雪の軌跡   作:玻璃

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久しぶりのネット環境ひゃっほう。
なぜかタイミングよくあらわれる用事によって定期や不定期の投稿は成り立っています。
どうなのそれ。

では、どうぞ。


~創立記念祭~
初日。


市長秘書逮捕から、暫くして。

創立記念祭が開催された初日のことだった。

「今日は休みだから、皆自由に過ごそう。」

そんなロイドの宣言で、皆は思い思い出掛けることにしていた。

アルシェムは、人払いのためにティオを追い出しにかかることにした。

「あ、ティオ。確か百貨店でみっしぃが。」

「えっ!?」

反応は、劇的だった。

「確か、だから行ってみたら?」

「是非行きます!…あ、アルはどうするんですか?」

「ん…ちょっと用事?」

その、用事を深読みしすぎたのか…

「…そうですか。気を付けて。」

深刻そうな顔をして、ティオはそう告げた。

「おーげさすぎるよ、ティオ。んじゃ、行って来ます。」

玄関から出て、窓からこっそり部屋に戻る。

そして、ティオが出かけたのを確認して、《LAYLA》でリオに連絡をとった。

「あ、もしもしリオ?今大丈夫?」

『今日は非番だからね。メルにも繋ごうか?』

「うん、お願い。」

『あいあい…』

暫く待つが、返ってくる返事は『…通信不可。』のみだった。

「あー、やっぱメルは無理か。」

『それで、アル。用は何?』

無論、これからの打ち合わせなのだが。

「ん、そろそろあっちも動き出すだろーからね。」

『…ヨアヒムじゃなくて、黒幕だね?』

「そ。不本意だけどねー…」

方針だけでも決めておかなくては、動こうにも動けない。

『どうする?』

「止めよーがねーのが問題だよね。」

『うん…』

止められるものならとっくに止めている。

そして、止められないのならば。

「兎に角、リオはこれを期にクロスベルに侵入してくるスパイを洗い出して。多分帝国からも共和国からも来るからね。」

『来るとしたら誰だろう…』

帝国も共和国も、それを読んでいて最高戦力を送り込んでくるのだろう。、

故に。

「共和国はまだ分かんねーけど、多分キリカあたりなんじゃねーの?」

共和国からは、恐らくキリカで決まりだ。

裏をかいて銀に依頼が行く可能性もあったが。

それでも、そのカードは抑えてあるので問題ない。

『確かに…フットワークと情報処理には秀でてるしね。じゃ、帝国は…』

「白兎も黒兎も目立つから動かねーだろーし…氷の乙女も役職的に無理があるよね。なら、有り得るとすると…」

帝国で動ける人員で、キリカレベルの人間はそういない。

『…まさか、かかし男…?』

それこそ、この男でないと。

面識こそないが、顔が広すぎるのは分かっている。

「だよねー…まだ切られてねーカードもあるんだろーけどさ…」

『それはメルからの連絡次第だよね。』

噂をすれば影。

そこに、メルからの通信がつながった。

『…もしもし。』

『お、メル!そっちはどう?』

何故か声を潜めて、メルはこう答えた。

『…今、ケルディックにいます。怪しい人物はたくさんいますが…アルシェム。』

「何、メル。」

呆れたような疲れたような声で、こう告げた。

『ライサンダー卿が教官なんですが。従騎士ロジーヌもいます…』

「あ、いたんだ。連絡は密に取ってね。情報の共有も忘れずに。」

いるのは知っていたが、その方法でいたとは。

『承知です。それで、怪しい人物ですが…まずは、エマ・ミルスティン。どうも、魔女のようです。それと、ミスティというDJと《蒼の歌姫》…』

「えっ、クロチルダはそっちかー…」

てっきり、こっちに関わってくるものかと思っていた。

もしくは、リベールにちょっかいを出しに行くか。

『クロチルダ…というと、《深淵》、ですか。エマ・ミルスティンは違いそうですが、亜種ではありそうですね。』

「ん、警戒は続けてね。使い魔にも。」

使い魔はいつでもどこでも神出鬼没だから侮れない。

『見当はついています。後は…』

「後は?」

『クロウ・アームブラストです。彼の正体がイマイチ掴めなくて…』

正体が掴めないだけならまだ良いか。

「ふ…ん…んー、警戒はしといて。他にはいる?」

それでも、恐らくは後ろ暗い人間だろうから何とも言えない。

『ええ。…リイン・シュヴァルツァー。ユミルの領主シュヴァルツァー家の息子です。』

「…?それが、どー怪しーの?」

れっきとした貴族がどう怪しいのか。

それは、次のメルの言葉ではっきりした。

『…リインは捨て子だそうです。《百日戦役》の直前くらいに、雪山に棄てられていたとか。』

「…へー?それで?」

『…丁度その時期に、《鉄血宰相》がユミルを訪れていたそうですよ。』

つまりは、限りなくクロに近いと。

「本決まりじゃねーにせよ、ほぼ確定かな。まーでも、人質にするにゃ、弱いかー…」

『その物騒な考えから離れませんか、アルシェム?』

離れるつもりはない。

一応、これは復讐だから。

「ん、分かってるんだけどなー…兎に角メル。見張りは続けて。後、貴族派の中にも多分裏切り者がいるかもだから気を付けて。」

『貴族派、ですか…有り得るならまだ会っていないアルバレアが有力候補でしょうか?一番嫌な手を考えれば。』

アルシェムが、完膚なきまでに相手を叩き潰すのならば、そうする。

「それも、引き込みやすそーなほーじゃなくて、どー見ても引き込めなさそーなヒトね。」

裏切りはかなり相手を削る。

まあ、だからと言って《鉄血》の側近なんか引き抜きたくもないけど。

『…何となく、分かりました。また連絡しますね、アルシェム、リオ。』

『あいあい。』

「んじゃ。」

そこで、メルからの通信は切れた。

『…で、アルシェム。実際どうなの?』

「…どーだろ。この状況を利用するならやっぱり《かかし男》だろーね。気を付けて、本音を抜かれるよ。」

『…分かった。』

そこで、通話は終わった。

「よーし、情報をぶっこ抜くか…」

後はひたすら暇なので、日永一日ハッキングで情報を抜きまくっていた。




はい、というわけで何話か先はまだセリフだけ状態です。

では、また。

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