姿が消え、代わりに6機あった黄色のパラメイルが墜落していた。
「な!? 何が起こっているの!?」
水色の機体に乗っていた者は今起こった現状に、目を疑う。
現れてはすぐに消え、それを繰り返すうちに残り1機になっていた。
「…………」
ヴィルキスの操縦者であるアンジュはあの機体が何処から来るのかが分かっていた。
あの機体は死角からの攻撃しかしない。
「……他の奴とは違うな」
『
同じくヴィルキスもアテナの前で停止した。
「あなた何者なの……」
コックピットから姿を現した黄金の髪の少女、アンジュは目の前の機体に問う。
同じくアテナのコックピットからは今は十香となった一夏が姿を現す。
「……その質問は少し答えにくいわね。しいていえば……神様の一人と言えばいいかな」
「どう言う意味よ……」
「私はこの先に何が起こるのかを知っていると言えばいいかな? アンジュリーゼさん」
「!? なおさらあなたを捕獲しないといけないわね」
「あなたにそれができる?」
お互いに戻ると戦闘が再開された。
最初に動いたのはヴィルキスだった。フライトモードとアサルトモードを上手く駆使し、ヴィルキスの銃弾を上手く避ける。
「なんて、機動力しているのよ!」
「その程度なの?」
「っ……!」
銃弾を全て使い切ってしまい、実体剣を構えるが、全く当たることはなかった。
「今のあなたでは、私に勝てない……歌の歌えないあなたでは」
「歌? それはどう言う意味よ!」
「そのままの意味よ……〈
一本の箒を顕現させ、それから強い光が離れた。
「次会う時は、もっと強くなってよね」
「ま、待ちなさい!」
光が晴れた時には、そこには誰もいなかった。
「っ……逃げられた」
結局、捕獲する事さえできず、惨敗して戻る事になってしまった。
突如現れた機体は不可解な謎を残して消える。
彼女たちが次に出会った時は、そんなに遠くはなかった。