前々から三人称と一人称がごっちゃになる時があって、書きにくいと思っていたので……。
投稿済みの話は、続きを投稿しつつ片手間に修正していきたいと思います。
「以上がバアル家とグラシャラボラス家の対戦の映像だ」
アザゼル先生はそう言いながら流していた映像を切る。
今は生徒会の仕事を終え、悪魔の側の方に切り替えている。
そして、生徒会室で眷属一同他家の試合の動画を見せさせられていた。
「流石サイラオーグ・バアルと言ったところでしょうか。事前ランキング一位なだけはありますね。狂児と忌み嫌われたグラシャラボラスが全く相手にならないなんて……」
会長がボソリとつぶやく。
それだけ圧倒的な試合だった。映像越しでも分かる一撃一撃の重さ。
もしかしたら兵藤以上かもしれない。
しかも、まだまだ余裕そうだ。
「事前ランキング?そんな物あったんですか?」
仁村が会長に質問する。
そういえば今さっき、そんな事言ってたな。
「ああ、言っていませんでしたね。若手同士の対決前にゲーム運営委員会が出したランキングでは一位がバアル、二位がアガレス、三位がグレモリー、四位がアスタロト、五位がシトリー、六位がグラシャラボラスとなっていました。コレは『王』と眷属の力を平均して比べて作られたランキングです」
評価はあまり高くないだろうと思ってはいたけど、まさか五位だったなんて思わなかった。
「わ、私たちってそんなに評価低かったんですね……」
「納得できなくはないけど、正直ちょっとショックね……」
巡と由良だけではない。
このことを知らなかった仁村、草下、花戒も同様に傷ついているようだった。
眷属で唯一知っていたのは『女王』である副会長だけだ。
「だから会長も私も黙っていたんです。戦う前から決めつけては勝てる物も勝てませんからね」
「ええ、その通りです。まぁその評価も一度の手合せでかなり変動しましたが」
「そりゃあそうだ。なんたってお前らは三位のリアス達に勝ったんだ。既にこのランキングも意味を成していない。……が、サイラオーグは別格だ。間違いなくアイツが若手悪魔の中でも一番強い」
「そ、そんなに強いんですか?」
花戒がおずおずと手を挙げて先生に質問する。
「ああ、強い。なんたってグラシャラボラスとの戦いでも本気を出していなかったんだ」
『!?』
「……」
「やっぱり、凄い天才なんですか……?」
今度は草下が質問する。
「ふむ……。おい匙、さっきから黙ってるが、お前はサイラオーグをどう見る?」
「なんで俺に質問を返すんですか・・・」
「なに、お前さんの『観察眼』はどれくらいの物かと思ってな」
今気にするところなんですか?と言いたいところだけど、それを飲み込む。
この人が何を言わせたいのかはなんとなくわかった。
「底知れない物は感じましたが、でも……」
「でも、なんだ?言ってみろよ」
「才能の欠片も感じませんでした。ただ殴って蹴ってるだけだし、特別な力を使っているわけでもない」
『……は?』
「いやいや、元ちゃん。嘘でしょ?」
「そんな冗談言っても面白くないわよ?」
巡と由良の二人はあきれたような目で見てくる。
失礼だな、お前ら。
俺は本当の事を言っただけなのに。
「実は匙の評価は正しい。アイツは才能を持たずに生まれてきた。バアル家に伝わる『滅びの力』を持っているのは従兄弟であるグレモリー兄妹だからな。才能を持たないからこそアイツは他の天才どもがしない努力をした。それが今のサイラオーグの強さだ」
子供でも考えられるようなことだ。
才能がないのなら努力をすればいい。
誰にでも努力をすることはできる。
ただ、それを継続してできる者は少ない。
しかも、血の滲むような努力を継続してできる者は更に少ない。
「サイラオーグだけじゃない。アスタロトもアガレスを破ったらしいからな。十分気を付けるこった。その前にお前らには面白いイベントが待ってるだろうけどな」
面白いイベント?
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「成程、面白いイベントっていうのはテレビ取材の事だったんですか」
「ええ、若手悪魔特集らしいです」
以前冥界に行って分かったのは、思ったより発展している。
というか、人間側よりずっと発展していた。
テレビなどの娯楽もほとんど差異はないらしい。
「わ、私テレビ番組に出るの初めてだから緊張します……」
冥界にジャンプ直前。仁村は緊張のあまり目がグルグルとまわっている。
「留流子、貴方もシトリー眷属の一員なのだからしっかりしなさい」
「あぅ、椿姫先輩は緊張しないんですか?」
「いちいちそんな事に緊張してたら『副会長』も『女王』も務まりません」
副会長は全然緊張していないらしい。流石としか言いようがない。
「ねぇ憐耶、変なところない?」
「だだだだ、大丈夫だよ巴柄ちゃん!」
「まず憐耶が大丈夫じゃないでしょ?」
「そそそそ、そんなことないよ翼紗ちゃん!」
「はいはい、大丈夫大丈夫」
巡は身だしなみを何度も何度も確認し、草下は仁村同様目がグルグルになり、由良は自然体。
性格が良く表れてるな。
「元ちゃん」
「……?ああ、花戒か」
今まで元士郎君と呼ばれてたから、まだ慣れなくていつもの二人を見てしまった。
「元ちゃんは緊張しないの?」
「全然」
「あ、あはは。その反応はいつも通りだね」
花戒も緊張しているらしい。
「おしゃべりしていないで行きますよ?」
全員が魔方陣に乗り、視界が光に包まれ別の場所へと変わる。
一瞬で視界が変わるこの感覚は未だに慣れないな。
「おまちしておりましたソーナ・シトリー様、眷属の皆様。此方へどうぞ」
そのまま、スタッフらしき人について行く。
転移先は建物の地下だったらしく、上層を目指して歩いて行く。
気のせいか、人とすれ違うたびに視線を感じる。
スタッフの足が止まる。ここで収録するらしい。
その後は特に何か起きるわけでもなく収録が始まる。
基本は会長に質問され、動じることもなく会長はその質問に答えていく。
たまに話を振られる他の人たちは副会長と由良以外は緊張しすぎて、まともに受け答えができていない。
自分限定での質問が来ても、あたりさわりのないような答えを返した。
『……』
収録が終わり、緊張感から解放された四人はぐったりしている。
廊下を歩きながら会長と副会長がため息をつく。
「なさけないですね、貴方たちは」
「椿姫の言うとおりです。これからこういった場も増えてくるのですからね?サジと翼紗を見習いなさい」
『その二人と比べられても……』
「失礼しちゃうわね」
「全くだ「あ、あの!!」……ん?」
そんなやり取りをしていると、数人の女性が近づいてきた。
「匙さんですよね!?グレモリー戦見てました!!私ファンになちゃって……」
「は、はぁ」
そんなキラキラした目で見られてもどうすれば良いのか困る。
それにファンって、アイドルでもあるまいし。
「あ、握手してください!!」
「まぁそれくらいなら?」
一人一人握手をしていく。
「頑張ってください!!応援してますから!!」
「???」
握手し終わると手を振って行ってしまった。
結局なんだったんだろうか……。
「レーティングゲームで活躍すると人気が出てきますからね。主として誇らしい限りです」
「いえ、あの、会長?顔は笑ってますけど、目が笑ってな……痛ッ!?」
グリィッと両足が踏まれる。
おもいっきり踏まれた所為か、メチャクチャ痛い。
「「ふん!!」」
人の両足を片方ずつ踏んできた仁村と巡を涙目で睨むがそっぽを向かれる。
なんでこんな目に遭っているのか分からず、花戒に視線を向ける。
「……(ぷいっ)」
今度は草下に視線を向ける。
「あははー」
すぐに目を背ける。
今まで見たことがないくらい笑顔だった。
なぜか凄く怖かった。
ポンッと両肩に手を置かれる。
「分かってる。元士郎に悪気も下心もないのは分かってるのよ?でも今のは、何かちょっとイラッとしたわ」
「サジ、私は貴方がいつか眷属の誰かに後ろから刺されるんじゃないかと心配でなりません」
「副会長、そんな不吉な事を言わないでください……」
「何をしているのですか!?椿姫、翼紗、二人とも帰りますよ!!」
その中に俺の名前が入っていないのは言い忘れたんですよね?
意図的に外したんじゃないですよね?
「まぁ、少ししたら収まりますよ。とにかく帰りましょう?」
「……はい」
副会長の優しさが身に染みる。
ついて行こうとしたとき、優男とすれ違う。
「ッ!?」
悪寒が走る。
今の、確かディオドラ・アスタロトだよな?
以前にも見たことがあるが、前はこんなことなかった。
「サジ、何をしているのですか?置いて行かれますよ?」
「……今行きます」
アスタロトと次やるのはグレモリーだったな。
気を付けるように兵藤に言っておこう。
ハーレムって書くの難しいですね。
安易にならないように気を付けようとは思うのですが、ついつい簡単な方に手が伸びる。
あとポンポン更新しすぎて、話が思いつかなくなってきてしまいました。
それでも、せめて匙の厨二レベルが最大になるまでは……。