雪の軌跡   作:玻璃

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はい、3rd最終話です。

では、どうぞ。


別れの時

何故かケビンとリースが気絶していたようだが、全員が無事に集合した。

「さーて。セレスト、さん?ここは崩れるんじゃねーの?とっとと脱出口開けや。」

「アルちゃん、何か性格変わっとんで!?」

「喧しいヘタレネギの癖に。」

「ぐはっ…」

文句も言いたくなる。

ここは、アルシェムの世界だった。

だけど、もう違うのだから。

「分かりました。どうやら、彼女が用意してくれたようですから…今ここで、開いてみましょう。」

セレストが、浮かび上がって。

そして、《天上門》が開く。

「あ…」

「現世への…出口。」

光の先に、歩んでいけるのならば。

それは、とても幸せなこと。

「各自、取り込まれたときにいた場所の近くに戻れるかと思います。」

「そうか…」

「…お別れ、みたいね。」

みたい、ではなく、実際にそうである。

別れは、いつだって唐突だ。

それは、いつもアルシェムから切り出すものだと思っていた。

「え、え…もう、ですか…?」

「な、何だか、全然実感がないっていうか…不思議な感じ。」

それでも、別れなくてはならない。

この先、アルシェム達が彼らに関わることは…

ほぼ、ないと思っていた。

だから。

「それ…」

「悪いね、ジンさん。わたし達が先に行くよ。…これ以上、ここにいたって仕方ねーし。」

「…orz」

落ち込むな。

先陣を切るのは、アルシェム達で良い。

「さてと。それでは、あたしから。」

「メル先生…」

「そんな顔をしないで下さい、エステル。それと…いつか、言おうと思っていたんですが。」

あ。

「あたし、エステルとそんなに年齢かわりませんからね。」

言っちゃった。

「え。」

「まだ成人していませんから。そうかわらないでしょう?」

「あ、あ、あ、あんですってー!?」

驚愕の事実、だったようだ。

アルシェムは知っていたのだが。

「それでは皆さん。ごきげんよう。また逢う日が来ると良いですね。」

そう言って。

メルは、帝国へと帰っていった。

「それじゃあ、次は私達ね、レーヴェ?」

「ああ、そうだな。」

カリンとレオンハルトは相変わらずの熱愛っぷり。

「ああ、そう言えばアルシェム。」

「何?」

「今度、結婚式をやるの。来れるんだったら来なさいね?」

…やっとか。

「エステルとヨシュアに言ってよ。わたしは…多分、行かないから。」

「…そう言うと思ったわ。でも、教えておきたかったのよ。…命の、恩人にね。」

「カリン…」

行かないんじゃない。

行けない、のだ。

エステル達と顔を合わせづらいから。

「あ、出来れば今度写真見せてよ。いつになるかはしんねーけど。レオン兄のタキシード見たい。」

「勿論よ。」

「おい!?」

タキシードが負けなければ良いが。

「それじゃあ、皆。また逢う方も、そうでない方も。お元気で。」

「俺が言えた義理ではないが…その、平穏を祈る。」

そう言って、レオンハルトとカリンはリベールへと帰っていった。

「あ、じゃあ、次はアタシが行くよ。」

「ね、ねえ…リオさん。も、もしかして…さ。」

「ん?もしかして年齢の話?」

エステルの目に縋る光が見える。

だが、残念だったな。

「残念。アタシはメルの一個下だから。」

「あ、あんですってー!?」

「あはは、やっぱり同いに見られてたか。」

リオは童顔だから。

「んじゃ、またねエステル。きっと会える気がするけど、その時はよろしくね?」

「勿論!」

そう言って、リオはクロスベルへと帰っていった。

「…ティオ、一緒に帰る?」

「あ、ええ。」

次は、アルシェムの番だ。

「…その。皆さん…ありがとうございました。あまりお役には立てなかったかもしれませんが…」

「あ、あのあの、ティオさん。…また、お話ししたいです!」

「…感無量です。」

え、そこまで?

「…ティオ。」

「珍しいですね、レンさんから声を掛けて来るなんて。…どうか、しましたか?」

「…なんでもない…」

レンが、何かを言いかけてやめた。

「…そうですか。…アル、私は先に帰っていますね?」

「あー、はいはい。」

こういうところは、おせっかいなのかもしれない。

ティオも、先に帰った。

「…レン。」

「…何よ…」

「ゆっくり、悩めば良いよ。さよならは、いつか絶対に来るものなんだから。そのいつかが来るのはいつかは分からない。だけど、さ。後悔は、したくないよね?」

後悔だらけのアルシェムが言えたことではない。

だけど。

レンは、まだ間に合うはずだから。

「…そう、ね…」

「レン。わたしとは、きっとまた会えるから。それは分かってるよね。だから…また、会うために。」

そう言って、急に怖くなった。

それでも、ここからは出なくてはならないのだ。

ここは、アルシェムのいるべき世界ではないのだから。

「さよなら。また、会おうね!」

「…分かったわよ…今はまだ行かないけど、いつかきっと会いに行くわ。だから…待ってなさいよ、アル。」

そう、レンが言ってくれたのだ。

だから、アルシェムは…

現実に、帰った。




ちょっとだけ間を開けて零に向かいたいと思います。

でもね、今まだ記念祭やってるところなんだけどなあ。

では、また今度。

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