家のリビングのテーブルには母さん、父さん、そして姉貴、俺が座っている。テーブルには母さんの料理ではなく俺が通ってた陸軍士官学校の退学通知一枚が置かれている。
「………これで何回目だと思ってるんだ!」
ダンッ!とテーブルを叩いて父さんは言った。
「空軍の航空学校と海軍の航空学校、あと特例で認められた今回の陸軍士官学校…これで三回目だな」
俺は正直に言った。父さんはそんな俺を見て溜め息を出した。
「あのな…お前退学理由があろうことか上級生への暴行だぞ…今回は退学で済んだがこれが貴族の人間ならどうなってたと思う?退学じゃすまされないぞ」
「父さん、言っておくが俺はあの下級生の俺達をいびり散らし個人的な制裁だと言って俺達殴る蹴るするというクソヤロウに俺は一喝やっただけだ。それで退学なんかあり得ないぞ」
「相手の上級生は士官学校の校長の息子らしいね。それで学校内じゃかなり偉そうにしてたとか」
姉貴が俺の言おうとしたことを付け加える。
「今回の俺の退学は息子の悪行の揉み消しだろうね。ホント、軍隊は信用できん」
「オットー、今回はオットーは悪くないかも知れないけど航空学校は貴方が悪いんじゃないの?」
「まぁ確かにな…空軍と海軍では遅刻、居眠りの常習犯で退学になったけどさ…母さん、それは反省してるよ。でも士官学校じゃちゃんとしてたぞ。そりゃ週に一、二回は遅刻したり授業中は居眠りは2時間中1時間は居眠りしてたけど……」
「ダメじゃないの!」
母さんにも怒られた。まぁそりゃね。こんだけ正直に言えば怒るの当たり前だしね。
「で、オットーどうすんの?学校三回退学するなんて問題児誰が受け入れるの?」
姉貴の一言がぐさりときた。
進路やべぇかも…このままじゃただの中卒で終わるな…
事の大きさに気づいたせいか汗が暑くもないのにダラダラ流れてくる…
ヤバイぞ…マジで……
「お前はこのままじゃどこも就職先はないぞ。言っておくが父さんは知らんぞ」
これはヤバイ…もう頭の中にはヤバイの三文字しか浮かばない…
そんな時、ばあちゃんがきた。
「んーどうしたのみんな?」
「お母さん聞いて。オットーがね…」
母さんはばあちゃんに俺の退学のことを説明した。
「ありゃりゃ。こりゃまずいねー」
ばあちゃんは今年70か80になるにも関わらず外見は30ぐらいに見える。ので40ぐらいになる母さんがばあちゃんをお母さんと呼んでるのがおかしく見えた。
「ねぇオットー、どうする、ミヤフジのとこにお世話になる?」
「ミヤフジおばさんのことか?人の力を借りてやるのはちょっとな…てか病院だろ。俺が役立つとは思えん」
「それもそうか」
じゃあなんでばあちゃん言ったんだよ。
「ん…………そうだ!」
ばあちゃんがなにか思い付いたようだ。
「こないだネットで見つけたんだけどさ…こういうのはどうかな?」
ばあちゃんがスマホをとりだし俺に見せた。そこには…
【カールスラントの学生へ。扶桑の武偵高の留学求む!武偵高生、一般高生でも構いません。試験会場は……】
これだ!これしかない!
「そうだ!武偵だ!武偵しかない!俺は扶桑の武偵高に留学する!」
今思えばそれが俺の人生にかなりの影響を与えたな。
登場人物紹介
オットー・ハルトマン
17歳の高校生。容姿は金髪の細身の男の子。空軍、海軍の航空学校や陸軍士官学校に通ってたが素行不良で退学。
祖母のエーリカ・ハルトマンに似てずぼらな性格で部屋はベッド以外は足の踏み場もないくらい汚い。だが人のことを思う気持ちはエーリカ以上にある。
男でウィッチじゃないにも関わらず魔法が使えるので軍学校へ特待生として迎えられた。
陸軍士官学校の退学後エーリカの薦めで扶桑の武偵高への留学を決意する。