あれから大分たった。
ついにあの女を調理する時が来たのだ。
だが、しかし。
「遅い・・・」
まだ、俺の専用機が届いていないのだ。
「仕方ないか・・・フレア、いつでも出られるように準備しといてくれ」
『ご心配なく、私はいつでも出られますよ♪』
まともな戦闘を禁じられているフレアにとっては、出番がもらえて嬉しそうだった。
「不戦勝は好みではないから、行きますか・・・」
その時だった。
「あっ、いました!!」
声がする方向を見ると山田先生が慌ててやってきた。
「もしかして、来たのですか?」
「は、はい!」
そして、山田先生に案内されると、そこに『白』がいた。
「織斑君の専用機・・・『白式』です」
「白式・・・」
白式に触れるとフレアがあることに気が付いた。
(このコアって、まさか・・・)
「織斑、アリーナを使用できる時間は限られている。ぶっつけ本番でものにしろ」
「ん~、了解」
俺は白式に乗り込み、出撃準備に入る。
「千冬姉・・・行ってくる」
そして、俺はアリーナへと出た。
◇
「待たせたな」
「あら、逃げずに来ましたのね」
目の前には、鮮やかな青色の機体『ブルー・ティアーズ』が特徴的なフィン・アーマーを四枚背に従え、どこかの王国騎士の気高さを感じさせていた。
「わざわざ負けて、惨めな姿を晒すためにご苦労なことですわ。今ここで謝るというなら、許してあげないこともなくてよ」
そう言って目を笑みに細める。
「そいつはできねぇな」
「あらそう?残念ですわね。なら!お別れですわねっ!」
《警告!敵IS射撃体勢に移行》
耳をつんざくような独特の音と同時に走った閃光が俺の体を打ち抜く。
「ぐっ!!」
直撃を避けたものの、形成途中だった左肩の装甲が一撃で吹き飛ぶ。
(フレアどうした!?)
(マスター・・・このコアは・・・)
フレアの様子がおかしかった・・・
いつものフレアではなく・・・何かに気を取られ、試合に集中できていなかった。
「フレアァ!!」
(!?)
試合中にも関わらず叫ぶ一夏。
(フレア、しっかりしろ!!今は試合中だ!!)
(!・・・そうでしたね。マスター!!)
(なんだ?)
(30分ほど時間を稼いでください!)
(・・・いいぜ)
フレアは白式のコアの奥へと入っていった。
「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとこのブルーティアーズの奏でる
射撃の雨が降り注ぐ。
しかも全てが的確に狙ってくる為、凌ぐのが難しい。
フレアがいない為、セシリアの予測攻撃が解らず、白式のシールドエネルギーが削られていく。
「装備は何がある!」
現在展開可能な装備を確認するが、ブレードが一本しか入っていなかった。
「ちっ!これしかないのかよ!!」
素手で相手するかはいい。
接近ブレードを呼び出し、展開する。
「フンッ。中距離射撃型のわたくしに、近距離格闘武器で挑もうなんて・・・笑止ですわ」
フレアが返ってくるまで時間を稼ぐ。
「やってやるさ」
蒼と白の激戦が、始まった。
◇
(もし、このコアがあれなら・・・)
フレアは白式の深層部分まで入り込んでいた。
出撃前に感じたあの反応は自分にとってとても懐かしい感じがしていたのだ。
(マスターが時間を稼いでいる間に見つけなくければ・・・!?)
そして、見つけた。
「あなたは、だあれ?」
白いワンピース姿の少女は一面に広がる砂浜の上で立っていた。
「はじめまして、白式さん」
紅と白の少女が出会った。
「そこに居られるんですよね?白騎士さん」
「お前は誰だ?」
砂浜に一本だけ生えていた木の影から白いIS・・・誰もが知るIS。
白騎士がいたのだ。
「私は赤騎士・・・いえ、フレアです。お姉さま」
赤の騎士と白の騎士も出会った。