雪の軌跡   作:玻璃

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9月末までは感想にすぐに返信できません。
それはね、予約投稿はその日に投稿できないからしているの。
察して?

では、どうぞ。


二日目・支援要請

目が覚めると、朝だった。

どうやら寝落ちしていたらしい。

「おはよー。」

そう言いながら下りると、ロイドが声を掛けて来た。

「昨日はリフレッシュ出来たか?」

「うん、勿論。」

実際は、何もしていないのだがそれはさておき。

「それは良かった。兎に角、昨日休んだ分支援要請に徹しよう。」

「そうね。」

「…今日の支援要請は、グレイスさんからクロスベル百景について、交通課から違法駐車の取り締まり、ベルガード門から重要物の紛失と、ジオフロントB区画に手配魔獣、最後に医師の捜索…何ですかこれは…です。」

流石に多彩である。

流石、祭りだ。

「よし、手分けしようか。どう分けたら良いかな、アル?」

いちいちロイドが聞いてくるので、考えるのが面倒になったアルシェムは丸投げした。

「ロイドはどー思う?」

「そ、そうだな…クロスベル百景はエリィとティオで行ってくれ。違法駐車は俺とランディが引き受ける。手配魔獣はアルで…終わり次第エリィ達に合流してくれ。」

事実上の指示。

そして、その選択肢は多分正解だ。

まあ、半分は、だが。

「…ん、ロイド。手配魔獣狩ったら、ベルガード門に向かうよ。そっちは何とかするから、エリィ達と合流したら医師の捜索宜しく。」

医師の捜索だけは嫌な予感しかしないので行きたくない。

「でも、無くしたモノ次第じゃ時間が…」

「モノは動かねーからね。人は動く。その分、医師は難しーかもだから頑張って。」

適当な言葉を投げて。

「ああ。」

「分かりました。」

「おうとも。」

「じゃあ、解散!」

そして、支援要請への対応が始まった。

アルシェムはジオフロントへと向かい。

「あ、いた。」

手配魔獣を瞬殺した。

「弱すぎるんだよねー…」

無論、ロイド達がいないからこそできる所業である。

いたら、グロすぎて出来ない。

そのままベルガード門へと向かう。

中に入ると、ビニールシートに包まれた巨大な戦車が。

猛烈に、嫌な予感がした。

「…ま、まさかね…」

その戦車を見つめていると、女性士官が近づいてきた。

「あら?貴女は…」

「あなたがミレイユさんですか?」

「ええ。」

「重要物の紛失って、まさか…」

「良く分かったわね、アレの鍵よ…」

やっぱり、とアルシェムは思った。

最悪の可能性が頭をよぎる。

「門内にはありますか?」

「…恐らく。昨日は司令、ここから出てないはずだから。」

だが、そこまでは杞憂のようだった。

「…探しはしたんですよね?」

「ええ、でも見つからなくて…」

急いで探さなくては、戦車が乗っ取られて大惨事になる可能性がある。

「…ってことは変な場所にあるか持ち去られたか…ですね。屋内は任せても?」

「ええ。一応伝えておくけれど、酔っぱらいながら司令は屋上を歩き回ったらしいわ。」

馬鹿が。

変態なだけではなく馬鹿なのか。

アルシェムからの信用は、最早地の底まで堕ちきっていた。

いや、最初からなかったようなものだが。

「ふーん…分かった。兎に角急いで探しますね。」

屋上へと向かうと、ガレリア要塞が見えた。

「…列車砲、か…」

あまり、見ていたくなくて。

周囲を見回す。

すると…

「…ん?」

何やら、違和感を感じた。

その理由を探るべく、もう一度周囲を見回す。

「んん?」

今、視界に光るものがあったような。

更にもう一度見回すと…

「え、マジで…?」

そこに、鍵はあった。

慎重に屋上からそこへと飛び移り、落とさないように摘み上げる。

「…マジだよ、これ…」

取り敢えず、安心させてあげなければ。

そう思って、アルシェムはミレイユに会いに行くことにした。

「ミレイユさん…」

「ありましたか?」

割と必死そうな顔をしているが、あのまま気づかなくては不味かっただろう。

「その…これ、じゃねーですよね…?」

まだ信じられなくてそんな言い方をして差し出したが…

「…ど、どこにあったんですか…!?」

どうも、本物のようだった。

「街灯の上。」

「…へっ?」

「だから、街灯の上にありました。」

そうアルシェムが言うと、全力で疲れているようだった。

「…な、何てところにあるのよ…」

「思わず二度見しましたよ…」

実際、支援要請が出ていなければほぼ見つからないレベルだ。

ミレイユの判断は正しかったといえるだろう。

「で、でしょうね…ゴホン、ありがとうございました。ご協力感謝します。」

「いえいえ、お役に立てて何より。では、失礼します。」

ミレイユに別れを告げ、クロスベル市へと向かう。

「さて、と。」

支援課ビルで報告を終えて、アルシェムは見回りに行くことにした。

医師の捜索になど、行く気はなかった。




また短くなっていますね。
でも確か次が長かったはずです。

では、また。

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