雪の軌跡   作:玻璃

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ロイドたちって不思議ですよね。

では、どうぞ。


クロスベルに携わるとは

支援課に戻ると、ロイドが真剣な顔で戻ってきた。

「只今。」

「アル…君は、あそこまで分かっていたのか?」

「…まずは課長に報告しよーね、ロイド。」

「あ、ああ…」

課長室へと入る。

セルゲイは、タバコをふかしながら新聞を読んでいた。

燃やすぞ。

「おう、何だ?」

不良の件についてロイドがセルゲイに報告し、指示を仰ぐが…

「ああ、好きにして良いぞ。」

丸投げされた。

まあ、力量試しというところか。

「え…」

「ああ、後、困ったら西通りのグリムウッド法律事務所を訪ねると良い。」

…グリムウッド。

熊ひげ先生、という彼か。

一番の犯人候補ではあるのだが。

「は、はあ…」

「失礼します。」

グリムウッド法律事務所へと向かう。

中に入ると、イアンが笑顔で出迎えた。

「やあ、いらっしゃい。相談かな?それとも…おや?」

「ええっと…?」

「君は、確か…ベルハイムに住んでいた、ガイ君の弟の…ええと…ロイド君、ではなかったかね?」

「はい。そうですが…」

既にロイドとは既知の仲であったというどうでも良い話を聞き流す。

…銃を持つ者の手。

だけど、それだけでは証拠にはならない。

有力候補ではあるのだが。

マフィアの話も知っているからどうでも良い。

「ありがとうございました。お陰で、解決出来そうです。」

「そうかね、それは良かった。」

「では、失礼します。」

グリムウッド法律事務所の外へと出て、アルシェムは思わず零した。

「…弱いかー。」

「?アル、何か言ったかしら?」

「いんや。それよりロイド、やっと分かったかな?」

これで分かっていなかったら捜査官失格だ。

「あそこまで、最初から分かってたのか…!?」

「どーだろーね。」

「兎に角、私達にも分かるように説明して下さい。」

「ここじゃダメだから。」

一応公共の場だから。

「兎に角、戻ろうか。」

支援課ビルへと戻り、テーブルに座る。

「…さて、纏めるぞ。」

ロイドがホワイトボードを引っ張り出してきて推理を披露した。

「…完璧とは言えねーけど、及第点かな。」

それでも、最初に気付けなかったことを思えば落第モノだ。

「まだ見落としてたことがあるってことか?」

「いや。仮にも警察官ならさ、クロスベルの実状くらい知ってて当然じゃねーの?」

「そ、それは…」

当然のことだろう。

自らの護る場所を、知らないなんて有り得ない。

「今のロイドとわたしの差って、そんだけだよ。」

「…そう、だな…」

ましてや、ロイドはクロスベルで育ったはずだ。

「アル、流石に辛辣過ぎねぇか?一応、ロイドだって新米なんだしよ…」

「それが、甘えって言うんだよ。特に、ロイドとエリィ。」

それは、エリィにも言えること。

「わ、私も…?」

「クロスベル生まれ、クロスベル育ちが何にも知らずに生きてるわけがねーよね。」

「…っ…」

小さなころから、全て闇を見て生きてきたわけではなくても。

それでも、ロイドの兄は警察官だった。

エリィの家族は、政治家だった。

「ティオとランディならいざ知らず、あんた達は知ってるべきでしょ。クロスベルに生まれ、クロスベルに育まれて、将来をクロスベルの為に使うって決めたあんた達ならね。」

「…そう、ね…信じたくなかったのかも知れないわ。」

「…こんなんだと、兄貴に怒られるな…」

知らないなんて、言わせない。

「全くだよ。情報収集は大事なんだから、しっかりやらねーとね。」

「ああ…」

「…それで、ロイド。結論は出たわけだが…これからどうすんだよ?」

「…勿論、不良の抗争は止めてみせるさ。だから、皆。力を貸して欲しい。」

止める、だけか。

まだまだ、甘い。

「…勿論よ。」

「言うまでもないな。」

「んじゃあ、わたしは遊撃士と警察を動かすかな。」

完全にルバーチェの息の根を止めるわけにはいかないが…

それでも、叩くのは大切だ。

「え゛…」

「警備隊は動かす?」

「い、いやいや、やりすぎじゃ…」

やりすぎ?

何それ美味しいの?

「え?やるからには徹底的に…」

「…アル。何か染まっていませんか…?」

「…うーん、昔っから結構こんな感じで火種はなくしてたよーな…」

火種は完全に鎮火するのがモットーです。

「いやいや、豪快過ぎんだろ…」

「ま、ルバーチェを検挙しきるのは難しーしね…排除しきるのもマズいか。」

「え…?」

「ルバーチェは良い意味でもわりー意味でも緩衝材だってこと。」

緩衝剤がなくなれば…

何が起こるか、分からない。

「はい?」

「まだはえーか。んじゃ、ルバーチェに一泡吹かせに行きますか。」

「そうね。でも、どうやって…?」

色々方法はあるけど。

「ああ、それは、捕まえる必要がないから囮捜査で釣り上げる。」

「…捕まえる必要がない…ですか?」

「捕まえたところで、ルバーチェの連中はすぐに釈放されるんだ。証拠がどれだけ揃ってようが、この案件に関しては引っ張れない。」

因みに、アルシェムならば全ての証拠を隠滅したうえでルバーチェに脅迫状を送る。

これ以上やらかしたら、警察も黙っていないと。

まあ、嘘ではない。

遊撃士の名前を勝手に使っても良いだろう。

特に、あのヘタレあたりを。

「…悔しいけれど、面目に泥を塗れるだけマシだと思わないと。」

「…腐ってやがるな…」

まあ、仕方がない。

「…同感です。」

「じゃあ、始めようか。まずはヴァルドとワジに協力を仰ごう。」

旧市街へと向かい、ワジ達と作戦を練る。

囮がロイド、捕まえるのは不良達という配役で。

ルバーチェに一泡吹かせて。

「…まー、この短時間で一般人なら上出来か。」

ルバーチェは、撃退された。




だって、甘すぎなんですもん。
仕事なめてるでしょ。

では、また。

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