インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第23話

「なんだ・・・」

 

『どうやら、招かざる客が来たようです』

 

侵入者が乱入してきようで、鈴からプライベート・チャンネルが飛んでくる。

 

『一夏!試合は中止よ!今すぐピットに戻って!!』

 

「そう言いたいが、無理だな」

 

そう、現在。

ステージ中央の正体不明の何かににロックされている。

 

「なっ!」

 

「で、どうする?」

 

相手はあの遮断シールドを突破する程の攻撃力がある。

まだ、生徒の避難が済んでいない、下手に刺激しない方がいいだろう。

 

「こんな異常事態だし、すぐに学園の先生たちがやって・・・ちょ!!」

 

鈴を掴み避ける。

その直後、先ほどいた場所に熱腺で砲撃された。

 

「ビーム兵器か・・・サー!」

 

『もう少しお待ちください』

 

とりあえず、サーに状況を調べてもらっている間は回避を最優先で行う。

 

「さっき、サーって言ったけどなに?」

 

「ああ、このISのAIの名前だ」

 

「はあ?そのIS、AIが積んであるの!?」

 

「まあな」

 

うるさい鈴をおいておき、煙の中から侵入者が姿を現した。

 

「あれは・・・」

 

そこにいたのは『全身装甲』の人の形をしたモノがあったのだ。

 

『解析が終了しました。侵入者は『バンダ―スナッチ』と呼ばれる機械人形です』

 

「機械人形?つまり無人機なのか?」

 

『はい』

 

「ちょっと待ってよ!ISは人が乗ってなきゃ、動かないのよ!!」

 

『私はいつ、あれがISといいましたか?』

 

「!!」

 

そうだ、サーは一度もあれをISなんて言っていない。

 

「なら、本気で潰しちゃってもいいのね?」

 

『構いませんけど、あれのせいで避難が遅れています』

 

サーが提示した情報を見て、苦笑いする鈴。

 

「そんじゃ、増援は望めないね・・・」

 

「だな・・・」

 

避難が遅れている上に遮断シールドを突破する攻撃力・・・人質を取られている以上、こちら側は不利だ。

 

(フレア、行けるか?)

 

(わかりました)

 

フレアに救助の方に回ってもらい、俺たちはあの機械人形を相手することにした。

 

「そんじゃ、やりますか」

 

キンッとお互いの武器の切っ先を当てる。

俺と鈴の即席コンビネーションで飛び出した。

 

 

 

 

「織斑先生!わたくしにISの使用許可を!」

 

「そうしたいが、これを見ろ」

 

ブック型の端末の画面に表示されていたのは、第二アリーナのステータスチェックだった。

 

「遮断シールドがレベル4・・・」

 

「そうだ。これでは避難どころか増援に向かえない」

 

実に落ち着いた調子で話す千冬だったが、よく見るとその手は苛立ちを押さえられていなかった。

 

『織斑先生、聞こえますか?』

 

オープン・チャンネルから突如、機械音が聞こえた。

 

「フレアか」

 

『はい。私はこれからアリーナのロックを解除します』

 

「わかった。山田先生、各班システムクラッチを一旦中止。突入の準備に入れ」

 

「は、はい!!」

 

山田先生は慌てて、各班に連絡を入れる。

 

「今のは・・・」

 

だが、織斑先生は答えなかった。

それからふと、あることに気付いた。

 

「あら?篠ノ之さんは?」

 

周囲を見渡すが、篠ノ之 箒が何処にもいなかったのだ。

 

 

 

 

「サー、状況は?」

 

「現在、フレア姉さんがロックの解除に入っています」

 

人形の攻撃を避けながら、時間を稼ぐ。

 

「サー、避難終了時にアレを使うぞ」

 

「了解です」

 

鈴の時に使う予定だった奥の手の準備に入る。

 

「一夏ぁっ!」

 

俺が突撃姿勢に入ろうとした瞬間、アリーナのスピーカーから箒の大声が響いた。

 

「何やっているんだ、あのバカは!!」

 

中継室の方を見ると、審判とナレーターがのびていた。

 

「男なら・・・そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!」

 

気付くと人形の腕から熱原が感知された。

 

「ちっ!!サー!!」

 

『行きます!!』

 

一夏は地面に踵を突き立てた。

瞬間、そこから巨大な玉座が出現する。

 

「『〈鏖殺公〉(サンダルフォン)ーー【最後の剣】(ハルヴァンヘレヴ)!!』」

 

刹那、一夏が足を置いていた玉座に亀裂が走り、バラバラに砕け散った。

そして玉座の破片が一夏の握った剣にまとわりつき、そのシルエットをさらに大きなものに変えていく。

全長10m以上はあろうかという、長大に過ぎる剣。

 

「眠れ・・・」

 

一夏はそれを軽々と振りかぶると、人形に向かって振り下ろした。

刀身の光が一層強いものになり、一瞬にして太刀筋の延長線上である地面を這っていく。

次の瞬間、凄まじい爆発があたりを襲った。

 

「な・・・ッ!」

 

アリーナの遮断シールドはこの攻撃に持ちこたえられず貫通した。

そして、人形は跡形残さずに消滅してしまった。

 

「なんなのよ・・・あれは・・・」

 

鈴は今の状況が掴めていなかった。

一夏は振り下ろした剣で人形どころかアリーナごと縦に両断していたのだから。

 

「やべ・・・限界か」

 

「一夏!!」

 

剣にヒビが入り、バラバラに霧散して空に溶け消える。

そして、俺の意識が切れた。


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