雪の軌跡   作:玻璃

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別名、支援要請回。
キリが悪いので今回は短いです。

では、どうぞ。


マインツへと…向かわない。

次の日。

「おはよ。」

「ああ、お早う。」

「相変わらず早いですね…はふ…」

まあ、早起きは云々。

「ま、ね…って、誰か来た。」

軍人のようで、まだまだ青い気配が…

3つ?

「え…」

そこに、ベルツ副司令が訪ねてきた。

「ちょっと良いかしら?」

「ええ。」

兎に角、ベルツ副司令を課長室へと通す。

そして、今日来た理由を簡潔に報告してくれた。

「…え、じゃあ鉱山町からは完全に引き上げるんですか…?」

「ええ、正体不明だし、被害が軽すぎるって理由だそうよ。」

「いかにもあの司令がやりそうなことだぜ…臭うな。」

「そうね…」

そこに茶々を入れる黒髪の…

「…副司令、副司令、ナンパ野郎がまともになってますけど…」

「誰がナンパ野郎だよ、リオちゃん!?」

リオ。

潜入中の、リオだ。

「アンタしかいないでしょ、ランディ君。」

「えと…知り合いか?ランディ。」

「あ、初めましてバニングス捜査官。アタシ、タングラム門所属のリオ・コルティア軍曹です。宜しくお願いします。」

念のために、リオには偽名を名乗ってもらっている。

流石に、『リオ・オフティシア』ではバレるから。

「コルティア軍曹はなかなかの有望株よ。ランディが抜けた穴も彼女がいてくれたおかげでタングラム門から回せたし…」

「さ、さいですか…」

「私も助かっています。」

だが、目立ちすぎじゃあるまいか。

「え、そう?シーカー曹長。」

「トップで訓練を走破したじゃないですか。」

何やってんだ。

「…ま、マジかよ…」

「あ、あの…もしかして、シーカー曹長って…受付のフランさんの…?」

「はい、姉です。不肖の妹がお世話になってます。」

というわけで、まさかの知り合いの家族。

まあ、世の中は狭いというけれども。

「やっぱりか…」

「はい、無駄話はそれまでにしましょっか、バニングス捜査官?」

「あ、ハイ。」

あまり、時間もないようだ。

「因みに、調書とかまとめてくれてたりする?」

「あ、ああ。」

ロイドが差し出した調書を読んだ副司令は、頷いた。

「よく調べてくれたわね。」

「…へぇ、神狼かぁ…いたら会ってみたいね!」

「ダメですよ、コルティア軍曹。潰す気満々ですよね!?」

酷ぇ。

「てへ、バレたか。」

「てへ、じゃねぇだろ…」

全くである。

そうして、ベルツ副司令は帰って行った。

「じゃあ、準備が出来次第マインツに向かおうか。」

こらこら、その前に。

「ティオちゃん、支援要請は何か来てるかしら?」

「見てみます。えっと…マインツ山道の手配魔獣と…は、廃アパートの魔獣駆除要請?」

「うーん…じゃあ、今回は手分けしないでおこうか。手配魔獣はマインツに行く途中で狩れば良いと思うし。」

「おっけー。」

モノによっては、手分けしている場合でもなくなるだろうし。

「じゃあ、行きましょうか。まずは裏通りのイメルダさんって方を訪ねれば良いのよね?」

「ああ。」

裏通りにある陰気な店。

そこには…

「イッヒッヒ…漸く来たね。」

胡散臭い老婆と、そして…

「…はい…?ねー、ま、マジ?これって…」

そこで、思い出した。

いないわけがないのだ。

「あら、これってまさか…ローゼンベルク製じゃない…?」

「ヒッヒ、お目が高いね。」

「…ろ、ロイド…忘れ物思い出した…ちょっと取ってくるから、仕事の話、しといてー…」

この時のアルシェムの顔は絶賛引きつっていたといっておこう。

「あ、ああ…」

支援課ビルへと戻り、自室からレコーダーを取り出す。

「…そーだよね。レンが身を寄せるなら…ヨルグ爺のとこしかねーもんね…」

レンに、会えることを信じて。

アルシェムは、支援課から飛び出した。

そこで丁度ロイドたちと出くわす。

「あ、ロイド。」

「廃アパートは旧市街らしい。行けるか?」

「うん。」

勿論。

旧市街に抜けるべく、東通りを歩いていると。

「やだやだ、みっしぃ欲しいー!」

という叫びが聞こえた。

「…みっしぃ?」

「ティオ…ま、いーか。先行ってて、ロイド。」

「あ、ああ。」

その親子に近付く。

「どーかなさいましたか?」

「え?えっと…」

親が弁明する前に、子供が宣言した。

「みっしぃのぬいぐるみが欲しいー!」

「どんなみっしぃのぬいぐるみかな?」

「このくらいの、ふかふかしたやつ!」

なにやら、見たことがあるサイズだ。

「…もしかして、このくらいのサイズの?」

確か、カジノに…

「うん、そう!」

「…探して来ましょーか?」

「え…良いんですか?」

あった、気がする。

「お困りみたいですし…ある場所に心当たりはあるので。」

「ぜ、是非お願いするよ!」

「では、暫く待ってて下さいね?」

歓楽街へと向かい、カジノに向かう途中で。

流石に依頼を受けたと言わないと心配される気がしたのでロイドに連絡した。

「あ、もしもしロイド?ちょっと用事が出来たからそっちの依頼頑張ってねー。…うん、任せた。んじゃー。」

カジノへと入り、景品を確認する。

「…やっぱあった。すみませーん、両替お願いしまーす。」

ミラをメダルに両替し、そのままぬいぐるみ分のメダルを差し出した。

「…で、これでそのみっしぃのぬいぐるみ下さい。」

「はい、どうぞお持ち下さい。」

「ありがとーございます。」

思ったよりも時間がかかってしまった。

東通りへと戻り、親子にぬいぐるみを渡す。

「はい、お待たせしました。」

「わあ…!ありがとう、お姉ちゃん!」

「本当に、ありがとうございました。」

「お気になさらず。では、失礼します。」

後で気づいた。

金もらってねえ。

そのまま旧市街へと向かうと、ぼろアパートからヴァルドが出てくるのに出くわした。

「…お?」

「…チ、退きやがれってんだ。」

いや、ボロボロすぎ。

「…ティアラ。」

勝手に治療させてもらおう。

「な…」

「あのさ、流石に怪我しすぎだよ?特にあんたは鉄とか武器に使ってるんだし、気を付けねーと、ころっと死ぬよ?」

破傷風とかで。

「余計な世話だ。」

そういって、ヴァルドは《イグニス》へと帰って行った。

ぼろアパートのほうを見ると、丁度ロイド達が出てきていた。

「…あ、終わったんだ。」

「ああ…手強かったけどな…」

「そりゃー良かった。」

「兎に角、マインツに向かいましょう。」

そうして、特務支援課の一行はマインツ山道へと向かった。




そういうわけで、この人も登場です。
え、他のはって?
諸事情により、しばらく生身では出ません。

では、また。

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