インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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ラウラ戦が終わる!?
さすがに4000文字は疲れた。



第33話

私闘を禁じれた次の日に学年別トーナメントの参加条件が変わったことの知らせが来た。

 

『今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行うため、二人一組の参加を必須とする』

 

このことで俺は実に困っている。

まず一つ目に、使用機体が『白騎士』なのだ。

その時点で、全てのISのスペックを凌駕している。

そうなると、ほとんどパートナーに任せる形になってしまうため、パートナー選びが重要になってくる。

その二、シャルルのことだ。

再度、この学園に入ってくることは確定しているとは言え、まだ男子扱いなのだ。

ばれる心配があるが、正直どうにもならん。

別に俺が組めば話が早いんだが、そうはいかないのだ。

そして最後。

俺の前に申し込み書が5枚ある。

 

「・・・・・・」

 

箒に鈴、セシリア、シャルル・・・そして、簪さんまでもが申し込んで来たのだ。

箒は論外として、セシリアとは相性が悪く無理。

鈴とシャルルはバランス型だから特に問題はない。

簪さんのISは『白騎士』の稼働データを元に作っている為、非常に相性がいい。

 

「やっぱり、これが妥当なんだろうな・・・」

 

俺はその中から一人選び、提出した。

 

 

 

 

そして、学年別トーナメント当日。

トーナメント表前には多くの生徒が集まっていた。

箒、鈴、セシリアは必ず私を選ぶと確信した顔をしていたが、その予想は大きくそれた。

 

「「「え?」」」

 

一夏のパートナーは・・・

 

第一試合

ラウラ・ボーデヴィッヒ、篠ノ之箒VS織斑一夏、更識簪

 

四組のクラス代表の簪さんだった。

 

 

 

 

「一戦目で当たるとは、待つ手間が省けたというものだ」

 

「そうだな・・・だが、今回は普通にやるつもりはないぞ?」

 

試合開始のカウントが入る。

 

「妹たちが五月蠅いのでな、最初からフルで行かせてもらうぞ・・・」

 

そしてーーー開始のアラームが鳴った。

 

「「叩きのめす!!」」

 

俺とラウラの言葉は奇しくも同じだった。

 

『さあ、黒ウサギ。懺悔の準備は出来た?』

 

サーとフレアは学年別トーナメントが知らせが来るいなやとんでもない物の開発を行っていた。

 

「『ユニゾン・イン!!』」

 

突如、白騎士が光に包まれた。

 

「なんだ・・・!?」

 

ラウラはその光に一瞬、目を奪われ、その場に止まる。

光が消えるとそこには白騎士ではなく、奇妙なISフレームを纏った少女が一人、立っていた。

 

「・・・・・・」

 

朧気にしか見えないが、長い白髪と、不思議な輝きを放つスカート状のフレームだけは見ることができた。

 

『シンクロ率・・・80% 稼働時間・・・30分』

 

誰もがこのことに驚きは隠せなかった。

先程までいた織斑一夏ではなく、見知らぬの少女がいるのだ。

 

「なんだそれは・・・奴は何処に行った」

 

一番に驚いていたのはラウラだった。

だが、少女は答えなかった。

 

『ーー〈神威霊装・十番(アドナイ・メレク)〉・・・。悪いけど、こっから先は一方通行よ』

 

少女は地面に踵を突き立て、巨大な剣が収められた玉座を出現させる。

少女はトン、と地を蹴り、玉座の肘掛けに足をかけ、背もたれから剣を引き抜いた。

 

『サー・ガウェイン。行きます!!』

 

鏖殺公を構えると同時にサーは瞬時加速を行う。

 

「誰が知らぬが叩きのめすだけだ!!」

 

ラウラは右腕を突き出す。

だが、サーは止まることはなかった。

 

「な!?馬鹿な!!」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒの専用機『シュヴァルツェア・レーゲン』の第三世代兵器。

アクティブ・イナーシャル・キャンセラー・・・通称AIC。

ISはPIC、パッシブ・イナーシャル・キャンセラーによって浮遊、加速、停止を行なっている。

ラウラはそれらを止める術を持っているが、致命的な弱点がある。

それは『停止させる対象物に意識を集中させないと効果を維持できない』ことだ。

ならば、さの射程内に入る寸前で戻ってしまえばどうなる。

結果、その場に対象が一瞬なくなる為、ラウラのAICで止まることがないのだ。

 

「ぐううっ・・・!」

 

予想外の行動にラウラは集中することが出来ず、一方的に攻められる。

一方、箒と簪の方でも決着が着こうとしていた。

 

「邪魔をするなぁ!!」

 

箒は打鉄で対応するが、経験が少なすぎて、日本代表候補生である簪には全く手も足もでなかった。

それどころか、全く相手にもいなっていなかった。

 

「〈雪片弐型〉解放!!」

 

打鉄弐式を制作している時に一夏は武装に白式の武器である〈雪片弐型〉を入れていたのだ。

 

「《零落白夜》!!」

 

零落白夜を発動させた簪は、一気に畳み掛けた。

その一撃が決まり、箒のシールドエネルギーを完全に削った。

 

「こっちは、終わった・・・」

 

簪は完全に沈黙した箒を確認すると一夏の方に目を向ける。

 

「すごい・・・」

 

それは、まるで踊っているかのようにラウラのワイヤーブレードを避け、一手一手無駄のない剣捌きがラウラを圧倒させていた。

 

 

 

 

(ふざけるな・・・こんなところで私は負けるのか・・・)

 

停止結界も破られ、シールドエネルギー残量も100を切ってしまっていた。

 

(負けるか!・・・負けるわけにはいかないんだぁぁぁあああ!!)

 

ラウラの感情に反応したのか、シュヴァルツェア・レーゲンに異変が起こった。

 

「ああああああっ!!!」

 

突如、ラウラは身が裂けんばかりの絶叫を発する。

そして、同時にシュヴァルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、サーは体ごと吹き飛ばされた。

 

『ぐっ!一体何が・・・。---!?』

 

「え!?」

 

サーと簪は目を疑った。

シュヴァルツェア・レーゲンが液状に変形し、深く濁った闇はラウラを飲み込む。

 

『あれは・・・』

 

だが、その言葉を言い終える前にサーは光に包まれ、白騎士へと戻る。

 

「一夏!大丈夫!?」

 

元に戻ったが、白騎士のシールドエネルギー残量が底をついていた。

その為、強制的に解除されてしまった。

 

「流石に限界だったか・・・」

 

シュヴァルツェア・レーゲンだった物は、黒い全身装甲のISに似た『何か』はあるIS操縦者へと姿を変えていた。

 

「《雪片》だと!?」

 

奴の手にはかつて、千冬姉が振った刀が握られていた。

 

『マスター・・・あれは、VTシステムです』

 

フレアはすぐさまに解析し、あれが何かなのかを教える。

 

「VTシステム?」

 

『はい!正式名はヴァルキリー・トレース・システム。過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムですが、IS条約で現在どの国家・組織・企業において研究・開発・使用の全てが禁止されている禁忌のシステムです』

 

何故そんな物がシュヴァルツェア・レーゲンに搭載されていたかは知らないが、今はラウラの救出を最優先で行わなければいけなかった。

 

『残念ですが、今の私では何もできません』

 

シールドエネルギーは完全に底をついている為、展開すらできない。

 

「無いなら他から持ってくればいいでしょ?一夏」

 

声がする方向を見ると、シャルルがいた。

 

「普通のISなら無理だけど、僕のリヴァイヴならコア・バイパスでエネルギーを移せると思う」

 

「フレア・・・」

 

『可能です』

 

リヴァイヴから伸びたケーブルをブレスレット状態の騎士たちに繋がれ、エネルギーが流れ込んで来る。

それと同時に俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

「ここは・・・」

 

気付くと辺り一面黒の世界が広がっていた。

 

「あらあら、ここにお客様が来るなんて、いつ以来ですかしら」

 

振り向くと、赤と黒で構成されたゴシック調のドレス着た少女がいた。

 

「おまえは・・・」

 

「わたくしですか?そうですね・・・〈ナイトメア〉と名乗っておきましょうか」

 

ナイトメア・・・騎士シリーズの一つの名称。

つまり、彼女は騎士ということ。

 

「どうやら、外は随分と騒がしいよですね」

 

「なら、俺がこれから言うことはわかるよな?」

 

「ええ・・・ですが、わたくしはあの二人と違い、対価を要求しますわよ?」

 

「かまわん」

 

ナイトメアはそれを聞くと、くすくすと笑う。

 

「では・・・」

 

「ああ」

 

彼女の手をとると光に包まれた。

 

 

 

 

「・・・か。・・・ちか。一夏!!」

 

「あ・・・わりい」

 

我を取り戻し、どうやら充電が完了したようだ。

 

「行こうか・・・エンペラー」

 

『きひ、きひひ、きひひひひひひッ、なンですかァあれは、サンタクロースにでもおねだりしやがったかァのですの?』

 

一夏の待機状態のISから不気味な笑い声が聞こえる。

 

「『さあ、さあ、おいでなさいーーー〈刻々帝〉(ザアアアアアアフキエエエエエエル)』」

 

瞬間ーーー一夏の背後の影から、ゆっくりと、巨大な時計が姿を現した。

一夏の身の丈の倍はあろうかと言う、巨大な文字盤。

そしてその中央にある針は、それぞれ細緻な装飾の施された古式の歩兵銃と短銃だった。

 

『エネルギーの関係で一発しか打てませんから注意しまし』

 

「ああ、わかった」

 

エンペラーがそう言い残すと、巨大な時計の文字盤から短針に当たる銃が外れ、一夏の手に収まる。

そして、

 

「〈刻々帝(ザフキエル)〉ーーー【四の弾(ダレット)】」

 

一夏がそう唱えると、時計に刻まれていた『Ⅳ』の数字から、じわりと影のようなものが漏れーーー一瞬のうちに、一夏の握る短銃の銃口に吸い込まれていった。

 

「行くぜ!!偽者野郎」

 

黒いISが刀を振り下ろす。

それは千冬姉がするのと同じ、速く鋭い袈裟斬りだが、そこには千冬姉の意思がない。

 

「―――――お前を救い出すためなら、悪魔でも死神でもぶっ殺してやるよ」

 

ドン!という音が辺りに響き、偽物の頭部がぐわんと揺れた。

偽者は、まるで映像を巻き戻すかのように元の形、シュヴァルツェア・レーゲンへとなった。

今までの事が何もなかったことように、完璧に。

 

「・・・まあ、ぶっ飛ばすのは勘弁してやるよーーー」

 

俺は糸の切れた人形のように地面へと倒れた。

その後の事はよく覚えていなかった。




黄騎士
 ・第4世代型、中距離射撃型
 ・騎士シリーズの1つ。
装備
 ・《刻々帝(ザフキエル)
 ・《時喰(ときは)みの城》
 ・《ユニゾン》
 ・(未開放)
 ・(未開放)
能力
 ・《騎士の記憶》
  ・別の騎士に変更

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