インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第21話

今日の授業も平和に終わりをつげ、放課後になった。

箒とセシリアに関しては訓練だ!とうるさかったが、昨日できなかった白騎士の調整をやるから無理だと断っておいた。

 

「さて、始めるか・・・」

 

女体化の呪いが解けた後、フレアから聞いたのだが調整とかでの展開なら呪いを受けないそうだ。

戦闘及びテストとかになると受けてしまうらしい。

 

「出力は現在この位か・・・なら、これを下げて、こっちを上げてと・・・」

 

とりあえず、サーと相談しながらパラメーターを少しずつ調整する。

 

「あ・・・」

 

「うん?」

 

後ろから声が聞こえたので振り向くとあの子がいた。

 

「久しぶりだね。簪さん」

 

「うん・・・久しぶり・・・織斑くん」

 

楯無さんの妹で、4組のクラス代表の簪さんがいたのだ。

 

「簪さんも機体調整?」

 

「うんん・・・私の機体はまだできていないの・・・」

 

(ああ、アレが原因ですね)

 

フレアは何かを知っているようだった。

 

(実はですね。白式と打鉄弐式の開発元が倉持技研なんです。しかし、マスターの存在により白式の開発の方が最優先になってしまったせいで、簪さんのIS開発が中止になってしまったのです)

 

おいおい・・・そんな理由だけで、開発中止って・・・

 

「あ・・・なんかごめんね。俺のせいで」

 

「うんん・・・いいの・・・」

 

「白騎士の調整も終わったし、手伝おうか?」

 

「・・・大丈夫。私一人でやるって決めているから・・・」

 

そう言って、簪は作業に取り掛かる。

 

(多分・・・このまま行けば、完成するのはあと3年じゃあすまないですね)

 

(それって、まずくないか?)

 

(ええ、色々とまずいですよ)

 

一人でISを作れるのはあの2人を除いたら、片手で数える程度しかいないのに簪はそれをやろうとしているのだ。

 

「簪さん・・・それは無謀な挑戦だ!」

 

「いいの・・・お姉ちゃんが出来たのだから私にも出来るはず・・・」

 

「本当にそう思っているのか?」

 

「っ・・・」

 

優秀な姉・・・俺と簪さんはどうも似ている。

だから見捨てることが出来ない。

 

「優秀な姉に追いついたい・・・わからないこともない・・・だけど、それだけなのか?」

 

「あなたには・・・関係ない!!」

 

簪は今にも泣きそうな顔で向き合う。

 

「俺もそうだった・・・一度、絶望したことがある・・・」

 

「え・・・」

 

「千冬姉の存在のせいで、俺を俺として誰もみてくれなかった・・・」

 

そう、あの日。

俺はファイさんに出会わなかったら、ここにはいなかったと思う。

 

「あの人が俺を俺として見てくれたおかげで、俺がここにいる。人は一人では何も出来ないちっぽけな存在だ。ISだってそうだ・・・束さんも一人で作った訳ではない」

 

そう・・・記録に残っていないが、IS開発は2人の学生が開発したものなのだ。

 

「だから、1人で全てを抱え込んじゃいけないんだ・・・」

 

「だけど・・・」

 

「もっと、皆を頼ろうよ。簪さん」

 

そっと、頭を撫でるように手を置く。

 

「・・・うん」

 

(サー。白騎士の稼働データを出してくれるか?)

 

(本来は出したくはないのですが、今回は特別ですよ)

 

そう言って、サーは自身の稼働データを表示する。

 

「これって・・・」

 

「俺からのプレゼントだ・・・さあ、やろうか!」

 

「うん!」

 

フレアとサーと共に簪さんの専用機、打鉄弐式の作業に入った。

 

 

 

 

扉の前に誰かがいた。

 

「何よ・・・もう。あたしが入るタイミングを逃しちゃったじゃない・・・バカ」

 

2組のクラス代表の鈴がタオルとスポーツドリンクを持って壁に背を預けていた。

 

「今日はあの子の顔に免じて、下がらせてあげるわよ。一夏」

 

鈴は整備室を後にする。

 

 

 

 

とある無人島では何か怪しげな動きがあった。

 

「それで、例の機体は問題ないな?」

 

「ええ、問題はないです」

 

そこでは、何かを作っていた。

 

「ふふふ・・・これで、私の願いへ一歩進める」

 

何かの設計図の隣には2人の女性の写真があった。

 

「待っていろよ・・・篠ノ之 束。そして、炎龍寺 紅葉!!」

 

男の笑え声が響く中、研究者たちは着々と作業を続ける。

 

「さあ、始めようか。---我々の戦争を」

 

男の後ろには、一機の全身装甲のISを思わせる機械人形があった。


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