新訳 そして伝説へ・・・   作:久慈川 京

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戦闘⑧【北西海域】

 

 

 

 翌朝、最も早く目を覚ましたのは、メルエだった。

 実際には、この家の主であるトルドが既にいなかったのだから、メルエという訳ではないだろう。

 目を覚ましたメルエは、隣で眠るリーシャの腕の中から這い出て、ベッドから降りる。この家屋は、客間のような物が設けられており、客人の為に二つのベッドが用意されていた。

 その一室にリーシャ達三人が入り、カミュはカザーブの時と同様に広間で眠る事になっていたのだ。

 部屋のドアを台に乗って開けたメルエは、そのままカミュの眠る広間を抜け、外へと出て行く。陽が昇り始めたばかりの集落は薄暗く、それでいて日の出という美しい光が、集落の中央に位置する場所に湧き出る泉を輝かせていた。

 

「…………ほぅ…………」

 

 目の前に広がる神秘的な輝きに、メルエは一つ息を吐き出し、笑みを浮かべる。

朝露が輝く草花は、陽の光と共に目覚め始め、メルエという幼い少女を歓迎しているかのように、美しい音色を奏でていた。

 自身の吐き出す息が白く濁っている事が楽しいのか、メルエは笑みを浮かべながら、手に息を吐き出す。この場所の気温が低いという訳ではないが、朝が早い為に、夜の気温が残っているのだ。

 徐々に明るく照らし出される集落を眺めていたメルエは、昨日と同じ場所で同じ人物を見つけ、楽しげに駆け出した。

 

「メ、メルエちゃん、もう起きたのかい? 早起きだな……アンと一緒だ」

 

「…………アン…………」

 

 近寄って来たメルエに気がついたその男性は、遠い昔に失った最愛の娘の名を呟く。彼の頭の中には、元気に駆け回り、常に笑顔を振り撒く幼い娘の姿が映っていたのだろう。

 アンという少女もまた、好奇心旺盛な子供であった。

 カザーブの村という集落から出る事はなかったが、その村の隅々まで、朝早くから探検していた物だった。

 村で暮らす人々と笑みを交わし、そこで生きる動物達と会話を交わし、土に根付く草花を愛で、草花と共に生きる虫達に挨拶する。それが、彼の娘の日課であったのだ。

 

「アンも早起きでね……朝食に戻らない事は度々あったんだよ」

 

 娘を思い出すように優しく微笑むトルドに対し、メルエもまた微笑みを返す。

 在りし日のアンを思い浮かべたトルドの顔はとても優しく、メルエの心もまた、とても和やかな風が吹いていた。

 トルドから視線を外したメルエは、先程までトルドが見ていた工事現場を見上げ、小さく首を傾げる。一般的な知識の薄いメルエは、出来上がって行く大きな物が何であるのか想像できないのだ。

 

「ここには、劇場を建てようと思っているんだ」

 

「…………!!…………」

 

 小首を傾げるメルエを見たトルドは、先程まで自分が細かな設計部分を考えていた建物について語り始める。しかし、その中の単語を聞いたメルエは、明らかに怯えに近い感情を顔一杯で表現し、眉を下げてしまった。

 トルドはメルエの生い立ちを何一つ知らない。

 彼がメルエと出会った時は、カミュ達三人でさえも、メルエについて何一つ解ってはいなかったからだ。

 あれから時間が経過し、カミュ達の旅も大きく進んで行った。その過程で、メルエの生い立ちも、少しずつそのベールを脱いで行ったのだが、トルドはその一連を何一つ聞こうともしないし、知ろうともしていない。唯、単純に、メルエの生い立ちについての事実の一部が明らかになっている事を知らないだけなのか、敢えてその辺りを追求しないのかは解らないが、トルドはメルエの素性を何も知らないのだ。

 

「メルエちゃんは劇場が嫌いなのかい? 大きくて人の集まる場所には、大きな劇場があるんだよ。ここも、そんな夢と希望に満ちた場所になって欲しいと思ってね」

 

「…………メルエ………きらい…………」

 

 メルエの劇場という物を教えようと口を開いたトルドは何も悪くはないだろう。だが、その相手を間違えてしまったのだ。

 不機嫌そうに『ぷぃっ』と顔を背けてしまったメルエに、トルドは困り果ててしまう。先程まで花咲くような笑みを向けていた筈の少女の機嫌が突如として最悪な方へと振れてしまった事に見当がつかなかった。

 思えば、彼の娘であるアンもそうであった。

 自分が悪いと自覚している時にトルドが怒れば、意気消沈した顔で神妙に話を聞くが、自分に非が無い事等の場合、トルドに背を向け、完全に機嫌を損ねてしまう。そうなってしまうと、もはや妻に頼るしか道はなかった。

 何も口を開こうとしない娘の姿には、怒りよりも哀しみが湧いて来る。現時点のメルエのように、何に対して機嫌を損ねたのか解らない物に対しては、トルドに出来る事など何も無いのだ。

 

「メルエ、勝手に出て行くなとあれ程言っているだろう?」

 

 どうしたら良いか解らずに、おろおろとしていたトルドの元へ救いの手が差し伸べられる。朝陽を背に、こちらへゆっくりと歩いて来たのは、既に身支度を整えた三人だった。

 先頭を、斧を背中に備えた女性戦士が歩き、その後ろからは、サークレットを被った髪の毛が不自然に跳ねた『賢者』が続く。最後に、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来る青年の顔は、若干の疲れを感じさせていた。

 

「…………ごめん……なさい…………」

 

「でも、無事で良かったです」

 

「メルエの身よりも、自分の寝癖を気にした方が良いのではないか?」

 

 リーシャに向かって頭を下げるメルエには、三人が自分を心配していたという事が理解出来たのだろう。神妙に眉を下げて頭を下げる姿に、全員が苦笑を浮かべた。

 安堵の溜息を吐いたサラが、メルエの傍に屈み込み、その身体を抱き締めたのを見て、カミュは大きな溜息を吐き出す。実際、カミュとサラは、リーシャによって文字通り叩き起こされていた。

 起きた時にメルエがいないという事は、既に何度か体験しているリーシャではあるが、家屋の中に居ない事で、それは焦りに変わる。居間で眠っていたカミュを叩き起こし、部屋で眠り扱けるサラの毛布も剥ぎ取った。

 突如として毛布が無くなった事で、サラは驚愕のまま飛び起き、リーシャの剣幕に急かされてトルド宅を飛び出して来たのだ。つまり、彼女は、服こそ旅立ちの支度を整えているが、その他は寝起きのままという事になる。

 

「サラ、女性がそのような姿で人前に出るなと言ってあるだろう」

 

「えぇぇ!? リ、リーシャさんが無理やり急かしたのではないですか!?」

 

 カミュの言葉に乗っかったリーシャに対し、サラは非難の声を上げて髪の毛に手を当てる。癖の少ないサラの髪の毛は、寝ている時の形に固まってしまい、所々が跳ね、所々が窪んでいたりしていた。

 そんな一行のやり取りを黙って見ていたトルドであったが、サラが大慌てて髪の毛を直す姿を見て、我慢していた笑いが込み上げて来る。噴き出した笑いは、簡単には収まる事はなく、暫しの間、誰もいない早朝の集落に笑い声が響き渡っていた。

 

「劇場を建てる計画は、そのまま進めるのか?」

 

「ん? ああ、海賊との交渉などで一向に進んでいなかったが、ようやく落ち着いて取り掛かれるようになったし、何より、この場所に人が増えた。人が集まる所には、娯楽が必要だしな」

 

「…………メルエ………きらい…………」

 

 一通り笑い終えたトルドが落ち着くのを見計らって、順調に土台が出来上がっている劇場予定地を見ていたカミュが口を開く。以前に訪れた時に、カミュはこの場所に何を立てようとしているのかを、トルドから聞いていた。

 その時は、この場所に居る人間は、トルドとあの老人だけであった。

 だが、今は、移住をして来た人間が多数生活をしており、人が生活する以上、様々な店舗が必要となって来る。食料を購入する為の店舗や、衣服を購入する為の店舗、そして、人が多くなれば、トルドの言うように娯楽施設なども必要になって来るだろう。

 

「ここは、アンタが造る町だ……アンタが思うようにすれば良い……」

 

 むくれるように頬を膨らませたメルエをリーシャが宥めている中、カミュはトルドの瞳を真っ直ぐに見つめ、何かを飲み込むように言葉を発した。

 『勇者』と呼ばれる青年は、『商人』ではない。

 だが、そんな彼も、ここまでの旅の中で、様々な集落を見て来た。

 城下町や自治都市、寂れた村や華やかな町。

 数多くの場所を旅し、見て来た彼だからこそ、そんなトルドに思うと事があったのだろう。だが、リーシャやサラには、そんなカミュの様子が不思議な物に映っていた。

 何かを言い淀むようなカミュの姿は、正直珍しかったのだ。

 

「まぁ、次にアンタ方がこの場所を訪れる頃には、名実共に『町』にして見せるさ」

 

「楽しみにしています!」

 

 カミュの様子に気付かないトルドは、どこか誇らしげに宣言する。

 彼がこの場所に根を張って、既に一年以上の月日が流れている。通常、一年やそこらで集落を作り出す事は不可能だろう。だが、彼には培って来た人脈と、何より、彼の目の前に立つ四人の『勇者』達が付いている。遠く離れて旅する四人の噂は、彼の耳に入って来る事もあり、そんな勇者達の行動が、彼の目指す『町』へ結びつく事もあった。

 だが、そんな結びつきも一つの要因にしか過ぎず、ここまでの土台を築いて来たのは、トルドという商人なのだろう。

 

「もう出発するのか? それなら、町章を門の看板に取り付けるのを見届けて行ってくれよ」

 

 笑みを絶やさないトルドは、昨夜メルエから預かった<魔道士の杖>の残骸を取りに家へと戻って行く。

 昨夜の町章に関する話が、本気であった事に若干の驚きを表したカミュ達であったが、戻って来たトルドの手にしっかりと木の棒が握られており、それを打ち付ける為の釘や添木、更には金属で出来た紐のような物まで手にしているのを見て、何処か諦めにも近い苦笑を浮かべた。

 

 五人が集落の門へ向かう頃には、太陽も完全に大地から顔を出し、住民達も少しずつ家屋から顔を出し始める。この場所の発起人であるトルドが、何やら腕に抱え、笑顔で門に向かう事を不思議に思った住民達は、カミュ達の後ろをついて歩き出し、門を見上げる場所に辿り着いた時には、住民の殆どが門の周りに集結していた。

 高い梯子を看板に向かって立て掛けたトルドは、カミュ達の事は暈しながらも、住民達に町章の事を語り、添え木に木の棒を打ち付けて行く。

 奇妙な曲線を描く<魔道士の杖>であった棒は、三か所に釘を打たれ、その周囲を金属の紐で結び付けられた。頑丈に付けられた木の棒は、在りし日の<魔道士の杖>としての姿を彷彿とさせる。

 

「えっ!? あ、あれ? メルエ、見て下さい」

 

「…………赤い……いし…………」

 

 梯子を上り、添え木を看板に打ち付けたトルドは、懐から取り出した物を町章となる木の棒の先端部分に嵌め込んだ。

 元々、宝玉が嵌め込まれていた場所は、砕け散った石が無くなった事によって空になっていたが、嵌め込む事の出来る構造は健在である。多少ずれる事はあっても、再度嵌め込まれた石は、落ちる事はないだろう。

 <魔道士の杖>として販売されている物に嵌め込まれているような特別な力を宿した宝玉ではない筈。その証拠に、以前に嵌め込まれていた石よりも色に深みが無い。だが、遠目から見れば、在りし日の姿そのままであり、メルエはその瞳を潤ませた。

 

「メルエちゃんに貰った青い石を嵌め込もうとも思ったんだが、あれは少し小さかったし、何より俺の宝物だからな」

 

「…………ん…………」

 

 傍に寄って来たトルドに、看板を見上げていたメルエは笑顔で頷いた。

 トルドが貰ったというのは、『命の石』の欠片であろう。己が大事に思っている相手に対して、メルエが手渡す物ではあるのだが、カミュの命を護る為に砕け散った欠片は、掌で包み隠せる程に小さな欠片である。杖の先端に嵌め込むには小さ過ぎるという物だ。

 それに、最愛の娘の唯一の友であるメルエから貰った大事な宝物は、例え彼が命を懸けて作る町の町章とはいえ、嵌め込む事は出来なかったのだろう。それは、最愛の娘に貰い、既に枯れ果てた花冠と同様に、彼の部屋の引き出しの中に大事に仕舞われる事になる筈だ。

 

「では、私達は行く事にしよう」

 

「ああ」

 

 トルドが、メルエの<とんがり帽子>に着けられた花冠をそっと撫でるのを見たリーシャは、出立をカミュへ進言する。その提案を受け入れたカミュは、そのまま一度トルドに目配せをし、集落の外へと出て行った。

 小さく手を振るメルエの反対側の手を握ったサラが、トルドに頭を下げてカミュの後を続き、リーシャは笑顔でトルドに別れを告げ、最後に歩き出した。

 看板に杖が掲げられている間に、準備を済ませて集合し終えていた船員達もカミュ達に続いて集落を出て行く。

 残されたトルドは、カミュ達の姿が森の方へと消え、見えなくなるまで手を振り続けていた。

 

 

 

「あの分では、次に訪れる時には、人で溢れ返っているかもしれないな」

 

「そうですね。劇場まで建てられたら、賑やかな町になるでしょうね」

 

「…………メルエ………きらい…………」

 

 集落を離れ、森の中へと足を踏み入れた頃に、リーシャが一度振り向いて、言葉を洩らす。その言葉に同意するようにサラが予想を口にし、メルエが眉を顰めた。

 それは、このパーティー内で頻繁に行われる会話の一つであり、そこに特別な何かが存在する事はない。だが、唯一人、何も語らず、黙々と歩く者がいた。

 それ自体は、いつもの事であり、先頭を歩く青年を交える事無く、女性三人で会話をする事は珍しい事ではないのだが、劇場工事現場に居た時のカミュの表情を見ていたリーシャは、その姿に引っ掛かりを覚える。

 

「カミュ、何か思う事でもあるのか?」

 

 そんなリーシャのある種の勘が言葉を紡がせた。

 驚いたのはカミュだろう。静かに振り向いたカミュの表情は、予期せぬ問いかけだった事を示しており、その顔を見たサラもまた、足を止めてしまう。

 森の中に入ったとはいえ、早朝であった為、商人などの通りは全くない。

 陽の光もまだそれ程ない森の中は、若干の薄暗さを保ち、気温も高くなってはいない。振り向いたカミュが口を開くまでの間、誰一人動く事無く、森の木々が騒ぐ音だけが聞こえていた。

 

「正直、今の段階で劇場が必要なのかどうかが、俺には解らない。トルドは何か焦り過ぎているのではないかと思っただけだ」

 

「トルドが焦っている?」

 

 ゆっくりと時間を掛けて口を開いたカミュの言葉は、リーシャやサラにとって予想外の物だった。

 町造りにトルドが必死になっている事は知っている。その証拠を今ままで見て来たのだから、その懸命さに疑う余地はないだろう。

 だが、カミュはそこに懸命さではなく、焦りを感じているというのだ。

 確かに、一年程で町の形態を作り始めている場所というのは異例だろう。ましてや、『魔王バラモス』という存在の台頭によって、世界各地の魔物達の凶暴化が進むこの時代である。

 それに、トルドの商人としての器量や才能が寄与している事は否定できないが、それを加味しても尚、その進行速度は異常なのだ。

 

「風が湿って来たな……二、三日で雨になるぞ」

 

「……急いだ方が良さそうだな……」

 

 カミュの発言に訝しげな表情を浮かべていたリーシャとサラであったが、その思考は、後ろからついて来ていた船員の一人によって遮断される。その船員は、頭目と同様に長い航海歴を持っている者。ポルトガ国出身の海の男であり、頭目の次の年長者であった。

 空を見上げたその船員は、吹き抜ける風に湿りを感じ、長い経験から、その後に雨が来る事を告げていた。

 カミュ達も空を見上げてみるが、いつもとの違いが解らない。雲は多くもなく、少なくもない。雲の流れが多少早いぐらいにしか感じる事が出来なかった。

 それでも、この船員達と共に数々の試練を潜り抜けて来たカミュは、その船員の言葉を信じ、船への道を急ぐ事を告げる。リーシャやサラもその想いは同様であり、先程までの思考を中断し、歩む足を速めた。

 船に早めに戻る事が出来れば、一度ポルトガへ戻り、船を休めて雨風が収まるのを待つという選択肢が残される。それが最も安全な物であると考えているカミュは、メルエを背負う事にして、先頭を早足で歩き始め、他の者達も遅れないようにと懸命に歩き出した。

 

 

 

「おお、お帰り……風が湿って来た。海が荒れる可能性がある」

 

「……先程聞かされた……ポルトガへ戻るか?」

 

 休憩を碌に挟まずに歩き続けたカミュ達は、太陽が大地へと沈み、周囲を完全に闇が支配した頃に船へと辿り着く。

 カミュの顔を見た頭目は、開口一番に、先程の船員と同様の事を口にする。

 確かに、集落を出た頃よりも風は強まっており、船を浮かべる海原の波は高くなっていた。

 大きく揺れ始めた船上に入ったサラは、久しく感じていなかった、胃の中が揺れ動く感覚に顔を顰め、それを見上げていたメルエが、心配そうに眉を下げる。

 

「いや、今からポルトガへ戻っても遅いかもしれないな……航路の途中で雨が降り出すだろう」

 

「この船着き場でやり過ごすか?」

 

 カミュの言葉に静かに首を振った頭目の視線は、星の輝きが見えなくなって来た夜空。徐々に空を覆って行く雲は、星ばかりか、月さえも隠してしまっていた。

 ポルトガまでは、ここから三日近く掛かる。その間に雨が降り出すと考えた頭目は、他の方法を思案しているのだろう。しかし、その考えは、カミュが考えている物とは大きく異なっていた。

 

「いや、その必要もないだろう。多少の風や雨はあるだろうが、ここまでの航路で何度も経験して来た程度の物だ。嵐という程の物ではない」

 

「出港するのか!?」

 

 空を見上げながら腕を組んでいる頭目の言葉に驚きを現したのはリーシャだった。

 カミュとの話を聞いていたリーシャは、何処かに停泊し、二日程の時間をやり過ごすと考えていたのだろう。強行的に出港すると考えていなかったサラもまた、リーシャと同様に驚きの顔を浮かべる。

 だが、カミュは頭目と目を合わせて、小さく頷きを返した。

 目的地以外の決定権は、カミュではなくこの頭目にある。頭目が出港できると言えば、例えカミュ達に疑問があったとしても、それが正当な道であるのだ。

 それだけの信頼関係をカミュと頭目は築いて来た。

 

「カミュ、行くのか?」

 

「サマンオサへ向かいたい。もう一度、この大陸沿いに北へ向かってくれ」

 

「サマンオサか……あの国は、高い山脈の内にある。船では行けないぞ?」

 

 その信頼関係は、リーシャ達三人が不在であった二か月の間で築いている。彼女達が不在の際、この船の行く先を決めて来たのはカミュであるが、その経路や日時を決めて来たのは頭目なのだ。

 船の事、海の事を知らないカミュは、頭目の指示に従い、焦る心を抑えて海を渡って来た。

 魔物との戦闘だけではなく、雨風に荒れる海原をも、船員達と力を合わせて乗り越えて来た経験が、リーシャ達よりもあるのだ。

 故に、カミュは頷く。

 頭目という立場に立っている彼が、自分達に危害が及ぶ決定をする筈がないという事を信じて。

 

「船を下りて歩いても駄目なのですか?」

 

「あの山脈は越えられないだろうな。あの国が国交を閉ざす前は、『旅の扉』で移動していたらしい」

 

「旅の扉でか?」

 

 船は出港する事に決定した。

 ならば、次は目的地。

 しかし、その目的地へも船では行けないという情報が入り、サラはそれを確認する為に口を開く。そのサラの疑問へも、即座に回答が返って来た。

 リーシャは不思議そうに首を傾げているが、サラはその言葉で全て思い出す。何故、カミュがこの場所から北へと向かおうとしているのかを思い出したサラは、北の地にあるグリンラッドと呼ばれる永久凍土で暮らす老人との会話をも思い出したのだ。

 

「出港だ!」

 

 サラの表情を見た頭目が、船員達に指示を飛ばす。船上で出港の準備を整えていた船員達は、その指示に大きく声を上げ、それぞれの持ち場へと散って行った。

 ゆっくりと船着き場を離れる船は、雲行きの怪しくなった海へと漕ぎ出し、この空と共に暗雲立ち込める場所へ向かって進んで行った。

 

 

 

 船が開拓地のある大陸を離れて二日目には、大粒の雨が空から降り始める。風も時間と共に強くなって行き、それに伴って波も高くなって行った。

 海上を飛ぶ海鳥の姿もなくなり、陽の光も弱まった頃、大きく船体を揺らしながら進む船上に戦慄が走る。

 荒れる海原は、黒く濁ったように海中を覆い隠しており、海の中で蠢く影に気付く者は誰もいなかった。

 それは誰の声だっただろうか。不意に上げられた声は、大きく震えながらも、その存在を皆に伝えようとする必死さが伝わって来る物だった。

 

「イ、イカだ!」

 

 この海で『イカ』と言えば、数多くの船を海の藻屑と変えて行った<大王イカ>しかいない。この船に乗る誰しもがそう思った。

 そして、その解釈は、船員達に何処か安堵の心情を生み出して行く。この船は、通常の商船等とは異なる。更に言えば、数日前まで停泊していた開拓地へ向かう為の護衛団が率いる船とも異なっていた。

 この船に乗る者は、世界を救う為に旅立つ『勇者』。

 そして、その『勇者』を支える仲間達。

 数々の船を沈め、海の者であれば誰しもが恐れる<大王イカ>も、彼等の前では、二度も海に沈められている。しかも、それは『勇者』が唱える、たった一撃での事だ。

 

『恐るるに足りず』

 

 この船に乗る半数以上の船員達は、そう考えただろう。

 事実、船の前方に出現した巨大なイカを見たカミュは、一度空を見上げ、一人船首に向かって歩き出していた。

 空に雷雲があるのであれば、<大王イカ>など、物の数ではない。

 粘着性の強いその足がマストへと伸ばされた時、その一撃が振り下ろされた。

 

「ライデイン」

 

 力が込められた詠唱ではない。

 逆に肩の力を抜いているような、ごく自然な詠唱。

 当たり前のように、空に広がる黒雲の中で光り始めた雷は、振り下ろされた指先に居るイカに向かって、その怒りを落として行った。

 眩いばかりの光と、劈くような音を発して走った雷光は、正確にイカの身体を貫き、その身体の内部を焦がして行く。イカを焼いたような焦げた臭いを発した身体を見た誰もが、自分達の勝利を確信していた。

 

「なっ!?」

 

「うわぁぁぁ!」

 

 しかし、それは彼等の慢心であった。

 この海に生きる巨大なイカは、<大王イカ>であるという先入観。それが、彼等の判断力を狂わせてしまったのだ。

 <大王イカ>と直面した者達が一人残らず死んでいる訳ではない。それは、<大王イカ>という存在を、『人』という種族が知っている事が明確に証明している。生き残った者がその存在を他者に伝え、それを聞いた者が、更に誰かに伝えて行った。

 故に、その恐ろしさと共に、その存在も海を渡る者達の間で周知の事実となっているのだ。

 

<テンタクルス>

今では、誰が名付けたのかさえ解りはしない。その名となる言葉の意味は、この世界のある地方では、『触手』や『触腕』という物であるという説もあるが、それら全ては確証の無い物である。誰もその姿を見た者はおらず、万が一見た者は、全て海の底へと散って行く為、話題に上る事さえもない。<大王イカ>にやられたのだと思う他、考える余地はないのだ。

その身体能力、強靭さは、<大王イカ>を遙かに凌ぎ、正にこの海原の支配者という名に相応しい。伸ばされた触腕は、正確に船上の者達を掴み、船全てを沈めるのではなく、その人間を全て喰らい、証拠隠滅を図るように、船も沈めて行く。故に、誰一人として、生き残りはいないのだ。

 

「うわぁぁぁ! 助けてくれぇ!」

 

 一人の船員が、焦げ臭さの残る触腕に身体を巻かれ、上空へと掴み上げられる。今までの戦闘で、泣き事や弱音を吐いた事のない船員達の心を、『勇者』の放った最強の一撃を受けて尚、自由に動き続ける魔物が、恐怖で支配し始めていた。

 次々と触腕を伸ばし、数人の船員が掴み上げられる。そのまま、海中にある口へと運ぼうとする<テンタクルス>を許す程、この船に乗る世界の希望は甘くはない。

 

「バギマ!」

 

 上空に向けて手を翳し、唱えられた声は、この世界の『人』を救う『賢者』の物。

 翳した手の周囲の風は一気にその勢力を広げ、吹き荒れる上空の風も味方につけて真空へと変化する。真空となった風の刃は、船員を海中へと引き摺り込もうとする触腕を切り裂いて行った。

 切り裂かれた触腕に掴まれていた船員が上空から落下し、それを慌てて船員達が受け止め、後方へと下がって行く。追おうとする触腕をリーシャの斧が切り落とし、他の船員を抱える触腕をも斬り飛ばした。

 

「メルエ!」

 

「…………ん………メラミ…………」

 

 落下してくる船員を片腕で受け止めたリーシャを見たサラは、後方で背丈よりも高い杖を掲げる『魔法使い』へと指示を飛ばす。

 神妙な表情で頷いたメルエは、高々と掲げた<雷の杖>を<テンタクルス>の顔面に向けて詠唱を行う。メルエの言霊と魔力を受け取った杖は、その先端に彫られたオブジェへと伝え、それに応えたオブジェが幼い『魔法使い』の力を具現化して行った。

 制御された魔法力は、その密度を高め、灼熱の火球となって<テンタクルス>へ向かって吐き出される。巨体を持つ大イカの顔面へ直撃した火球は、その目を焼き、その身体を溶かして行った。

 

「カミュ!」

 

「わかっている!」

 

 怯んだ<テンタクルス>を見たリーシャが、カミュへ声を飛ばし、それを受け取った青年は、最後の船員に巻き付いている触腕を斬り飛ばす。触腕と共に落下して来た船員は、残った船員達で受け止め、再び後方へと引き摺られて行った。

 目を焼かれて暴れ狂う<テンタクルス>が伸ばした触腕は、メルエが放った<イオ>によって弾き飛ばされる。大きな爆発音と共に吹き飛ばされた触腕が甲板の上に粉々になって落ちて来た。

 とても凄惨な光景ではあるが、これが魔物との本来の戦闘なのだ。

 この船が海へ出てから、ここまでの苦戦を強いられた事は皆無に等しい。一番の脅威であった<大王イカ>でさえ、カミュが放つ一撃によって葬り去られた。

 圧倒的な力を持つ『魔物』という存在を、この船の船員達は忘れていたのかもしれない。あれ程の攻撃を受けて尚、暴れ続ける生命力を前にして、船員達は身動き一つ出来なくなっていた。

 

「早く下がれ!」

 

「リーシャさん、危ない!」

 

 魔物とカミュ達の間には、何人かの船員が退避出来ずに留まっている。

 いや、留まっているのではなく、腰を抜かして動けないのだ。

 それを理解したリーシャが、その船員達の腕を掴み、強引に後方へと引き摺るのだが、腰が抜けてしまった者達は容易に動く事が出来ない。

 その時、斧を一度背中に戻し、両腕で船員を抱え上げようとしたリーシャに、暴れ狂う<テンタクルス>の触腕が襲いかかった。

 

「ぐっ!」

 

 横殴りに飛び込んで来た触腕は、リーシャの腹部を薙ぎ払い、その体躯を吹き飛ばす。苦悶の言葉と同時に、赤く濁った唾を吐き出しながら、リーシャは船の側面の壁に直撃した。

 凄まじい力で吹き飛ばされたリーシャは、木造の船の側面を突き破り、荒れ狂う海へと吸い込まれて行く。

 

「リーシャさん!」

 

 雨と風で荒れる海へ落ちてしまえば、それを見つけ出す事は不可能に近い。ましてや、重い鎧を纏ったリーシャは、泳ぐ事も出来ずに、海の底へと消えて行ってしまうだろう。

 叫び声を上げる事しか出来ないサラは、砕け散る木片とそれを突き破って行くリーシャの姿が、コマ送りのようにゆっくりと見えていた。

 それを受け入れられないサラの心を受け取った時間が、急に停止するかのように緩やかに流れる。

 

「戦闘中に気を抜くな……」

 

「……カミュ……」

 

 そして、そんなサラの願いを聞き届けてくれたのは、時間でも神でもなく、彼女達が信じる『勇者』であった。

 海へと吸い込まれるリーシャの腕をしっかりと握りしめた青年は、残る船の側面に足を掛け、その身体を甲板へと引き上げる。

 リーシャ自身、己の最後を覚悟していたのかもしれない。引き上げたカミュの嫌味のような一言に何も返す事が出来ず、ただ呆然と、青年の顔を見上げていた。

 しかし、そんな二人のやり取りもまた、戦闘中に行ってはいけない行為である。暴れ狂う<テンタクルス>は、再び海へと叩き落とすかのように、その触腕を振り抜いていたのだ。

 

「メルエ!」

 

「…………ん………イオ…………」

 

 サラの指示を受けたメルエが、再びその杖を振るう。

 カミュ達へ向かって振り抜かれた触腕は、圧縮された空気の解放と共にその存在を消し飛ばされた。

 爆風で吹き飛ばされないように身を丸くしていたカミュとリーシャは、落ちて来る触腕の残骸を身体に受けながらも、ゆっくりと立ち上がる。

 既に触腕の半数は失われているにも拘らず、命の灯火を絶やす事無く暴れ続ける<テンタクルス>の姿は、立ち上がった二人から見ても圧巻の物であったろう。それは、幼い『魔法使い』も同様であり、自身の呪文を何度も受けても生きていた物は、ジパングで遭遇した龍種以外に見た事がなかった。

 

「カミュ、どうする……このままではまずいぞ」

 

「もう一度、ライデインを唱えてみる」

 

 立ち上がり、傍で腰を抜かしている船員達を後方へ引き摺り終えたリーシャは、カミュに向かって対策を問いかけるが、それに対する答えも不確かな物であり、彼女は眉を顰める。

 カミュの放つ電撃呪文は、この世で唯一、彼だけが行使出来る呪文ではある。だが、その呪文は、先程唱えており、この巨大なイカの化け物には通じなかった。

 いや、魔物の身体も焦げているのだから、全く効果がなかった訳ではないだろう。しかし、その攻撃によって命を奪い尽くせるかどうかとなれば、その確実性は不明なのだ。故に、リーシャは眉を顰めた。

 そんな二人のやり取りは、傍に立っていた、このパーティーの頭脳によって遮られる事となる。

 

「……私に任せてもらえますか……」

 

「……サラ……?」

 

 カミュを遮るように一歩前に出たサラは、暴れ狂う<テンタクルス>の触腕を避け、もう一歩前へと踏み出した。

 カミュの唱える電撃呪文でさえも一撃で倒しきれない物にも拘わらず、補助魔法を得意とするサラが一人で前へ出た事に、リーシャだけでなく、カミュさえも目を見開いてしまう。

 基本的に、サラが唱える事の出来る攻撃呪文は、メルエが既に唱える事の出来る物ばかりである。それは『賢者』となった彼女と共に、『悟りの書』に記載している呪文の契約をメルエも行っているからに他ならない。

 そうであるならば、サラだけが唱える事の出来る攻撃呪文は、先程行使した<バギマ>と呼ばれる真空上位呪文だけとなるのだが、その効果は先程も見たとおり、触腕を斬り刻む程度の物。とても巨大なイカの命を奪う事が出来る物ではなかった。

 時間がかかる程、この船と船員への被害が大きくなるだけに、サラのその行動を止めようとリーシャが動いた時、前へ出たまま伏せていた、サラの顔が上がる。

 真っ直ぐ<テンタクルス>を射抜いたその瞳を、横から見たリーシャは、何故か身体を硬直させてしまった。

 

「……許して下さい……ですが、このまま船を破壊される訳にも、仲間の命を奪われる訳にも行きません」

 

「サラ?」

 

 小さな洩らされた呟きは、リーシャの耳には届かない。

 増して行く雨と風に搔き消されたサラの呟きは霧散し、誰の耳にも入らぬまま、その存在を消して行った。

 その瞬間、暴れ狂っていた<テンタクルス>が触腕を振り上げ、サラを潰そうとそれを振り下ろす。それを見た誰かの悲鳴が上がり、誰かがサラの名を叫んだ。

 荒れ狂う風の音も、降りしきる雨の音も、ざわめく波の音も、叫ぶ人の声も、全ての音が船上から消え失せる。

 

「ザキ」

 

 音を失った甲板の上で、真っ直ぐに手を伸ばしたサラの口が開いた。

 傍に寄ったリーシャの耳にも、カミュの耳にもその詠唱は聞こえない。

 ただ、サラの口が、たった一つの単語を紡ぎ出すように動いていた。

 

 それは、この甲板の上に居る誰にも届かない言葉。

 それは、詠唱者が向けた対象にしか届かない言霊。

 その命が消え去る事を願う『死』の言葉。

 

 

<ザキ>

対象となる物の命を根こそぎ奪い尽くす『死』の呪文。複数を対象とする<ザラキ>と共に、『経典』という教会が所持する書物に記された最終奥義と言っても過言ではない呪文である。実際に契約の出来る者は、ここ数十年間誰一人としておらず、『死』と『生』を見つめ続けて来た高位の僧侶だけが契約出来る呪文とされて来た。複数対象の<ザラキ>とは異なり、唯一の死を願うこの呪文は、その効力の強力性を高める。この『死』の呪文を受けた者の魂は、天に還る事を許されず、永遠にこの世を彷徨い続けるか、闇に引き摺り込まれるかの何れかであると伝えられていた。

 

 

「カミュ……」

 

「……」

 

 今まであれ程に暴れ続けていた<テンタクルス>の身体の動きが完全に止まる。振り上げられていた触腕が、支えを失ったように、海へと落ちて行った。

 怪しく光っていた瞳は消え失せ、生気を失った目は、静かに閉じられる。そのまま<テンタクルス>が、身体ごと海の中へと静かに消えて行くのを、甲板に居る全員が言葉もなく見守っていた。

 唯一人、沈み行く<テンタクルス>の身体を見ないように顔を伏せ、肩を震わせている人物がそこには居たのだ。

 

「サラ……今のは……」

 

「あれが、『死の呪文』の本当の威力なのか?」

 

「!!」

 

 肩を震わせて立ち尽くす『賢者』に近づいたリーシャは、その肩に手を乗せて声を掛ける。

 リーシャの手を受けても、身動き一つしなかったサラだったが、傍に居たカミュが問いかけた疑問に、弾かれたように顔を上げた。

 その表情を見た瞬間、リーシャだけではなく、カミュでさえも、己の失言に気付いてしまう。今にも泣き出しそうな、全てを後悔するような顔をしたサラは、何かを言おうと口を開き、それでも言葉にならずに、再び顔を伏せてしまったのだ。

 沈黙が続く中、何がどうしたのか解らないメルエが、カミュのマントを握り、小首を傾げていた。

 

「お前達、魔物の脅威は去った! 荒れた海を乗り切るぞ!」

 

 サラの様子が変である事に気付いた船員達の意識を逸らすように、頭目の指示が鳴り響く。雨と風が支配する海は、嵐という程ではないが、船員達の働きがなければ、舵を失い、何処かへ流れ着くか、何処かに座礁してしまうだろう。

 一斉に動き出した船員達は、腰の抜けた者達以外は持ち場に戻り、慌ただしくも迅速に作業を始める。

 船が通常の状態へと戻っても、サラの周囲に居る三人は動こうとはしなかった。いや、正確には、動く事が出来なかったのかもしれない。

 

「サラ……うまくは言えないが……」

 

「申し訳ありません……少し一人にさせて下さい」

 

 意を決して声を掛けたリーシャの言葉は、顔を伏せたままのサラによって遮られた。

 肩に乗ったリーシャの手を静かに払い、サラは船室に向かって歩き始める。その行動を止める事が出来る者など、誰一人としていなかった。彼女が何を悩み、何に苦しんでいるのかを知る者達は、彼女の歩みを止める事など出来よう筈がない。

 メルエだけが理解出来ず、首を頻りに傾げた後、心配そうにサラの背中を見つめ、眉を下げていた。

 

 初めて遭遇した強靭な魔物の脅威は去った。

 しかし、その討伐には、新たな苦悩が生まれてしまう。

 全ての種族の幸せを願い、全ての種族の天寿を願う者の手によって葬り去られた魔物の命は、葬り去った者の心に新たな刺を埋め込んだ。

 アリアハンを出たばかりの頃なら思い悩む事のなかった事で、今の彼女は声さえも出せない程に思い悩む。それは、彼女の成長なのか、それとも停滞なのかは解らない。

 だが、彼女は、悩み、迷い、苦しみ、泣いた先で、再び前を向いて歩き始める事だろう。

 

 

 




読んで頂き、ありがとうございました。

「またか!?」と思われる方もいるかもしれません。
ただ、この辺りは外せない物だと思いましたので…

ご意見、ご感想を心よりお待ちしております。

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