さて…第二章もお楽しみに
操縦室に向かう途中、アリアにいくつか質問した。
「なぁアリア…なんでお前飛行機に乗って外国行こうとしたんだ?」
「ロンドンからの協力要請で行くことにしたの。まぁ行っても2、3日ぐらいで帰ってこれるから言わなくてもいいやと思って黙ってたのは謝るわ…」
「そうか…ならいいが…」
MP40のスリングを肩に通して担いで歩く。4kgある代物だが魔法を使いこなすためのトレーニングをやってるためそこまで重たく感じないのだ。
「この先はどうなってんだ?」
「この先は確か……バーだったわね」
この飛行機にはバーまで備え付けられてるのか…すげぇな。個室もついててなおかつバーか…貴族様々だな…
歩いてから数分、バーのとこについた。そしてその先には階段がありそこから操縦室に行けるようになっている。のでブリタニア語でStaff only(関係者以外立ち入り禁止)と書かれている。
アリアはバーに入った。俺もアリアを追うようにバーに入る。
「そこのCA、あんた仕事サボって何してるの?」
アリアは持っているシルバーのコルトガバメントをバーのカウンターに座ってるCAに構える。
この人だ…俺が機長に飛行機を止めるように頼んだのは…
俺も怪しいと思いMP40を構える。
「CAさん…仕事にお酒なんていいご身分ですね…」
「クスクス…流石オルメス…直感力だけは一流なものだな…」
CAは俺たちの方に体を向けて言う。先程のCAさんとは様子が違う…
「あんた…何者なの?イ・ウーの人間なの?」
「フ……正解だ…」
CAが顎のとこに手を当ててそこからベリッとなにかが剥がれる音がして次の瞬間CAは一気に顔をめくるとそこにはグランドホテルで出会った理子がいた。
「り、理子!?」
「ようハルトマン…オルメスとの再会は済んだか?」
会ったときと口調も違うし何より理子の雰囲気が違う。強い殺意を感じる。
「理子!あんたが武偵殺しね!?逮捕するわ!」
「逮捕だと?笑わせるな。私はお前らなんかには捕まらない…」
「ふざけたことを抜かさない方がいいぞ理子。こんなことはやめて神崎かなえさんの冤罪を解いてもらうぞ」
「こんなこと……だと?ふざけるな!!貴様に何がわかる!私はオルメスを倒して1世を越えるんだ!こんなことで済むものではない!!!」
俺の一言が余計怒らせたらしくかなり激昂した。
「周りはいつもいつも4世4世と呼ぶ……私は数字か!?遺伝子ナンバーか!?違う!理子だ!峰理子リュパン4世だ!4世と呼ぶな!!!」
何かを喚きだした。リュパン4世だと?まさかあの伝説の大泥棒一族の人間か!?
「私は理子として、そして私が私でいられるように、オルメスを倒して1世、3世を越えてやるんだ!理子が理子であることを証明するんだ!」
話がわかった。恐らく理子は大泥棒一族の中ではかなり劣っててそれをコンプレックスと思っておりならばと思い先代の3世、そして1世を越えるため、オルメス……ガリア語でホームズ…つまりアリアを倒して1世、3世を越えて自分は劣ってないと証明するためにこんなことをしてるんだ!でもなぜ俺も巻き添えに?
「話はわかるが…そうもいかないな。アリアを倒して何になる?理子の一族は有名な大泥棒一族だが…それでいいのか?」
「なんだと?」
「泥棒は所詮泥棒だ。犯罪だ。これは許されることじゃないな、例えどんなものであろうが。理子もそれらと同じになるぞ」
「………ふざけるな!!!私の一族をバカにするのか?!お前に何がわかる!イ・ウーに囚われ幽閉されていた幼少期の辛さを!2世にも劣る一族のゴミと言われ5世を生む道具とまで言われた私の辛さがわかるのか!!」
「そんなものわからないよ。だって体験したことねぇし」
「なんだと…?」
「ちょっとあんたなに言ってるのよ!相手刺激してどうするのよ!」
「人間そんなものだ。実際にその立場に立ってみないとわからないしね……」
俺MP40を下げて言った。
「逆に聞くけどなんでそれを誰にも言わなかったの?そこまで辛いならなんで言わないの?俺でもいいしアリアでもいい。またクラスの誰かに打ち明けれなかったの?誰でもいいから救いの手を差し伸べなかったの?」
「何を訳のわからないことを……」
「一人で抱え込むからこうなるんじゃん。しかも今までイ・ウーの囚われの身から離れてたんだから言えたはずだよ。助けを求めろよ!なんで今までそんな境遇言わなかったんだよ!助けてぐらい言ってくれよ!一人で抱え込まず誰かに助けを求めろよ!」
「そんな綺麗事ほざくな!ヘドが出る!」
「そう思ってんのか?目から涙出てるぞ」
「なっ…!?」
理子の目からは一粒の涙がこぼれ落ちた。恐らく理子自身も辛かったんだろうな。
「理子……こんなことをやめてくれ…俺達が理子を…」
助けてやると言おうとした瞬間、理子の両手から銃が見えた。直ぐ様俺は魔法を使い動体視力を上げてアリアを引っ張ってカウンターの中に隠れた。
動体視力を戻すと銃声が激しく聞こえた。
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!
銃の種類はわからないが両手に銃を持ってたためそれで撃ってるのだろう。カウンターの中で飾ってある酒の瓶銃弾に当たり割れる。それは俺達の隠れてる方へ飛び散る。銃声がやむと直ぐ様カウンターから出ると辺りはまるで台風が通ったかのように荒れていた。あんだけの弾を撃ってたしそれに室内だから撃った弾が跳弾したせいだろうな。
そしてそこには理子の姿はなく撃ったあとすぐに逃げたんだろうな。飛行機の中だしすぐに見つかるだろうと思いカウンターから出ようとした瞬間
ドッゴーーン!
飛行機が思いっきり揺れた。そのせいで俺はバランスを崩し落ちかけたがなんとか落ちないようにした。そしてカウンターから出ると
「な、なんの音!?」
アリアはカウンターから飛び出すように出た。
「わからないが…大丈夫か?」
「えぇ大丈夫よ。それよりも理子は!?」
「逃げられたようだ。まぁ飛行機の中で逃げ回るなんてたかが知れてる。それよりも急いで揺れた原因を探そう」
「逃げられたですって…これじゃママの冤罪が晴れないわ!」
「しかし飛行機の中だぞ?」
「あんた相手は私の宿敵リュパンの子孫よ?きっととっくに飛行機から外へ逃げ出してるわ」
「そうかな…?まぁそういうことにして急いで揺れた原因探すぞ!」
バーを出て通路の窓を見てみるとそこにはなんとエンジン部分から火が出てたのだ!
「もしかして揺れた原因はあれか!」
「そのようね…爆弾でエンジンを壊すなんて……このままじゃ飛行機は墜落するわ!」
…………え?
「は?マジで?」
「マジよ!急いで操縦室に」
「なんの音?バーから凄い音が聞こえたけど…」
声がする方を見るとそこには金髪ショートでおっぱ…もとい胸の大きな女性がいた。
どこかで見たことあるな…
「ねぇなんの音なの?さっき凄い揺れたけどそれと関係性があるの?」
「いえ…まぁその…」
「ん?ねぇ君どこかで見たことあるような気がするね…?」
金髪ショートの女性は俺をじっと見る。俺は恥ずかしさのあまり目を逸らした。
「あ!?もしかして昔イッルと一緒にいた子だね?」
「イッル?もしかしてニパおばさん?」
そうだこの人はニパおばさんだ。エイラおばさんの親友で同郷の人だ。小学生のときエイラおばさんと会ったことがあるがあの時と全く変わらない。
「名前は……オットーくんだよね?オットー・ハルトマン」
「えぇそうですが…どうしてこの飛行機に?」
「扶桑に旅行をしにね。君は?」
俺はニパおばさんに今までのことを説明した。
「そういうことなんだ…さっきの爆発もここにいたやつの仕業だね?」
「えぇそうです」
理子の名前は伏せておいた。理子を心配してのことだ。
「そうか…操縦室は?」
「今から行くつもりです。行きましょう」
「ねぇオットーくん、この人は?」
「ニパおばさんだよ。おばあちゃんの部隊に所属してた人の親友だよ」
「ニパ…?もしかしてニッカ・エドワーディン・カタヤイネンですか?」
「うんそうだけど…」
「オットー…この人ついてないカタヤイネンって呼ばれていて…ストライカーの事故率はウィッチ一よ…」
「ついてないとは酷いな…まぁ当たってるけど…」
え?ストライカーの事故率ウィッチ一?ということはかなり運が悪い人だよね…
「えっと…ニパおばさんは部屋に戻ってください。今から俺達だけで操縦室に行くので…」
「ちょっと待て!私の腕を疑ってるな?」
「いや疑ってるも何も事故率が高いの連れてきたらダメでしょ…」
が、ニパおばさんの強いお願いで連れていくことにした。
何故だ。絶対この飛行機墜ちたな…
「とりあえず俺と誰が操縦するの?」
「私爆撃機操縦したことあるから自身あるから任せて!」
これはもうだめだな。墜ちたと確信しよう。
「分かったわ。じゃあ私は乗客にシートベルトの呼び掛けとり…犯人を探してくるわ!」
アリアは理子の名前を伏せた。しかしアリアも止めてくれよ…
アリアが操縦室を去ったあと通信が入った。
『こちら扶桑空軍第十五航空団です。応答を願います。貴機は現在帝都へ航行中、ただちに進路を変えない場合は撃墜を行います。繰り返します…』
女の子の声が聞こえる。恐らくウィッチだろうな。え?なんだと…撃墜だと…?
「無理もないかもね。テロリストにハイジャックされてる場合は人命よりもテロを防ぐことが重要だから」
「ニパおばさん冷静に分析する場合ですか!?早く応答をしましょうよ!」
「了解…あれ?おかしいな?応答できないぞ?壊されてるぞ」
………は?
「え、いや…壊されてるってどういうことで?受信はできるんでしょ?」
「わからない…けどこれじゃ応答できないぞ!」
「それはともかく引き返して元の進路へ!」
「いやそれも無理だぞ、ハンドル壊されて運転できないようになってるな…」
「なんだと?じゃあどうして東京に向かってるんですか!」
「自動操縦システムにそう打ち込んだんだ……このままじゃ撃たれちゃう!!」
『貴機に応答なし。攻撃を開始します」
通信機からまた飛行機が大きく揺れた。
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
飛行機の全体像が書かれたパネルがなっていて見てみると左の翼が赤く光ってる。左の翼をやられたんだな。
「このままじゃ墜落するよ!」
すると機体が傾いた。そのせいで俺とニパおばさんは操縦席から落ちる。
「ニパおばさんどうします!?」
「できる限り操縦を頑張ってみるよ!その間に通信機を直してくれる?」
「俺が通信機を?なんとかやってみます!」
魔法を使いIQを上げる。これで頭がよくなりどんなことでも可能だ。
「えぇ!?オットーくんってウィッチみたいに魔法がつかえるの!?」
「えぇ…って今関係ないですから操縦に集中してください!」
「りょ、了解!」
俺は通信機を分解する。すると送信を行う部品が抜けていたのだ。これじゃ直しようがないが…仕方がない…俺はスマホを取りだしそれを分解して電話を行う部品を送信を行う部品の代用とした。すると…
「あーあー…こちら扶桑航空88便、聞こえますか?」
『は、はい!?こちら扶桑空軍…』
繋がった!
「繋がったの!?凄い!」
ニパおばさんは操縦をしながら言う。
「俺は武偵である捜査で犯人を追っていましてその犯人がこの飛行機に乗っていてその犯人によって操縦ができなくなってます。ので攻撃をやめてこちらの救援をお願いします」
『わかりました。では我々が翼を持って補助しますので付近に武偵の学園島の近くにある無人の人工フロートへの着陸を許可します!』
前を見ると暗くてわかりにくいが学園島の近くに人工フロートのようなものが見える。助かったな…が
なんと突然飛行機が降下し始めた。
「大変だ!突然降下しだした!このままじゃ本当に墜落する!」
今度こそ終わった…俺はまだ生きたかったのに…泣きそうになったが
突如降下が収まりすこし上昇し始めそれのお陰で人工フロートに飛行機が乗った。そしてそのまま止まった。
俺はポカーンとなった。何がなんだかさっぱりだった。もう死ぬかと思った。
「やったよオットーくん!」
隣でニパおばさんが大喜びしてる…ニパおばさんが飛び上がって喜んでるせいで揺れる胸を見てちょっと顔が熱くなった。
その後はというとニパおばさんは
そして俺は今寮の部屋にいる。もう最近いろんなことがあって疲れたよ………俺はベッドに横になり寝た。
これで一章は終わりです。二章をお楽しみに!