雪の軌跡 作:玻璃
それはね、予約投稿はその日に投稿できないからしているの。
察して?
では、どうぞ。
目が覚めると、朝だった。
どうやら寝落ちしていたらしい。
「おはよー。」
そう言いながら下りると、ロイドが声を掛けて来た。
「昨日はリフレッシュ出来たか?」
「うん、勿論。」
実際は、何もしていないのだがそれはさておき。
「それは良かった。兎に角、昨日休んだ分支援要請に徹しよう。」
「そうね。」
「…今日の支援要請は、グレイスさんからクロスベル百景について、交通課から違法駐車の取り締まり、ベルガード門から重要物の紛失と、ジオフロントB区画に手配魔獣、最後に医師の捜索…何ですかこれは…です。」
流石に多彩である。
流石、祭りだ。
「よし、手分けしようか。どう分けたら良いかな、アル?」
いちいちロイドが聞いてくるので、考えるのが面倒になったアルシェムは丸投げした。
「ロイドはどー思う?」
「そ、そうだな…クロスベル百景はエリィとティオで行ってくれ。違法駐車は俺とランディが引き受ける。手配魔獣はアルで…終わり次第エリィ達に合流してくれ。」
事実上の指示。
そして、その選択肢は多分正解だ。
まあ、半分は、だが。
「…ん、ロイド。手配魔獣狩ったら、ベルガード門に向かうよ。そっちは何とかするから、エリィ達と合流したら医師の捜索宜しく。」
医師の捜索だけは嫌な予感しかしないので行きたくない。
「でも、無くしたモノ次第じゃ時間が…」
「モノは動かねーからね。人は動く。その分、医師は難しーかもだから頑張って。」
適当な言葉を投げて。
「ああ。」
「分かりました。」
「おうとも。」
「じゃあ、解散!」
そして、支援要請への対応が始まった。
アルシェムはジオフロントへと向かい。
「あ、いた。」
手配魔獣を瞬殺した。
「弱すぎるんだよねー…」
無論、ロイド達がいないからこそできる所業である。
いたら、グロすぎて出来ない。
そのままベルガード門へと向かう。
中に入ると、ビニールシートに包まれた巨大な戦車が。
猛烈に、嫌な予感がした。
「…ま、まさかね…」
その戦車を見つめていると、女性士官が近づいてきた。
「あら?貴女は…」
「あなたがミレイユさんですか?」
「ええ。」
「重要物の紛失って、まさか…」
「良く分かったわね、アレの鍵よ…」
やっぱり、とアルシェムは思った。
最悪の可能性が頭をよぎる。
「門内にはありますか?」
「…恐らく。昨日は司令、ここから出てないはずだから。」
だが、そこまでは杞憂のようだった。
「…探しはしたんですよね?」
「ええ、でも見つからなくて…」
急いで探さなくては、戦車が乗っ取られて大惨事になる可能性がある。
「…ってことは変な場所にあるか持ち去られたか…ですね。屋内は任せても?」
「ええ。一応伝えておくけれど、酔っぱらいながら司令は屋上を歩き回ったらしいわ。」
馬鹿が。
変態なだけではなく馬鹿なのか。
アルシェムからの信用は、最早地の底まで堕ちきっていた。
いや、最初からなかったようなものだが。
「ふーん…分かった。兎に角急いで探しますね。」
屋上へと向かうと、ガレリア要塞が見えた。
「…列車砲、か…」
あまり、見ていたくなくて。
周囲を見回す。
すると…
「…ん?」
何やら、違和感を感じた。
その理由を探るべく、もう一度周囲を見回す。
「んん?」
今、視界に光るものがあったような。
更にもう一度見回すと…
「え、マジで…?」
そこに、鍵はあった。
慎重に屋上からそこへと飛び移り、落とさないように摘み上げる。
「…マジだよ、これ…」
取り敢えず、安心させてあげなければ。
そう思って、アルシェムはミレイユに会いに行くことにした。
「ミレイユさん…」
「ありましたか?」
割と必死そうな顔をしているが、あのまま気づかなくては不味かっただろう。
「その…これ、じゃねーですよね…?」
まだ信じられなくてそんな言い方をして差し出したが…
「…ど、どこにあったんですか…!?」
どうも、本物のようだった。
「街灯の上。」
「…へっ?」
「だから、街灯の上にありました。」
そうアルシェムが言うと、全力で疲れているようだった。
「…な、何てところにあるのよ…」
「思わず二度見しましたよ…」
実際、支援要請が出ていなければほぼ見つからないレベルだ。
ミレイユの判断は正しかったといえるだろう。
「で、でしょうね…ゴホン、ありがとうございました。ご協力感謝します。」
「いえいえ、お役に立てて何より。では、失礼します。」
ミレイユに別れを告げ、クロスベル市へと向かう。
「さて、と。」
支援課ビルで報告を終えて、アルシェムは見回りに行くことにした。
医師の捜索になど、行く気はなかった。
また短くなっていますね。
でも確か次が長かったはずです。
では、また。