インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第13話

「27分・・・持った方ですわね。褒めて差し上げますわ」

 

(まだなのか・・・フレア)

 

シールドエネルギーは100を切り、ダメージレベルD。

かろうじてまだ戦える。

 

「このブルー・ティアーズを前にして、初見でここまで耐えたのはあなたが初めてですわ」

 

そう言ってセシリアは自分の周りに浮いている四つの自立機動兵器を、まるで犬を褒めるかのように撫でる。

 

「では、閉幕(フィナーレ)と参りましょう」

 

セシリアの笑みとともに右腕を横にかざす。

命令を受けたビットは二機多角的な直線機動で接近してくる。

 

「ちっ!!」

 

俺の上下に回ったそれらのビットは先端が発行し、レーザーを放ってくる。

それを防御もしくは回避すると、その隙にライフルのレーザーが来る。

このやり取りがずっと続いている。

 

「左足をいただきますわ!」

 

装甲を失っているそこに攻撃が通れば、負ける。

 

「なめるなーー!!」

 

無理矢理に加速し、そのままセシリアの銃身まで飛ぶ。

 

「な!?なんて無茶なことを!?ですが、無駄な足掻きです!!」

 

セシリアは距離を取り、空いている左手を振る。

すると、それまで周囲の空間に待機していたビットが俺に向かって来る。

 

(そう言うことかよ・・・)

 

穿たれるレーザーを潜り抜けている時だった。

一瞬、嫌な気配がした。

すぐさま、セシリアの方に目を向けた時だった。

 

「わたくしにこれを使わせたくとは褒めて差し上げますわ!!」

 

《スターライトmkⅢ》最大出力・・・一試合一回しか打つことの出来ないセシリアの奥の手だった。

放れたレーザーは今までとは違い回避が間に合わず、直撃した。

 

「がっ・・・」

 

そのまま、アリーナの外壁まで飛ばされ、勝敗が見えてしまった。

 

「わたくしの勝ちですね」

 

だがしかし、一向に勝利宣言が流れなかったのだ。

 

「まさか、まだ生きているとおしゃるのですか!?」

 

勝利宣言が流れないのは、まだシールドエネルギーが残っていると言うこと。

そして、砂煙の中では・・・

 

 

 

 

(ちくしょう・・・俺は負けたのか・・・)

 

深い闇へと落ちて行く一夏。

だが・・・

 

「まだ、終わってないよ」

 

「フレア・・・おせーぞ、まったく」

 

相棒のフレアがようやく帰って来たのだ。

 

「へへ・・・さあ、行こう。マスター」

 

「ああ、行こう。フレア」

 

右手を掴むと左手に誰かが掴む感触があった。

 

「共に参りましょう。マスター」

 

「君は・・・そうか・・・じゃあ、名前を決めなくちゃな・・・君の名前は・・・・・・」

 

白のワンピース姿の少女は俺が付けた名前に微笑み、世界が黒から白へと変わった。

 

 

 

 

砂煙が晴れると思いきや急に光だしたのだ。

 

「な、な、なんですか!?」

 

そして、一つの詠唱が聞こえた。

 

『素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』

 

そして、光は収まった・・・・・・

 

「うそですよね・・・」

 

そこにいるのは誰もが知るISだった。

 

『おはようございます。マイ、マスター』

 

その昔、ミサイル2341発、戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星8基を破壊したIS。

 

「やろうか・・・サー」

 

『はい』

 

「『第二ラウンドを始めようか!!』」

 

再びこの世に白騎士が姿をあらわした。


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