雪の軌跡 作:玻璃
やべえ、これ、帰れるのかな…
今回はちょっと短いです。
では、どうぞ。
孤児院から出たところで、エステル達は少しだけ立ち話をしていた。
「うーん、テレサ先生って暖かい感じのする人よね。」
「そうだね…お母さんって感じの人かな。」
「ふふ、子供達にとっては本当のお母さんも同然ですから。」
それはそうだろう。
出来ることならば、孤児を養う親であってほしい。
そこに、甲高い鳴き声をあげて凶悪鳥ジークが来た。
「ジーク、待っていてくれたの?」
「ピュイ。」
クローディアの腕に止まり、甲高く鳴くジーク。
「うん、そうなの。悪い人達じゃなかったの。エステルにヨシュアさん、アルシェムさんっていってね。あなたも覚えていてくれる?」
「ピュイ。ピューイ!」
おもむろに、ジークはアルシェムをつつき始めた。
いや、つつくというよりも抉るの方が正しい。
この凶悪鳥は、鋭い嘴で護衛の任を果たすのだ。
「いった!?ちょ、つつくな!分かった、離れるから!禿げるから!やーめーてー!?」
地味に痛い。
こんな凶暴なのが普通の鳥とか考えたくない。
「じ、ジーク!?」
「ピュイ。」
ザックリ最後につついてジークが離れた。
「うわっ、完全に嫌われた…まー、いーんだけどね。」
理由はまあ、分かっているから。
「な、何か2人してその子と話してない?」
「気のせー。」
「私も、流石に喋れませんけど…何が言いたいのかは分かりますよ。お互いの気持ちが通じ合ってるっていうか…」
「カップルか。」
もうカップルで良いと思う。
通じ合いすぎだ。
「そ、それは流石に違いますけど…」
「こんにちは、ジーク。あたしエステル、宜しくね♪」
「ピュイ?…ピュイーッ。」
ジークはつい、と顔をあげ、とある方向に飛び立った。
「ああっ…しくしく、フラれちゃった。」
「はは、残念だったね。」
いや、今のは…
別の目的があって飛び去った。
恐らく…
「クスクス…そういえば、エステルさん達はルーアン市に行かれるんですよね?」
「うん、
「ルーアンの
「わ、良いの?凄く助かっちゃうけど。」
…ダメだ。
これ以上、彼女と一緒にはいられない。
ふとした拍子にバレたら、どうしようもない…!
「あー、わたしパス。もージークにつつかれたくねーし。…先に行ってるよ。ごめんなさい、クローゼさん。」
「いえ、何だかジークが済みません…」
「それだけじゃねーけど…ごめん、エステル、ヨシュア。先行ってるね。」
「あ…うん。」
そして、アルシェムは1人でメーヴェ海道に出た。
暫く魔獣を片付けながら進むと、何故か男の声が聞こえた。
「うおお~、誰か~!」
「落ち着いて、じっとしてて!」
だが、彼は逃げ惑った。
頼むからじっとしていて欲しい。
守りにくいから。
「た、助けて~!」
「あーもー!不破・弾丸!」
面倒になったので一気に殲滅。
そこで、やっと一息吐けた。
「うおお~、今回はヤバかったな~。」
「ほんっとーに危なかったですね。護衛くらいつけて下さい。…1人で不用意にうろつかねーで。」
「ハイ…」
若干殺気まで出してしまったので怯えられてしまった。
場をどうにかするために遊撃士の顔で提案する。
「ルーアン市までなら送りますよ。」
「いやいや大丈夫。逃げ足には自信があるからね。じゃあな、ありがとさん!」
そのまま、彼はそそくさと逃げて行った。
仕方がないのでルーアンに向かっていると、大型魔獣が道をふさいでいた。
「手配まじゅーか…不破・弾丸!」
その一撃だけで手配魔獣は沈んだ。
しかし…
「…さっきの人…この道どーやって通ったんだろ…」
疑問である。
何処かに抜け道なりなんなりあるのだろうが、流石に色々と疑いたくなる…
少し進むと、崖から砂浜が見えた。
「ん?あそこ、砂浜みてーなのがある…」
崖から飛び降り、何があるか調査してみる。
「…樽?」
そこには、かなり風化した樽があった。
兎に角中を検めないことには対処できない。
なのでとりあえず開けてみた。
「趣味悪いダガーと、海図…?古いな…何だろ?ま、持っとくかー。」
何かに使えるかも知れなかったので、取り敢えず取っておくことにしたアルシェムだった。
没ネタ。
ジーク氏「ピュイイイイイイイイ!」
アルシェム「いたたたたたたた!穴、穴あくから!死ぬから!禿げるどころじゃないから!ぎゃああああ!?」
―血だらけBAD END―
いやね、実際ジーク氏につつかれたらヤバいと思うのです。
ジーク(1800セルジュ、180km/h)
=百日戦役時の軍用警備艇
=高速とかでも出すと危険な現実の車の速度
いや、実際に計算とかしたくないけど…
これって、人体に穴あいちゃうんじゃね?
クローゼ「ジーク、お願い!」
ジーク氏「ピューイ!」
一般兵「(沈黙)」
とかやってのけそうだ。
では、また。