インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第20話

「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう~!!」

 

クラッカーが乱射される。

ちなみに今は夕食後の自由時間。

場所は寮の食堂、一組のメンバーは全員揃っていた。

 

(はぁ~。今日は騎士の調整に入ろうと思っていたんだがな・・・)

 

壁には『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書かれた紙がかけてあった。

 

「対抗戦、頑張ってね!」

 

「試合の時の織斑くん、かっこよかったよ」

 

よく見ると、二組も集まっていた。

というより、あきらかに三十人は超えている。

 

「人気者だな一夏」

 

「そう見えるか?」

 

なぜか、隣に箒がいた。

箒は鼻を鳴らしてお茶を飲む。

 

「新聞部でーす。話題の白き騎士、織斑一夏くんにインタビューをしにきました!」

 

その時、一同が盛り上がる。

 

「私は新聞部副部長の黛 薫子ね。はいこれが名刺」

 

名刺を確認すると、画数の多い漢字だった。

 

「ではまずは織斑くん!クラス代表になった感想を!!」

 

無邪気な子供のように瞳を輝かせながら、ボイスレコーダーを俺に向ける。

 

「あ・・・なってしまった以上、頑張ってみます」

 

「えー。もうちょっといいコメントを頂戴よ~」

 

そう言われても、あんまりなる気にはなかったんだけどな・・・

 

「まあいいわ。そこは適当に捏造しておくわ」

 

よくねえよ。

 

「それと、セシリアちゃんもコメントちょうだい」

 

「わたくし、こういうコメントはあんまり得意ではありませんが、仕方ないですわ」

 

といいつつ、いつよりも髪をセットしていた。

 

「ゴホン。ではまずは・・・」

 

「ああ、長くなりそうだからいいや」

 

「最後まで聞いてください!!」

 

うん。

確かにこれは長くなりそうだな・・・

 

「とりあえず並んで。写真撮るから」

 

「それて、個人?クラス?」

 

「個人もほしいけど、今回はクラスね」

 

そう言って、一組の全メンバーを集める。

 

「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は?」

 

「えーと・・・」

 

(74.375ですよ)

 

いち早く、フレアが答える。

 

「74.375」

 

「おお!正解」

 

パシャッとデジカメのシャッターが切られた。

ともあれ、『織斑一夏クラス代表就任パーティー』は十時過ぎまで続いた。

 

 

 

 

「どうだった?」

 

部屋に戻ってベットに寝転がると、楯無さんが洗い場から出て来た。

 

「まあ・・・そこそこはですけど」

 

「そう・・・」

 

今日はなぜか、楯無さんの様子がおかしかった。

 

「どうしたのですか?」

 

「ん~ちょっとね。一夏くんは『精霊』って知っている?」

 

「『精霊』?ファンタジーとかで出ってくるアレですか?」

 

「ちょっと違うね。騎士シリーズのもう一つの名前よ」

 

「どういうことですか?」

 

「騎士シリーズは『赤騎士』、『青騎士』、『黄騎士』、『風騎士』、『土騎士』、『白騎士』、『黒騎士』の7つの騎士だからそう呼ばれているけど、実はもれと別でもう一つ名前があるのよ」

 

「それが、『精霊』ですか・・・」

 

「そう。『精霊』は『プリンセス』、『ハーミット』、『ナイトメア』、『イフリート』、『ベルセルク』、『ディーバ』、『ウィッチ』と名があるけどそれしか知らないわ」

 

「フレアは何かわかるか?」

 

『ええ、それは私たちのもう一つの名前といえばいいでしょうか・・・ちなみに私は『イフリート』です』

 

『私は『プリンセス』です』

 

フレアが『イフリート』、サーが『プリンセス』らしい。

 

「となると、他の騎士にもフレアみたいに意思があるということか?」

 

「はい。ちなみに私の中にありますよ。他の5体は」

 

「え?まじで?」

 

「はい。ですが、まだ目覚めていないのでアクセス権がありませんけど・・・」

 

「そうか・・・ファイさんもとんでもない物を残していったな・・・」

 

「もう、遅いし。寝ましょうか」

 

「そうですね」

 

ともあれ、楯無さんは自分の布団に入って消灯。

 

(騎士と精霊か・・・ファイさんと束さんは一体どうしてこんな名前を付けたのだろう・・・)

 

少しずつ眠くなってきた俺は、睡眠に入った。

 

 

 

 

「一夏くんは無事に赤騎士と適合し、白騎士まで手に入れるとは思っていなかったわ」

 

静かえったIS学園の屋上に白い白衣を着た紅の髪の女性がたばこを吸っていた。

 

「あなたはどう思う?ちーちゃん」

 

「その名前で呼ぶなと言っているだろ・・・紅葉」

 

屋上には束と並ぶ懐かしい顔がいた。

 

「いいじゃない。束が付けたあだ名なんだから」

 

「ふん。で、お前は一体どこにいたんだ」

 

そこにいたのは、あの事件で死んだと言われていた。

ファイがいたのだ。

 

「ちょこっとね」

 

「それで、私に会いに来ただけではないだろう?」

 

「ええ。『精霊』のことでね」

 

「アレがどうしたんだ?」

 

「精霊に隠された力・・・『反転』が起こる可能性が出てきたのよ・・・」

 

「それは一体・・・」

 

「当分はないと思うけど・・・決して、()()()()()()I()S()()()()()()()()()()

 

「・・・」

 

気付いた時には、彼女はいなかった。

 

「反転か・・・」

 

千冬はファイの残した言葉を片隅に置いて屋上を後にした。


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