雪の軌跡 作:玻璃
に、入れません。
だって、ちょっと長いんだもの!
では、どうぞ。
クローネ関所に着くと、もう夕方になってしまっていた。
「は~、やっと着いたみたい。あれが関所なのかな?」
「そーだよ。あれを超えたらルーアンだけど…泊めてくれるかな?」
「?何で?」
「もうすぐ日が暮れるからね。夜の峠越えは危険だし…視界も足場も悪い。夜行性の魔獣に襲われたら崖から落ちるかも知れない。あんまりお勧めはしないかな。」
まあ、ぶっちゃけ危ないのはエステルだけである。
「ぶるるっ、確かに危ないかも。取り敢えず兵士さんに事情を説明するしかないか…」
「そーね。」
関所の前にいる兵士に話し掛ける。
「こんばんは。」
「こんばんは。珍しいな、こんな時間にお客だなんて。ハイキングで道にでも迷っちまったか?」
いや、むしろそれはないだろう…
ここはハイキング出来るほど安全な山ではない。
魔獣に襲われる確率が物凄く高いのだ。
「ううん、違うわ。あたし達、一応遊撃士なんだけど…」
「へえ、あんた達の歳で遊撃士ってのは驚きだな。」
「まだ準遊撃士ですけどねー。因みに仕事じゃねーですよ。」
というか、この人にアルシェムは見覚えがあった。
「正遊撃士を目指して王国各地を回るつもりなんです。」
「で、どうせだったら修行もかねて飛行船を使わずに歩こうかな~って。」
「歩いて!?は~っ、若いというか気合いが入ってるというか。」
ハルト氏を護衛した時に立っていた兵士だ。
「えへへ、それほどでも。」
「しかしいくらなんでも今から峠越えは危険だぞ。最近やたらと魔獣が発生してるからな。」
「あー…確かに。こないだ来たときもけっこー片付けたんだけどな…」
半ば八つ当たり気味に。
「そうなのかい?…まあ、旅人用の休憩所があるから今夜はそこに泊まっていくと良い。」
「やった、ありがと♪」
「助かります。」
「御言葉に甘えて。」
まあ、それでも減らないのは何かがあるのだろう。
アイツとか。
「何の何の。隊長に声を掛けてくれ。」
「親切にどーも。」
関所に入り、隊長を探す。
「すみません。」
「うん?君達は…」
「どうも、お邪魔しています。実は、ルーアンまで徒歩で行くつもりなんですが…夜の峠越えは危険なので泊めて貰えないでしょうか?」
ヨシュアが遊撃士の紋章を見せながら言うと…
「うん、構わないよ。遊撃士なら身元も確かだしね。隣の休憩所を自由に使ってくれ。」
あっさり快諾してくれた。
「ありがとう、隊長さん!」
隣の休憩所に入る。
「ここね。」
「うん、まずは暖炉を付けようか。」
「は~、暖かい…やっぱり薪を使った暖炉って落ち着く感じがする…」
「そうだね。導力ストーブも出回ってるけど暖かさでは暖炉には適わないかな。」
導力ストーブのために弁護はしておこう。
「そーでもねーよ?導力ストーブもその気になればこれくらいはいけるし。…まあ、その場合は安全性がマズいわけだけど…それをクリアすれば多分なんとかなるんじゃねーかな。」
「あれはお手軽で良いんだけどね~。」
そうこうしていると、扉が叩かれた。
副長が入ってくる。
「おーい、お邪魔するぞ。…隊長から話は聞いたぜ。今夜は泊まりだって?夕食、俺達と同じメシで良けりゃ御馳走するけど、どうする?」
「え、良いの?」
「済みません、何から何まで。」
「ごちそーになります。」
まあ、味には期待していないが。
「なあに、定期船が就航してから通行人もめっきり減ってな。暇だし正直客人は大歓迎なのさ。」
「えへへ、そういうことなら♪」
「よし、それじゃあ少しの間待っててくれや。…あんま味に期待しないでくれよ?俺作だから。」
そう言って副長が出て行った。
「空賊騒ぎでは王国軍と張り合ってたけど…個人ではやっぱり親切な人が多いよね。」
「確かにそうだね。まあ、軍人が親切なのはリベールくらいだと思うけど…」
「どこに行こーが集団だと融通は利かないんだけどね。」
特にエレボニアとか。
「取り敢えず荷物を置こうか。」
荷物を置き、夕食を頂く。
「は~、お腹一杯。期待しないでとか言ってた割にはかなり美味しかったと思わない?」
「少なくとも分量計らねーエステルよりは上手いと思うよ。」
「むっ。」
「まあまあ。軍で出る食事とは思えないね。」
この気配は…
副長さんか。
そう思った途端に扉が叩かれる。
「ちょっと失礼するぞ。」
「あ、副長さん。すっごく美味しかったわよ♪」
「御馳走様でした。」
「ありがとーございます。」
エステルよりは美味しかったです。
「お粗末様。ところで…もう1人客が来たんだが、相部屋でも構わないかい?」
「こんな夜中に来客ですか?」
「…遊撃士、ですよね?こんな時間に無茶しそーな…ってことは…」
まさか…ね。
「あたし達は構わないわよ。タダで泊めて貰ってるんだし。」
「そう言ってくれると助かるよ。ま、そっちの嬢ちゃんの言う通り遊撃士だから気兼ねする必要はないだろうけどな。」
「え?」
「遊撃士?」
そこで、赤毛の男が入ってきた。
言わずもがな、《重剣》のアガット・クロスナーだ。
「フン…どこかで見たような顔だぜ。」
「やっぱりアガットか。久し振り。」
想定内だったが…
何故、今ルーアンに向かう必要があるのか?
「え、アルも知ってるの?」
「なんだ、知り合いだったのか。ところでお前さん、メシはどうする?」
「いや、折角だがさっき喰っちまったばっかだ。寝床を貸してくれるだけで良い。」
待て待て、足りないから。
3つしかないから。
「分かった。ベッドは適当に…って、足りないな。」
「気にしねーで下さい。ちゃんと割り振りますから。」
「そうかい?それじゃあ、お休み。」
そういって、副長は出て行った。
というわけで、久々?にロリコン氏がログインしました。
では、また。