インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第40話

「返してよ!!私のこの気持ちを!!」

 

「…………」

 

彼は何も言わない。

彼女は涙を流す。

 

「織斑くんのことなんて……」

 

言おうとした時、彼女は彼に抱かれた。

その直後、大きな爆発が起こった。

 

「フレア、サー、エンペラー……簪のことを……」

 

鼓動が徐々に小さくなる。

 

「頼む……」

 

彼は笑顔で微笑み、ブレスレットを投げる。

 

『『『お兄ちゃん!!(一夏!!)(一夏さん!!)』』』

 

彼はそのまま、海へと落ちた。

 

 

 

 

数十分前……

 

時刻は十一時半。

砂浜には俺と簪さんが出撃の準備に入っていた。

 

『織斑、更識、聞こえるか?』

 

ISのオープン・チャンネルから千冬姉の声が聞こえる。

 

『今回の作戦は一撃必殺だ。短時間で決着をつけろ』

 

「了解です」

 

作戦開始の時刻になり、俺は簪を抱える。

今回のモードは白騎士で、簪を抱えて現地に運ぶのが俺の役目だ。

もし、失敗してもいいように戦闘には参加せず【最後の剣】を発動させるための、エネルギーを残すためだ。

そして、俺は福音が来る方向に飛ぶ。

 

「暫時衛星リンク……情報照合完了。―――簪、一気に行くぞ!」

 

「…………」

 

簪はこくとうなずくだけだった。

そして、〈雪片弐型〉を展開する。

 

(見えた!!)

 

ハイパーセンサーが『銀の福音』を捉える。

『銀の福音』はその名に相応しく全身が銀色の全身装甲だった。

 

「行け!!簪!!」

 

一気に加速し、福音との距離を縮める。

そして、光の刃が福音に触れる瞬間。

 

「なっ!?」

 

福音はそれを避けたのだ。

 

「敵機確認。迎撃モードに移行。《銀の鈴》、機動」

 

反撃に入る前に決着をつけたかが、福音の方が一歩はやかった。

俺は〈鏖殺公〉を取り出し、【最後の剣】を発動させる分だけのエネルギーを残しつつ、迎撃にあたる。

だが、簪は違った。

 

「簪!?どうした!!」

 

簪はそこから一歩も動かず、ただ下を見ているだけだった。

 

「…………」

 

だが、簪が何かを言っていた。

 

「夜刀神……十香」

 

それは、俺が女性化した時に使っている名前だった。

 

「そうなんでしょ…………織斑くん。あなたが夜刀神十香なんでしょ……」

 

ここに来て、簪は関係のない話をしてくる。

 

「どうしてよ……どうしてなのよ…………」

 

簪は涙を流してした。

 

「どうして……織斑くんが十香さんなのよっ!!」

 

その時、その意味が分かってしまった。

あの時、アイザックの話を聞いていたの簪だと。

 

「返してよ!!私のこの気持ちを!!」

 

簪が持っていた〈雪片弐型〉は光の粒子となり消えた。

 

(今のは、具現維持限界!! まずい―――!!)

 

具現維持限界が起こってしまった。

そして今は、実戦。

 

「織斑くんのことなんて……」

 

簪が言い切ろうとした時、福音が一斉射撃モードに入っていた。

 

(間に合ってくれ!!)

 

スローモーションの世界で、俺は光弾が放たれるのを確実に捉え、そして次の瞬間なは福音と簪の間に割は入っていた。

 

「ぐああああああっ!!」

 

簪をかばうように抱きしめた瞬間、光弾が一斉に背中に降り注いだ。

 

「フレア、サー、エンペラー……」

 

絶対防御を貫通し、背中は焼けていた。

 

「簪を……頼んだ」

 

ISは解除されると同時に簪を突き飛ばす。

そして、大きな水音を立てて、落ちた。

 

「どうして……」

 

簪の手元には一夏のISの待機状態のブレスレットがあった。

 

 


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