雪の軌跡   作:玻璃

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おねむです。

では、どうぞ。


ジオフロント探索

ジオフロントの前まで来ると、いきなりロイドのENIGMAが鳴った。

「わわっ…」

ロイドでは対応出来なさそうだったので、すかさず奪う。

「ロイドさん、ちょい失礼。あい、ロイド・バニングスのENIGMA。…はぁ、ジオフロントの探索ですか。」

「ジオフロントで一体何するってんだ?」

通話に突っ込まないのかよ。

「…はっはーん、なーる。真意が見えたよ。りょーかい、ロイドさんに代わった方が?…あ、そ。はいはい。じゃ、また後で。」

「あ、あの…アルシェム?課長は何て…?」

「兎に角、ジオフロントを探索してってさ。まじゅーが出るから武器必須だよ。」

これは、多分…

遊撃士の良いところと警察の良いところを兼ね合わせた代物にする気だ。

「はぁ…」

「…兎に角、そういうことなら…まずはお互いの武器を確認しておこう。俺はトンファーだ。」

やはり、ロイドの得物はトンファーだった。

ガイと、同じスタイル。

「オレはこれだ。」

ランディはスタンハルバード。

ライフルでは、ないようだ。

まあ、流石に対人では使いにくいからだろうが。

「私は導力銃よ。」

「…私はこれです。」

ティオは、魔導杖。

前衛が少し心もとない気もするが、それなりにバランスが良い組み合わせだろう。

どうしたものか…

「へー、それが…っと、この組み合わせならバランス良さそーだよねー…うーん、どーしたものか…」

「…まさか…武器、忘れたんですか?アル。」

「何でそーなんのさ。…よし、ロイドさん。導力銃か剣か棒術具もしくは素手、どれがいー?」

考えるのが面倒になったので、判断をロイドに丸投げすることにした。

「え…」

「広そーなら導力銃とか棒術具とか使うけど、狭いなら剣か素手なんだよねー。」

素手って。

そう突っ込んだ人間が何人かいたのはご愛嬌だ。

「と、兎に角中に入ってから決めようか…」

「あ、後ロイドさん。課長から伝言。『捜査官資格持ってんのはロイドだけだからリーダーはロイドな。』だそーだよ。」

「そ、そうか…」

兎に角、ジオフロントの中へと入る。

意外と広いようだ。

一体、何に使うのやら(意味深)。

「…ふーん、意外と広いね。棒術具で行こうかな。」

「…意外です。アルは導力銃の方が慣れているのかと…」

そんな会話をしていると、ランディが気になったのかこう聞いてきた。

「なぁ、さっきから気になってたんだが…ティオすけとアルシェムちゃんは知り合いなのか?」

「あー、そーだけど…間怠っこしーからアルでいーよ、わたしもランディって呼ぶし。」

「おう、それで構わないぜ。」

どういう知り合いか、は割愛させて貰おう。

アルシェムは兎も角、ティオの前で言うのは憚られる。

「ああ、それなら私もアルって呼んでも構わないかしら?」

「構うも何も、わたし最初からエリィって呼び捨てだったと思うけど。」

「そうだったわね…」

幸い、誤魔化せたようだった。

「じゃあ、俺も呼び捨てで構わないよ。多分そう変わらないだろうから。」

「ロイド、いくつ?」

「え、18だけど…」

童顔。

そう思った。

少なくとも、16は越えているとは思ったが…

まさか、エステルよりも年上とは。

「あら、私も18よ。」

「…14です。」

「21だ。」

と、どうでも良いカミングアウトが続いて。

「へー。」

「アルはいくつなの?」

何故か、そう言う流れになってしまっていた。

さて、どう誤魔化そうか。

「うーん…17以上?」

「え…」

「その先が知りたいなら…」

そこで、気付いた。

微かだが、人の気配がする。

しかも、啜り泣きと一緒に…

「知りたいなら…?」

これは、マズイ。

「…何か言うつもりだったけど、後でね。」

「え?」

「…ティオ、聞こえた?」

ティオにも聞こえたのならば、近い。

「はい…あっちです!」

「何があったんだ…!?」

子供の泣き声が聞こえる方へと、駆けだす。

幸い、迷うこともなくたどり着いた。

「…ここだね。」

「ええ…」

目の前の通風孔っぽいところから、子供の泣き声が響いている。

「ひっく、ひっく…」

ランディは遅れずについてきた。

だが、エリィとロイドは…

「はぁはぁ…速いな。」

グロッキーだった。

もっと鍛えろよ。

「ロイド達がおせーの。」

「ティオすけも地味に速すぎだぜ…」

ティオは、少しだけとはいえ《影の国》での運動経験があるから早いのだ。

今度、訓練でもつけておこう。

そう、アルシェムは思った。

「ランディさんには言われたくありません。」

「はぁ、はぁ…この声…ま、まさか…」

「子供…多分、日曜学校に通うレベルだね。おーい、そこにいるのは誰かな?」

「ふぇ…」

アルシェムが話しかけると、泣きそうになる子供。

「…あー、ダメだ。わたしじゃ胡散臭すぎるかも。エリィ、そっちの入り口立っててね。」

「え、ええ…」

通風孔にしては大きい通路を、ロイド達がいる場所まで追い込めるように回り込み…

アルシェムは、子供の後ろでわざと声を出した。

「よっこい…」

「うっひゃああああああ!?」

その結果。

子供は、エリィのいる方向へと一目散に駆けだした。

…解せぬ。

「きゃっ!?」

「あー、これはマジで傷つくわ…」

「あ、あれ…?」

子供は、エリィに抱き留められていた。

うらやまけしからん!と、ランディが思ったとか何とか。

「良かった。怪我はない?」

「あ、はい…」

「全く…」

のっそりと、アルシェムが出て来るだけで…

「ひっ…」

この通り、怯えられる。

「なーんで、こんな怖がられるかねー…わたし、何かした?」

「あ、あれ…?普通のお姉さん…?」

普通じゃないお姉さんって何だ。

「兎に角、君の名前は?」

「あ、僕、アンリって言います!」

「ねぇ、アンリ君。どうしてこんな所にいるの?」

「そ、その…リュウっていう、僕の友達が…」

それだけで分かった。

奥の方に、もう1人の気配がする。

…いや、それだけではない…?

「…奥に行ったんだね。全く…やんちゃ坊主だ。ま、元気な証拠だろーけどさ…」

「はい…」

「さて、ロイド。連れてく?分断する?」

そう、選択肢を出してみると。

「…いや、連れて行く。早くしないと、リュウが魔獣に襲われるかも知れない…!」

と、判断した。

まあ、及第点…

かな。

「…違いないな。」

「急ぎましょう!」

そうして、特務支援課の面々は奥へと向かった。




「もうバイトは無理だろ(ドヤァ」

…殴ってきていいですか?

では、また。

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