緋弾のアリア~フラウの孫は武偵~   作:猫大佐

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第7弾 武偵高行きのバス

午前5時21分

 

同居人であるキンジのうなされる声で目が覚めてしまった。俺はベッドの周りに置いてる服や荷物を踏みながらキンジのベッドの所へ向かった。

 

「おいキンジ…大丈夫か?」

 

キンジは答えずまだうなされてる。相当怖い夢でも見てるのか?怖い夢を見るのは体に悪いと思い俺はキンジの体を揺すって起こそうとした。

 

「キンジ!おいキンジ!」

 

「うわぁぁぁ!」

 

ゴチィン!

 

ガバッと起きたキンジの頭に当たってしまった。そのせいで頭が割れたように痛い。

 

「ハァ…ハァ…」

 

「いったぁ~やっと起きたか…」

 

俺は自分の頭を撫でながら言った。痛みを和らげるためだ。

 

「……………オットー?お前起きてたのか?」

 

「お前うなされてたぞ?相当悪い夢見てるなと思って起こしたよ……」

 

「そうか…ありがとう…」

 

キンジはベッドから降りて洗面所へと向かった。

俺はリビングの電気をつけた。スマホで時間を見てみると時刻はまだ朝の5時半だった。二度寝するにしてもキンジの頭突きで目が完全に覚めてしまったのだ。

 

どうしようか考えてるとキンジが来た。

 

「おいオットー…お前どうするんだ?俺は寝るが…」

 

「よく寝れるもんだ。俺は目が覚めてしまったから寝れないよ」

 

「そうか…それは残念だな…」

 

誰のせいだと思ってる…

 

「ところで…どんな夢を見たんだ?ひどくうなされてたから相当なものだろうけど…」

 

「…………昔のことをな…」

 

「そう………」

 

嫌な思い出を思い出してたのか…あんまり触れない方がいいかもしれんな…

 

「聞かないのか?」

 

キンジが聞いてきた。

 

「いや…あんまり触れない方がいいと思ってな…」

 

「………ちょうどいい機会だし言っておくか…俺、実は3年になったら武偵やめて普通の高校にいくんだ…」

 

マジで?俺は耳を疑った。

 

「どうしてだ?」

 

キンジは説明した。昨日のテレビで言ってた豪華客船沈没事故でキンジの兄さんをなくしたという。兄さんは乗客、船員を避難させて死傷者を出さなかったという。なのに世間では事故を 防げなかった兄さんの責任にされたことで現実の無常さを覚え、武偵という存在に失望して武偵をやめることにしたという…

 

「……………」

 

かなり酷いものだった。人を助けたのに恩を仇で返すような世間にイラつきを感じた。俺も軍学校では戦争をするための道具だと言われたこともあったり税金無駄だと言われたり酷いときは人殺しとまで言われたがキンジはそれの比ではない。キンジの方がよっぽど酷いものだ。

 

しばらく沈黙が続いた。

 

しばらくの沈黙状態についにキンジが口を開いた。

 

「ま…まぁもうあの事件は吹っ切れてるしもう気にしてはねぇよ…」

 

吹っ切れてるにしても夢に出てくるのだからまだ心のどこかでは引きずってるのだろうな…

 

「そうか…キンジ…武偵やめるのか…」

 

「あぁ…」

 

「まぁ止めはしないよ…お前が決めたことだしさ…ちょっと出掛けてくるな…」

 

「オットー…まだ外は暗いぞ?」

 

「いいさ。気分転換にね。それに制服着てるし」

 

「お前制服のまま寝たのか…」

 

その通りだ。俺は昨日の夜制服に着替えるのがめんどくさいのであえて制服を着て寝たのだ。

 

「いちよう銃を持ってと…」

 

MP40を担ぎ玄関のドアを開けた。端から見たら危ない人に見えるが武偵高の制服してるし大丈夫だろう。

 

 

寮から歩いてみると閑静な住宅地が続きその先は大通りとなっている。扶桑の街並みは中々風情があって面白い。扶桑にくると常に思う。

 

だいぶ明るくなってきたがまだ6時だ。にしても人が全くいないというのはちょっと不気味に感じた。

 

大通りを右に歩いてみるとコンビニが見えた。扶桑では当たり前のものだがカールスラントでは珍しいお店なのだ。久々に入ってみると中の独特な臭いが鼻に入ってきた。本棚をちらりと見て面白そうな雑誌を見つけた。最近話題のアイドルグループである501という二人組が表紙を飾ってるのだ。メンバーはダンケルク・クロステルマン、坂本睦月で二人は俺の友達である。

 

なにせ彼女らの祖母は元501メンバーのペリーヌ・クロステルマンと坂本美緒なのだ。会うときよく遊んだり話したりしたが彼女らはとても中がいいのは一番印象に残ってる。睦月はダンケルクに溺愛していてダンケルクも彼女のことを溺愛しているという…いわばカップルである。

 

アイドルになるときはペリーヌおばさんは猛反対したがサカモトおばさんが賛成していると伝えたらコロッと意見を変えて賛成したとか…にしてもここまで大きくなったものだ…

 

 

彼女らの特集している雑誌を見ていると続々と人が店に入ってきた。流石に今何時だ?と思い時間を見てみるともう7時49分だった。

 

 

長居しすぎたな…なにも買わずに立ち去るのはちょっと気が引けるので読んでいた雑誌と朝飯にオニギリを4つとオレンジジュースを購入して店を出た。

 

急いで寮の部屋に戻った。

 

 

 

部屋の前につくとちょうどキンジが出てきたのだ。

 

「お前今までどこ言ってたんだ?」

 

「ちょっとな…キンジ戸締まりは俺がするから鍵ちょうだい」

 

キンジは俺に鍵を渡しまたあとでなと言ってバス停へ言った。にしてもまた遅刻は勘弁だろ…

 

俺はオニギリを頬張りジュースを飲みながらいく準備をした。カバンに担いでたMP40をぶちこみすぐに出て鍵を閉めてダッシュで階段を降りてると…

 

「オットー!」

 

聞き覚えのある声が聞こえたので振り向いて見るとそこにはアリアがいた。

 

「アリア!?どうしたんだ?」

 

「大変よ!学校に行くバスがバスジャックされたの!」

 

なんだと?ということはキンジもそれに巻き込まれてるのか!

 

「どうするんだ?」

 

「Sランクの武偵で動けるのは私とレキ、それとあんたの三人だけよ!早く行くわよ!」

 

俺はアリアに言われるがままついていくと車庫のようなとこについた。

 

「車には車で対抗よ!早く乗りなさい!」

 

これ軽自動車だろ…こんなので追い付くか?

 

「なにグズグズしてるの!風穴開けるわよ!」

 

「は、はい!」

 

俺が乗り込みドアを閉めた途端軽自動車は急発進した。そのせいで頭をまた打った。

 

「シートベルトぐらい閉めさせろ!」

 

「うるさいわね!急がないと爆発するわ!」

 

「……状況は?」

 

アリアにバスジャックの状況の説明を求めると

 

「バスは現在レインボーブリッジに向けて走ってるわ。減速すれば爆発する爆弾を搭載してね」

 

「それも武偵殺しというやつの仕業なのか?」

 

「ええ。だから私達はバスに乗り込んで爆弾を解除する役割、そしてレキはヘリに乗ってバスの周辺を哨戒させてるわ。インカムで連絡を取れるわ」

 

イヤホンみたいなインカムを渡されそれを耳に着けた。

 

『始めましてオットーさん』

 

抑揚のない女の子の声が聞こえた。

 

「始めましてレキさん。俺の名前は知ってるようだから自己紹介はパスするけど……君は哨戒をしてるというけどバスの様子はどうだい?」

 

『……現在のところ以上はありませんがオットーさんの乗ってる車両の距離はまだ距離がありますので急いでください』

 

アリアはインカムの声が聞こえたようだ。さっきよりも凄い速くなった。そのお陰でもうバスが見えてきた。

 

「どうする?誰が乗り込む?」

 

「先にあんたが乗り込みなさい。次に私が乗り込むわ」

 

「おいおい車が……」

 

「改造で自動停止機能がついてるから安心しなさい」

 

もうなんだこの軽自動車……そう思いながらMP40を持ってドアを開けてバスの天井に乗り込んだ。続いてアリアも乗り込むと軽自動車道路で止まった。

 

「爆弾を探すわよ。あんたはここを、私は下を探すわ」

 

アリアはワイヤーを出して下に降りた。その間に俺は上を探しながらスマホを出してキンジに電話した。

 

「キンジ!大丈夫か!?」

 

『なんとかな…』

 

「ならよかったが…そこに爆弾はないか?」

 

『いや、バスに乗ってる全員が探しても中にはなかったんだ』

 

「成る程…となると外か…」

 

すると耳につけてたインカムからレキさんの声が聞こえた。

 

『大変です。目標のバスに猛スピードで近づいてくる不審車両がいます』

 

バスの後ろを見てみると黄色いスポーツカーが猛スピードで近づいてきた。そして上にはセグウェイと同じくUZIが搭載されていた。まずい!

 

「アリアーーー」

 

昇ってこいと言おうとしたらトンネルに入った。トンネルに入ったせいで声がかき消された。声が聞こえない状態なのでアリアの所へ向かって

 

「アリア!上がってこい!UZI搭載したスポーツカーがこっちに向かってくる!」

 

大声でアリアに昇ってこいと言った。

 

「なんですって!?今爆弾を見つけて解除しようとしたのに!」

 

アリアはワイヤーを伝って上がったと同時にスポーツカーはバスのとなりに来た。UZIの照準はバスにあわせてる。

 

これはまずいな…撃ってくる!電話しっぱなしのスマホを耳につけて

 

「キンジ!乗客全員に伏せるように言え!」

 

『わ、わかった!』

 

そして魔法を使い動体視力を高めると周りがスローモーションのように動いて見える。

そしてUZIを見てみると銃口(マズル)から火が出てきた。これは撃ってきてるようだな。俺はアリアを抱き抱えて伏せた。

 

そして魔法を解除して動体視力をもとに戻すと

 

 

 

ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

 

銃弾はバスを襲い始める。窓ガラスが割れる音や悲鳴が聞こえる。

 

「え!?な、なにこれ!?」

 

アリアはなにかもぞもぞし始めた。

 

「じっとしてくれ。今UZIが火を吹いてるんだ」

 

「あ、あ、あ、あんた…」

 

アリアの顔が真っ赤になった。あ……

しまった…今俺はアリアに抱きついてる状態で伏せてるのか…

 

「ご、ごめん!でもい、今は緊急時でつい!は、離れるよ!」

 

俺はすぐさまアリアと離れて伏せた。今だにUZIは銃弾を放ってる。このままじゃやられっぱなしだな…そうだ!

 

俺は魔法を使いもう一度視力をあげてMP40をスポーツカーのタイヤの方に構える。視力をあげたお陰でタイヤがよく見え狙いやすい。そして引き金を引くと

 

バババババババババババババババ!

 

独特の発射音がトンネルに響き放った銃弾は後ろの方のタイヤに当たりタイヤがパンクする。それのせいでスポーツカーは道路上で一回転して壁に激突して

 

ドガァーーン!

 

爆発した。これでUZIは消えて問題なくなったが問題がまだある。それは爆弾である。

 

「アリア、爆弾の解除を……」

 

「ダメよ。ワイヤーがさっきの銃撃で切れたもの」

 

………………え?なんだって?

 

『おいオットー!聞こえるか!?大変だ!運転手が肩に被弾して運転できない状態になった!』

 

スマホからはキンジの声が聞こえた。え?運転手が運転できないだと?

 

「………えっと…キンジ!他に運転できるやつはいないのか!?」

 

『今武藤が代わりに運転してる。腕は俺が保証する』

 

中は大丈夫のようだ。あとは…

 

「爆弾が解除できないはヤバくね?」

 

「レキに頼んで狙撃してもらうわ。仕方ないじゃない。レキ、トンネルを出たら爆弾を狙撃して、場所は…」

 

アリアはレキさんに事細かに爆弾の場所を伝えてる。俺は天井に座り一休みした。

 

そして数分後トンネルを抜けるとレインボーブリッジになっていた。そして横にヘリが見える。そこからSVDを構えて下にある爆弾を狙撃しようとするレキさんの姿が見えた。手を降ってみてもレキさんはなにも反応せずスコープを覗いて狙撃をしようとする。すると

 

パーン!

 

SVDから銃声が聞こえた。そして

 

ドゴォォォォォン!

 

水柱を立てて爆発した。爆弾が外れて橋の下に落ちて爆発したんだろうな…にしてもレキさん凄い狙撃の腕前だな…

 

 

そう関心しているとバスが止まりその後武偵局や警察の車両、中には扶桑皇軍の憲兵隊や爆弾処理班がいた。来るの遅すぎるだろ…


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