6月頭、日曜日。
俺はIS学園の外・・・というより、五反田の家にいた。
「で?」
「で?って、何がだよ?」
うぬ。各ゲー対戦中にいきなり会話フリだな。
って、くそ。
いきなり創造を使いやがって!
ええい、こしゃくな!
「だから、女の園の話だよ。いい思いしてんだろう?」
してないつうの。
何回この話をすれば気が済むんだ。
こいつは。
ちなみにこの五反田 弾は俺の中学時代からの友達なんだが、入学当初に知り合ってからやたら馬があって3年間鈴と揃って同じクラスだった。
その為、中学時代はよく3人でつるんでいたんだが・・・
「嘘を付け。お前のメールを見るだけでも楽園じゃねえか。なにその楽園。招待状とかねえの?」
あるか。
「つうか、アレだ。鈴が転校して来てくれて助かった」
「ああ、鈴か。鈴ねえ・・・」
ほーう、弾よ。
よそ見をしている暇なんぞないぞ。
「しゃーっ、きたコラ!行くぜヴァルハラァ!」
『私は総てを愛している!』
「涙を流して、このディエス・イレを湛えるがいいィ!」
「ほいっと」
「え、あ、ちょっと何だそれ。なんで避けんだ!?」
『それはそれェ、慣れとでも言いましょうかァ』
「イェツラー」
『ジークハイル・ヴィクトォォーリア!』
「うっ、おおおぉぉ!やばいやばいやばいやばい!マジちょっ、やめろフルボッコじゃねえかレイプレイプーーーおまえこらオレ黄金だぞっ!」
「そんな
『アウフ・ヴィーターゼン』
「ぐわあああああっ!」
『K.O.』
「ま、顕然な実力差とはこういうものだ」
「ざっけんなァァ!」
ちなみに今俺が対戦しているゲームは『Dies Irae ~Acta est Fabula~』。
まあ、ぞくにいえば格ゲーだ。
「で、話は戻るが、鈴のことは・・・」
と、なぜか鈴の話題に戻す弾の言葉は、突如の訪問者に破られた。
「お兄!さっきからお昼が出来たって言っているんじゃん!さっさと食べに・・・」
どかんとドアを蹴り開けて入って来たのは弾の妹、五反田 蘭だった。
「あ、久しぶり。邪魔している」
「い、一夏・・・さん!?」
やっぱり女子って自分の家だとラフな格好なんだな。
「き、来ていたですか・・・?」
「ああ、今日はちょっと家の様子を見るついでに寄ってみた」
「そ、そうですか・・・」
しかし、蘭は昔から俺相手だと妙にたどあどしいというか、敬語を使ってくるんだろうな・・・
「蘭、ノックくらいしろうよ。恥知らずな女だと思われ・・・」
ギンッ!蘭の視線一閃。
おお、弾がダメージを受けたマ○オみたいに縮んでいく。
「・・・なんで、言わないのよ・・・」
「い、いや、言ってなかったか?そりゃ悪かった。ハハハ・・・」
「・・・・・・」
ギロリと、死体にナイフを突き立てるが如くの視線を再度弾に送り付け、蘭はそそくさと部屋を出る。
「あ、あの、よかったら一夏さんもどうですか?」
「あー、うん。気持ちだけ受けとくよ」
「そ、そうですか・・・」
ぱたん。
ドアが閉じて静寂が訪れる。
「この後どうするつもりなんだ?」
「まあ、家の様子を見るだけだし、そんなに長い時間外にはいられないからな」
軽く弾と話をして、裏口から弾の家を後にした。