雪の軌跡 作:玻璃
知らないうちに、UAが1000を超えていたようです。
おねーさんはびっくりだよ。
では、どうぞ。
「最後の研修は報告の仕方についてね。まあ、アルは大丈夫だと思うけど…」
「慣れてますよ。けっこー手配まじゅー狩りましたし。」
報告出来ない魔獣も狩っていたが。
「そ、そう?…コホン。どんな仕事でも、達成したら必ずギルドに報告しないとだめよ。どう解決したのか、その経過を報告するのも
「今後ともよろしくね、3人とも。」
「じゃ、とにかく報告してごらんなさい。」
3人はそつなく報告してみせた。
「お疲れさま。無事に目的を達成出来たみたいね。仕事中の手際によっては報酬が変わることもあるから注意してね。」
「さあ~て、残るは最後の仕上げね。漸くギルドの2階に戻れるわ。じゃあまたね、アイナ。忙しいトコごめん。」
「ううん、気にしないで。大事な戦力を育てるためだもの。3人にはバリバリ働いてもらうつもりだし。」
笑顔が怖い…
「ば、バリバリ…」
「…覚悟しといた方が良いみたいだね。」
「そりゃ、人員不足だもんねー…」
そして4人は2階に上がった。
「3人とも、お疲れさま。これで研修の全過程は修了よ。あとは実際の経験で身につけるようにね。さて、と…」
シェラザードは3つの小箱を取り出し、3人に開けてみるよう促した。
「この紋章は…」
「じゃあ、これで僕達も?」
「コホン。…エステル・ブライト。ヨシュア・ブライト並びにアルシェム・ブライト。本日1500をもってあなた達を『準遊撃士』に任命するわ。以後は、遊撃士協会の一員として人々の暮らしと平和を守るため、そして正義を貫くために働くこと。…3人とも、おめでと。これからはお仲間ってわけね。」
「やったねヨシュア、アル!これで晴れてあたしたちもギルドの一員よ☆」
「そうか、僕が
「もう、ヨシュアったら~。しんみりしないでもっとパーッと喜ばないと!ひゃっほー、やったあっ♪」
エステルが飛び上がって喜んだ。
「エステル、はしゃぎすぎじゃねー…?」
「ふふ、さてと…あたしはそろそろ失礼するわ。たまってた仕事を片付けなくちゃいけないしね。」
シェラザードは立ち上がった。
「忙しい合間に付き合って下さってありがとうございました。」
「シェラ姉、ホントにありがとね。」
「お世話になりました。」
そんな3人に飄々と答える。
「ま、新人を育てるのも
「しょーじんします。」
「ふふ、じゃあ、またね。」
そしてシェラザードは去っていった。
「うーん、判らないわね。」
「なにがさ?」
「『銀閃のシェラザード』といえば若手
…カシウス・ブライト。
別名、超絶チート親父。
エステルの前では見せないが、かなりヤバい人種の男だ。
奥義がなんてったって
間違っても不良中年ではない…
あんなヤバい不良中年がいてたまるか。
「不良中年ね…」
「ありえねー…」
「え?」
「…いや、何でもない。さあ、今日は早く家に帰って無事に
「うん、そうね!」
そして3人は立ち上がり、ギルドの外に出た。
「おーい、早く来いよ~!」
「ま、待ってよ~!」
…?
ルックにパットか。
「あれ、あんた達…」
「げげっ、エステル!?」
「あ、ヨシュアお兄ちゃんに、アルお姉ちゃん。」
2人は正反対の反応をしてみせた。
「失礼ね~。なによその『げげっ』てのは?急いでるみたいだけど、どこかに遊びに行くつもり?気を付けないとダメよ~。街道には魔獣もいるんだからね。」
「ふんだ、うっさいな。オトコのやることにオンナが口出さないでくんない?
と言いかけたので補足説明をすべく口を開く。
「あ、ルック。実はね…」
が、エステルに遮られた。
「ふっふっふっ…甘い!パーゼル農園のミルクより甘いわ!」
アルシェムの台詞を奪ってエステルが言う。
因みに、パーゼル農園のミルクはかなりコクがあって甘いことで有名だ。
エステルの友人、ティオの家で飼われている牛から絞られる極上のミルク。
下手な砂糖よりも甘いミルクよりも、更に甘いと言われたルックは、一瞬だけたじろぐ。
「へっ…?ま、まさか…」
「ホホ、つい先程をもちましてあたくし、遊撃士資格を得ましたの。正真正銘、本物のブ・レ・イ・サ・ぁ☆」
「見習いみたいなものだし、威張れるような立場じゃないけどね。」
すかさず水を差すヨシュア。
流石ツッコミ体質。
「そこ、水差さないの!」
「わ、すごいすごい!お姉ちゃん達、やったね!」
「あー、パットは良い子ね~。小生意気な悪ガキやヒネクレたお兄さんと違って。」
アルシェムは口を挟んでいないので何とも言えない…
「そ、そんな…オレの方が先に
「『なんか』って何よう!大体ねぇ、16歳以上じゃないと
まるで子どもの喧嘩だ。
まあ、未成年だから子供と言われれば子供なのだが。
「大人げねーな…」
「本気で張り合ってるからね…」
「くっそ~、覚えてろよ!秘密基地で特訓してすぐに
秘密基地…?
「う、うん…お姉ちゃん達、またね!」
そう言って2人は北の方へ走り去った。
「まったく…すぐ突っかかってくるんだから…あたし、嫌われてるのかな?」
「や、好かれてるんじゃねーの?」
どう見ても好きな女の子にちょっかいをかけているようにしか見えない。
まあ、ヨシュアには敵わないだろうが。
ヨシュアを押しのけてエステルに好かれるようになったら天変地異でも起こるんじゃないかと思う…
「へ?」
「ま、男の子ってことさ。…それにしても秘密基地か…ちょっと気になるな…」
「なんかそそられる響きよね!」
いや、エステルは女の子でしょうが。
「いや、そういう意味じゃないんだけど…」
そして3人は無事遊撃士になれた報告をロレントの人達に報告しつつカシウスに頼まれたリベール通信を買うべくリノン総合商店に足を運んだ。
「やあ、いらっしゃい。新しい靴を買いに来たのかい?」
「えっ、新しいの入ってるの?《ストレガー》の新作とかっ!?」
エステルのテンションが上がったところに冷静に水をぶっかける。
「リベール通信下さい。」
「がくっ…」
無駄遣い禁止って言われたから…
「はは、相変わらず熱心に揃えてるね。でも、残念ながら新作は出てないよ。リベール通信ならあるけど。ほい、100ミラ。」
「はい、リノンさん。」
「…そういや君達、無事に遊撃士になれたかい?」
エステルは満面の笑みを顔に浮かべて答えた。
「えへへ、まっかせて♪」
「そうかい。これは僕からのお祝いの品だよ。」
そして、リノンは手帳を差し出した。
「この手帳は?」
「レシピ手帳さ。これに材料と調理法を書いとけばいつでも作れるだろ?材料は魔獣から取れるし、いつも薬を使うより経済的じゃないか。」
「成程。ぶんりょーをはからねーエステルにはぴったりだ。」
コホンと一度前置きして、仰々しくリノンが続けた。
「ちなみに足りない食材の御用はリノン総合商店をよろしく!」
「あはは、流石はリノンさん、商売上手なんだから。」
「ありがたく頂いておきます。」
「じゃ、また来ますねー。」
3人は店を出た。
不定期更新のタグの信憑性が今のところ全くないという…
ストックは2014年10月16日現在、ルーアンまでしかないのですがね。
質問等があれば基本的に後書きで、もし万が一たくさん来るようであれば1話使ってお答えしようと思っています。