雪の軌跡   作:玻璃

63 / 269
今日中にもう一話投稿するよ。

では、どうぞ。


ルーアンでの最後のお仕事

そうこうしているうちに、一行はエア=レッテンにたどり着いた。

「うわ~っ!壮観ねえ!」

「これは凄いね…」

「ルーアンって素敵な場所が多いわよね。住んでみたいな…」

住むにはあまり向かないのではないだろうか。

良くも悪くも観光地だし。

「エステルにはムリ。」

「何でよ!?」

「…ぜってー飽きるから。」

景色と滝の音に。

「う…」

「確かにね…」

「にしても…ツァイスか…はぁ…」

行きたくない…

「?どうかしたの?アル。」

「いや…一番推薦じょーが貰えねー場所だから…」

それだけじゃないけど。

「え…どうしてだい?」

「昔色々やりすぎたから、ね…あーキリカに会いたくねー!こーぼーちょー生きてるかな!?ティータ無事かな!?博士にも会いたくねー!」

「あ、アルが壊れた…」

「クスクス…」

笑うな。

結構死活問題なんだから。

「てゆーか、もーあの頃みてーなクレイジィさ溢れる受け方したくねーし!」

「あ、あの…因みに、どんな受け方してたんですか?」

「…手配まじゅー1日20匹とか…手配まじゅーとか…手配まじゅーとか…あ゛ー!思い出したくねー!?」

というか、手配魔獣専門だった。

「…何というか…」

「凄すぎです…」

「ぐだぐだ言わないの!行くわよ、アル!」

エステルに引きずられて、関所まで引きずられていく。

「ヨシュア、たーすっけてー…」

「いや…棒読みで言われてもね…」

手続きを終え、関所の上でクローディアがしんみりとした様子で言う。

「お別れですね…」

「うん…」

「あ…そうだ、エステルさん達とは王都で会えるかも知れません。」

フラグを建てるな。

それはきっと会えないフラグだから。

「女王生誕祭できせーするの?」

「はい。ですから…」

「そうね!また会えるわよね!」

あ、何かわからないけど気配が。

これは…

「うん…じゃあ、そろそろ…」

「また会おうね、クローゼ!」

「はい!」

絶壁の人…!

「あ…っエステル、ヨシュア、先行っててくんない?」

「どうかした?アル。」

「いや…クローゼと内緒のお話。」

「聞いちゃ不味いの?」

よし、誤魔化そう。

「うん。…エステルもヨシュアもきーたら悶絶すると思うよ?」

「悶絶…!?」

「え、つまり…」

「えっちいお話。」

「じじじ、じゃ、後でねっ!」

案の定、先に行ってくれた。

まったく。

「はぁ…全く。世話の焼ける…」

「クスクス…それで…アルさん。お話とは…?」

「シュバルツ中尉にもきーてほしーんだけど…」

その言葉とともに、絶壁の人が現れた。

「…まさかとは思ったが、君がアルシェム・ブライトか…」

「まずは、謝罪を。」

「それはもう聞きました。」

その謝罪じゃない。

本当に、騙していたことへの謝罪を。

「…いいえ。わたしは、貴女達を騙していました。」

「え…?」

「あの時…本当は、意識があったんです。そして、操られてはいましたが、それ以外の理由でも貴女を襲った…」

七耀教会のために。

「それ以外の、理由…?」

「わたしは、《身喰らう蛇》から抜けなければならなかった。」

「それは…どういうことですか…?」

察しても貰えない、か。

残念だ。

「分からないんですか?わたしは、身喰らう蛇を抜けるために貴女を襲いました。きちんと止められるように根回しした上で、ね。」

「…!やはり、あの時いきなりカシウス殿が護衛を買って出たのは…!」

「いえ、そこにどうやって情報が回ったか全然分からないんですが…。」

大方、アインあたりから回ったのだろう。

「いや…事情は分かった。だが、そもそも君は何故その身喰らう蛇とやらに…?」

「…残念ながら、今の貴女方には話せませんね。」

「え…?」

何も知らない、未熟な姫君にはね。

「もしも陛下にお会いできたら、こうお伝え下さい。《ハーメルの首狩り》が更なる真実を知る、と。」

「ハーメルの、首狩り…?」

「もしかしたらお話し下さるかも知れません。…歴史の闇を。」

「闇…」

これで、話の主導権を握れた。

さあ、始めよう。

「本題に入りましょう。…今、各地で動いているのは情報部です。」

「え…?」

「な…バカな…」

いや、気をつけろって言ったでしょうに。

「それに軍も弱みを握られていますからね、実質情報部の傀儡です。」

「そんな…!」

「しかも、先日の一件で恐らく殿下の素性がバレた。裏付けを取られれば終わりでしょうね。」

取るのは簡単だ。

書類を見れば良い。

「アルシェム君、君は何処からその情報を…」

「黙秘します。が…間違いはないと思って貰いたいね。」

「君は…」

「わたしはツァイスに向かい、その後期をみてグランセルへ向かう。出来るだけ手を貸せるようにはする。だから…捕まんないでほしいんだ。」

捕まったら、終わりだから。

「アルさん…」

「捕まったらほぼ詰みだしね。殿下の…いや、クローゼの意志が曲げられちゃうのは嫌だから。」

「…私が責任を持ってお守りしよう。」

本当に守れるのか甚だ疑問だが、絶壁の人に任せることにしよう。

「親衛隊だしね。…あ、そろそろ行かなくちゃ。」

「あ…」

「気を付けてね。…じゃー。」

「また…会いましょう。」

会って、どうする。

やっぱり、今のままでは相応しくない。

そう思いつつ、アルシェムはカルデア隧道に足を踏み入れた。




ああ。
うっすらと殺意を覚えます。
絶対に殺りませんけどねえ。
何てこったい何てこったい。

わあ、文字数が一緒だ。

では、また。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。