「どうして誰も、俺として見てくれないの・・・・・・」
雨の降る公園のブランコに一人座る少年。
傘も差さず、ただ一人。
「そんな所にいると、風邪引くわよ?」
少年の前に赤い傘を持った女性がいた。
これが、彼・・・織斑一夏の運命を大きく変える出会いだった。
インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~
俺は、あの雨の日から学校帰りにある人の家に通うようになった。
「ファイさん。いる?」
あの公園から少し離れた所に一般的な家とは違い、屋敷に近いボロ家がある。
周りが林に囲まれているから、誰も気付かなかったのだろう。
実際に俺もそこに来るまで、全く気付かなかった。
「なんだ、一夏か・・・」
地下に通じる階段から上がってきたのは紅の髪に紅の瞳を持つ女性。
ファイ・D・フローライトが姿を現した。
「また、地下室にいたのかよ・・・」
「仕事場が地下にある以上、そうなるからな」
一夏はキッチンからココアを二つ持ってくる。
「はい」
「サンキュー」
ココアを受け取るとゆっくり飲む。
「いい加減教えてくれよ・・・」
「今はダメだ・・・まあ、高校の入学祝いに見せてやるよ」
今回もダメだった。
最近、一夏はファイが地下室で何をやっているのかが気になって仕方なかった。
「後少したら、高校受験なんだから、勉強しろつうの」
「へいへい」
一夏はしかなく、屋敷を後にする。
「・・・・・・」
一夏を見送って、また地下室に戻る。
「もう、そんなに経つのか・・・・・・」
机の上には一夏と一緒に撮った写真があった。
あの雨の日からもう、
一夏は随分と大きくなった。
あの時、公園のブランコにいる少年に声を掛けたが・・・まさか、織斑一夏だったとは知らなかった。
原作では、彼は小さい頃に優秀すぎる姉を持つがゆえに周りから自身を認めてもらえずに潰れかけていたが、彼はそんな中でも正義感を失わずに強く生きていたはずだが、この世界ではそうではなかったよだ。
「主人公って、悲しいもんだな・・・・・・」
ファイは転生者だった。
この世界がインフィニット・ストラトスだと知ったのは白騎士事件が切っ掛けだった。
神様から要らないと言いたのに強制的にインストールされた、ある物を作る頭脳がここに来て役に立った。
「もう少しで完成だね」
地下室の奥には誰かを待つように、膝を衝いた紅の騎士があった。
「赤騎士・・・」
織斑一夏と赤騎士・・・・・・この出会いは、誰も予想が出来ない運命へと繋がるだろう。
to be continued?