「はいっ、副担任の
黒板の前でにっこりと微笑む女性副担任のこと山田先生は身長がやや低めで、生徒とほとんど変わらない。
しかも服のサイズが合っていないのか、本人が小さく見える。
かけている黒緑眼鏡もやや大きいのか、若干ずれている。
簡潔に言えば、『子供が無理して大人の服を着てみた』的な不自然さ・・・というより背伸び感がしたのは、俺だけなんだろうか。
「みなさん、一年間よろしくお願いしますね」
「・・・・・・」
かれど教室の中は変な緊張感に包まれていた為に、誰からも反応がなかった。
「えっと、じゃあ。最初の
ちょっとうろたえる副担任がかわいそうだった。
せめて俺だけでも反応しておこうかと思ったが、そんな余裕がなかった。
何故かって?
決まっている。
クラスメイトが全員女子なのだ。
まあ、予想通りなのだがな・・・・・・
今日はIS学園の入学式。
新しい世界の幕開け、その初日。
それはいい。
むしろ喜べき所だが、問題がクラスに男が俺一人と言う点なのだ。
(暇だな・・・)
クラスメイトのほぼ全員からの視線を感じながらも、落ち着いていた。
しかも、席も悪かった。
最前列の真ん中にいるのだ。
「・・・くん。
「ん?」
名前を呼ばれたので、一応返す。
「あのね、自己紹介、『あ』から始まって今」『お』の織斑君なの・・・」
「わかりました」
しっかり立ち、後ろを振り向く。
「あー、
礼儀的に頭を下げて、上げるが、『もっと色々と喋ってよ』的な視線が来る。
「はぁ・・・あんまり、時間を使いたくないので休み時間の時に聞きに来てくれ」
とりあえず自己紹介を終えたので、席に着こうとした時だった。
(背後から何かが来ます)
フレアの言葉に重心をずらと、主席簿が振り下ろされて来た。
「お前は自己紹介も、まともにできんのか」
黒のスーツにタイトスカートを着た、俺の実の姉がいた。
「げぇ、駄肉の魔王!?」
主席簿のラッシュを避ける。
「誰が駄肉だ!!馬鹿者」
フレアの指示の元、一発も当たることはなかった。
「あ・・・織斑先生。もう会議は終わったのですか?」
「ああ、クラスの挨拶を押し付けてすまない」
何事もなかったかのように俺は席に座る。
「諸君、私が
まあ、なんと言う暴力宣言。
だがしかし、教室には困惑どころか、黄色い声援が響いた。
「キャ―――!千冬様、本物の千冬様よ!」
「美しすぎます!」
「愛しています!」
「恐れ多くて、お顔を見れられません!」
きゃいきゃいと騒ぐ女子達に、千冬姉はかなり鬱陶そうな顔で見る。
(相変わらず、人気だな・・・)
ともあれ、SHRは無事に終えた。