バスジャックを解決してから二日たった今日、日曜日である。すなわち休日だ。
基本俺は休日一日中寝て過ごすのだ。実際昨日はよく眠れた、がそうはいかなくなった。アリアが起こしてきたのだ。
「ん~…寝させてくれよ…今日は一日中寝るんだよ…」
「バカ言わないで!今日はあんたに来てもらいたいところがあるのよ!」
目を擦りアリアを見てみるとアリアは私服でいた。アリアの私服姿は珍しいのでアリアを二度見した。
「えっと…どこに行くんだ?」
「それはついてから言うから。あんたも制服から着替えなさい。にしても制服のまま寝るなんてだらしないわね…」
「外着これしか持ってないよ…買うのめんどくさいし…」
「あんた潜入ミッションの時どうするのよ!まぁ今回は大目に見るけど次は許さないわよ!顔を洗って行くわよ!」
とりあえずなんでこの部屋の中にいるかは聞かないでおこう。恐らくキンジが開けたんだろうな…
顔を洗い冷蔵庫に入ってる昨日買ってきたパンを咥えカバンにMP40を入れた。銃の携帯は武偵の義務ですし。
「でどこいくの?」
「電車に乗って新宿まで行くわよ」
俺はアリアに従いついてくことにした。扶桑での電車の乗り方はわからないのでアリアに聞けばわかるだろうな。
武偵高のある人工島から新宿は電車一本でついた。あっという間だった。
「まだ?」
「まだよ。新宿駅から歩いてすぐだから待ちなさい」
新宿駅にはいろんなお店があったがアリアに入りたい言ってもダメよと断られるのがオチだ。我慢しよう。
新宿駅を出て少し歩くと警察署が見えた。アリアはその警察署に向かって歩いてく。
「おいアリア…警察署の方に向かってるが…」
「いいのよ。ここが目的地なんだから」
え?目的地?
「あんたは武偵殺しと戦った者だから会ったほうがいいだろうと思ってここに来たのよ」
「会う?面会なの?」
「えぇ…」
聞いても言わないだろうから黙ってついてくことにした。
ついていってみると面会室と書かれた部屋についてアリアはそこに入った。俺も続けてそこに入った。
すると面会室の中にはガラスの向こう側には綺麗な女性がいた。
「神崎、面会時間は5分だ」
ガラスの向こう側の警官が言う。
「あらアリア…男の子を連れてくるなんて珍しいわね…もしかしてアリアの彼氏さん?」
「ち、違うわよママ!こいつはただ武偵として一緒に行動しているだけよ!」
アリアがママと呼んだ。この人はアリアのお母さんなのかな?にしても若いな…あんまり驚かないけどね、なにせこっちには80歳にも見えない見た目30歳のおばあさんをたくさん見たことあるし。
「えっと…初めまして。オットー・ハルトマンです」
「オットー君ね…初めまして私は神崎かなえと申します。いつも娘がお世話になってます」
神崎さんはペコリとお辞儀をした。俺もペコリとお辞儀をした。
「いい?ママ聞いて、こいつは武偵殺しと戦った男なの。私が武偵殺しに教われてるときやバスジャックの時はこいつは武偵なりたてなのに武偵殺しのセグウェイや乗り物を簡単に倒したわ」
神崎さんは驚いた顔で俺を見る。
「もし武偵殺しの犯人を捕まえればママの懲役849年から懲役748年に減らすことができるし、最高裁までもつれ込んだ裁判を高等裁判所に差し戻しができるわ。それで…」
アリアは神崎さんと話してる。俺は話してる内容はさっぱりでわからないが懲役849年とは相当だな…かつての扶桑なら死刑だよな…でも今は違う。
今は国際条約で死刑は廃止となってしまったのだ。カールスラントでもその国際条約で死刑は廃止されてしまったが今でも死刑廃止を撤回を求めたりするなどの議論が起こってる。
「ありがとうアリア…でももういいの」
話が終わったようだ。
「ママ!それはどういう意味なの!?」
アリアは立ち上がり言った。
「神崎、時間だ」
神崎さんは席を立つが最後にこう言った。
「アリア、まだイ・ウーと戦うには早いわ…だからもういいの…」
「そんな…ママ!ママぁー!」
アリアはガラスを叩いて神崎さんを呼ぶ。神崎さんは名残惜しそうにアリアを見てドアを開けて面会室から姿を消した。そして面会室はまるで誰もいないかのように静かになった。
「………行くわよ…オットー…」
先程まで騒いでたのが嘘のように静かになったアリアが口を開いた。俺はアリアと一緒に面会室を出た。
神崎さんとの話でひとつ気になるワードが出てきた。それがイ・ウーというワードだ。話の流れから恐らく神崎さんはイ・ウーというのに罪を被せられてるのだな…アリアにイ・ウーとはなにかと聞こうとしたら…
「ごめんなさいオットー…一人にして……」
普段の俺ならどうしてだと聞くはずだが
「あ、あぁ………そうするよ…」
なぜか素直に従った。恐らく神崎さんの件でそうなったんだろうな……俺はアリアと別れ新宿駅の地下の店を見に行くことにしたが全然楽しくない。なぜだ?
ここにいても仕方がないし寮に戻ることにした。