ご飯を食べ終わり食堂から教室への帰り道、アリアが言った。
「……あんた感じない?さっきからずっと誰かに見られてる気がするんだけど…」
「そう?俺はそんな感じは……」
体が何かを思い出したのように少し震え始めた。そういえば食事中、昨日のような感覚がずっと続いてたんだ。気のせいかと思ってたが…まさかアリアも誰かに見られてる気がしたといって怖くなってきた。
「どうしたの?あんた体が震えてるわよ?」
「あ、まぁ……そりゃ怖いからだろ…俺だって昨日もそうだったもん。誰かにつけられ見られてるような感覚が…」
「怖がってどうするのよ?武偵がそんなんで怖がってちゃ武偵の名が廃るわ」
怖がるなと言うのが無茶苦茶だ。昨日もおんなじ目にあったんだ…
「まさか
「そうよ…私達のことをずっとどこかで見張ってるんだわ」
「そ、そうなのか?だったら探して…」
「無理よ。もう勘づかれたのに気づいてどっかに逃げたに違いないわ…でもまたどこかでまた見張ってくるわ。オットー」
「なに?」
「今日は白雪をあんたの部屋に泊めて。そして私も泊まるわよ」
今すごいことが聞こえたような…
「ごめん耳がおかしくなったようだ…もう一回言って」
「何度も言わせないで。私と白雪があんたの部屋に泊まると言ったのよ?」
…………ちょっと待て。おいおい男二人のところに女の子が二人泊まるだと…?
「だ、だ、だ、だ、ダメに決まってるだろ!!男所帯のところに女の子なんてダメだ!」
「なに悠長なこといってるの!今は
「ッ!」
そうだ…アリアは神崎さんの冤罪を晴らすためにイ・ウーという組織と戦ってる…イ・ウーという組織は神崎さんに構成員の犯罪を擦り付け重い懲役を科してるのだ…飛行機の事件では理子もそれの一人と言うのがわかったが、まさか
現在神崎さんの裁判がどこまで行ってるかがわからないがそのままなにもせず進めば神崎さんは完全に刑が執行され一生刑務所の中だ…そうなればアリアは相当悲しむだろう…面会のときのアリアを思い出すと未だに嫌な気分になる…
それだけは避けたい。なんとしてもな。こんな気分になるのは嫌だしアリアをなぜか悲しませたくない…
「わかったよアリア……キンジにその事を言いにいこう」
「あら?さっきまでの反対はなんだったの?」
「いや…悠長なこと言ってごめんな…思えば今は緊急事態だ…こんなこと言ってられないよな…」
「わかればいいわ。じゃあ教室に戻りましょ」
教室に戻りキンジにアリアと星伽さんを泊める提案を話したが…
「反対だ。
あっさりと断られた。そりゃそうだ。
「
「アリアもアリアだ。こんなにムキになる理由がわからないな。だいたいお前は元々部外者だろ」
「なんですっ…」
俺はアリアの肩をたたき教室の外へ連れ出した。
「なんであんたはなにも反論しないのよ!」
「キンジに言っても無駄だったのは初めからわかりきったことだ。だったらキンジでも動くようにしないとな」
「それってどういう意味よ?」
「星伽さんの教室行こう。なん組だっけ?」
「確か…B組って言ってたわね…どうして?」
「お隣か…まぁついてくればわかる」
俺とアリアはB組へ向かい星伽さんを呼んだ。
「えっと…オットーくんどうしたの?」
「実はね…」
アリアの提案を星伽さんに話した。すると星伽さんは
「ごめんねオットーくん…確かにオットーくんの言うことは一理あるけどそこまでキ…遠山くんに手を煩わせたら迷惑になるし…」
断るのは目に見えてた。だが俺はこの星伽さんが簡単に同意してくれる方法を俺は知ってる。俺は星伽さんの耳元に近づき
「チャンスだよ星伽さん、キンジに今凄く急接近して距離を縮めたのにここでこの提案を蹴れば距離はまた遠くなるよ?
こう耳打ちすると
「わかった。じゃあ私オットーくんの提案受け入れるね」
すんなりと。すげぇや。
「ありがたいや。でもキンジがこれに反対してね…」
「私が遠山くんを説得するから任せて」
その言葉を聞きたかった。
「それじゃ今から行こうか…オットーくん、神崎さん」
「私のことはアリアでいいって言ってるのに…」
「あ…ごめんねアリア……さん」
名前で呼ぶのが苦手なのかな?まぁいいや。
その後キンジは星伽さんの説得によりこの提案を受け入れることになった。部屋に人が増えるよ!やったねキンジちゃん!
そうこう考えてる内に学科別の実習の時間となった。キンジは白雪さんと共に
今日はアリアが空き部屋で先生として武偵の授業を行うことにした。今回は潜入捜査を教えてくれるそうだ。こないだは近距離戦について教わった。アリアが魔法を使わずに戦えといったせいで俺はアリアにボコボコにされたが。
「武偵は犯罪組織や犯罪組織のアジト、違法風俗、テロリストのアジトに潜入して情報を集めたり、または内部工作を行ったりするの。その時大事なのは武偵とバレないようにすることよ。バレたら最悪殺されるわよ?」
「そりゃそうだ」
「そうなると目立つような武器は中々持てないわ。となると」
アリアは俺の鞄に入ってるMP40を指差して言った。
「そういった武器は目立つわよ?拳銃の類いならバレないけど…そういったサブマシンガンやライフルと言った武器になると持てる人間は限られてくるわ」
「確かにな」
「というわけで拳銃を購入しなさい」
「それ親の仕送りでも買えねぇよ」
「だいたいいくらぐらいなの?」
「月5万。軍学校時代で使ってなかった金がたんまりあったけどスマホ購入してなくなった。すまんな」
「なるほどね…わかったわ。じゃあこれを使いなさい」
アリアがどこから取り出したのか手に持ってあるワルサーPPKを渡した。
「ワルサーPPK。カールスラントで製造された小型のオートマチックピストルよ。使い方はわかるわよね?」
「軍学校時代の時持ってたがあんまり使わなかったな…やめた時に返却したし…」
やれやれここでもこいつにお世話になるようだな…まぁいいか。俺はアリアから渡されたワルサーPPKを持ってみた。小型で小さい俺の手でも使いやすい。
「それじゃ授業を続けるわよ。潜入捜査の基本は…」
授業が再会したので俺はPPKの安全装置がかかってるか確認してから胸ポケットに入れた。
「今日はここまでにしましょ。そろそろあいつらも実習が終わる頃だし」
「ん~疲れた…」
「それじゃ次回は続きからよ。にしてもあんたなんで私の授業の時は寝ないの?」
「さぁ?まぁそれよりキンジ星伽さん迎えに行こうよ」
「えぇ。そうね……ッ!?」
まただ…また誰かに見られてるような感覚が襲ってきた。
「
「そのようだな…」
「急いであいつらのとこへ行ったほうがいいな」
俺達は空き部屋から急いで出た。あの見られてるような感覚が襲ったまま。
銃紹介
ワルサーPPK
カールスラントで1931年から製造されてる小型のオートマチックピストル。元々は警察用に開発されたのだが小型で携帯しやすいことからウィッチにも愛用されていてそれの影響で人気の高い銃となっている。
使用弾は22LR、25ACP、32ACP、380ACP、9mmパラベラムなど。