雪の軌跡 作:玻璃
ないけどね!(ドヤァ
では、どうぞ。
報告を終えた後、アルシェムは部屋で荷物を広げていた。
すると、扉が叩かれた。
気配だけで分かるが、まあ、誰何の声は必要だろう。
「はいはい、誰かな?」
「ロイドだけど…ちょっと良いかな?」
「良くねーよ。今下着出してるし。」
まあ、冗談だが。
「ご、ごめん!?」
「じょーだんだけど。」
「…って、冗談なのか!?」
勿論です。
「や、夜に女の子の部屋に来るのは止めたほーがいーんじゃねーの?そーゆーハプニングもあるだろーし。」
「は、はは…」
「兎に角、わたしはこのまま特務支援課にいるつもりだけど…ロイドは悩んでんの?」
「…はは…良く分かったな。」
視れば簡単に分かりますとも。
「そんなロイドに忠告。やりたいことは、必ずしもやらなくちゃいけねーことじゃねー。理想を仕事に出来る奴なんて、そーそーいねーんだよ。」
「…アル?」
「ま、自分がやりたいよーにやりゃーいーってこと。人生チャンスは少ねーからね。」
まあ、なかった人間もいるが。
「…確かに、そうかも知れないな。ありがとう。参考になったよ。」
「あいあい、お役に立ててよーござんした。」
ロイドは、そのまま扉の前から去っていった。
暫くして、今度はティオが扉の前に立つ気配がした。
「…今度はティオ?」
「…入っても、良いですか?」
「いーよ。」
何か、大声では話せないようなことを聞きに来たんだろうし。
「…失礼します。」
「…で、どーしたの?」
「とぼけないで下さい。何故、アルはクロスベルに…?」
単刀直入だった。
直球過ぎる。
「…ごまかしは、効かねーみてーだね。」
「当たり前です…!まさか、クロスベルで何かが起きるんですか?」
「…まだそうと決まったわけじゃねーけど…そーだね。」
起きる。
確実に、誰かが動き出す。
その誰かを動かす黒幕を、探す。
まあ、その手伝いだが。
「何か…手伝えませんか?」
「教えてほしーことはあるんだけど、それ以上はね…流石に、裏を見せる訳にもいかねーし。」
こちら側に引き込む手もあるが、流石に嫌だ。
「何を教えて欲しいんですか?」
「熱血バ…いや、ガイが何で死んだのか。」
「…っ!」
これに答えられないのなら、裏には関わらせない。
「死んだのはきーたけど、どー死んだのかは知らねーから。」
さあ、どう答える?
「…それは…他殺だったと、聞いています。犯人が誰かとまでは…」
「…ふーん、他殺ね。凶器は?」
「いえ…そこまでは。担当の刑事さんやロイドさんに聞けば分かるかも知れませんが…」
殺されたのは知っているけれど、どのようにして、までは調べなかったのか…
それとも。
「…ありがとー。兎に角、調べてみるけど…結果、知りたい?」
「勿論ですが、警察のデータベースには残ってませんから。」
し、調べてたよこの子。
「…無茶するねー…りょーかい、ありがとー。」
「では、私はもう寝ますね。」
「お休み、ティオ。」
「お休みなさい、アル。」
ティオが、去った後。
アルシェムは、必要な情報だけを警察のデータベースから抜き出した。
「…ふーん。背後から拳銃で一撃、ねー…」
しかも、ガイの得物とバッジは持ち去られている、と来たか。
ということは…
どちらかを見れば、犯人は分かるということだろう。
さしあたり、それを見つけられたら…
いや。
その必要もないか。
何故新市庁舎の工事現場なんていう人気のない場所で、誰かと争って…
しかも、背後から撃たれて死んでいたのか。
考えれば、分かるはずだから。
すいません調子乗りました。
では、また。