雪の軌跡 作:玻璃
では、どうぞ。
エステル達は、扉ごとに綺麗に振り分けられた。
しかし、アルシェムやカリン、レオンハルト、メル、リオ、それにティオが何処かの組に入ろうとした瞬間に妨害が入った。
「これは…」
「別のとこに行けってことなんじゃねーの?」
因みに、ギルバートは強制的に眠らされていた。
哀れ。
「別のところ、なあ…そう言うても、左右に真中に大門以外、何も見えへんで?」
「…んじゃあ、条件式だ。先に全員が中に入ったら開くのかもね。」
「かもしれんな。んじゃ…頑張ってくるわ。」
そう言って、ケビン達は扉に消えて行った。
その瞬間。
「…成程、下か。」
「そうみたいだね…」
「このオチ、もう嫌なんだけど。」
現在絶賛落下中。
どうしてこうなった。
そうして、着陸した。
「だいじょーぶ?ティオ。」
「え、ええ…流石にびっくりしましたけど。」
「そりゃ良かった。さーて、ラスボスちゃんは…?」
そこにいたのは、青色の天使だった。
因みに、良い意味の天使ではない。
「…うわぁ…何でコイツ…」
「流石にこれはないですよ…」
「な、な、何なんですかこれ!?」
ソレは…
「人間が《輝く環》を取り込んだらこうなるのかしら。それとも、《輝く環》が人の形を取ったらこうなるのかしら。」
「…カリン。そんなことを言っている場合ではないと思うが。」
俗称、アンヘルワイスマン。
いやあ、気持ち悪い。
だが、今の形は恐らく…
「細部まで一緒とか。色が違うだけじゃん。」
「金色もどうかと思いましたけど…この色はもっとないですね。」
記憶を再現しただけだ。
「…久し振り、って言ったほーがいーのかな。」
答えなんて、求めていなかった。
なのに。
『久方ぶり、といっておくべきか。』
「喋った!?」
「喋るだけの木偶人形じゃねーの?どーでもいー。」
実際、どうでも良かった。
アルシェムの求めるモノは、ここにはないのだから。
『《影の管理者》よ。今こそあるべき場所へと戻ると良い。』
「却下。さ、皆ー。こいつには何の用事もないからぶっ潰すよー。」
「え、あの…良いんですか?」
誰がダメだといった。
この場所は、残すべきではない。
「いーからいーから。」
「あ、アル。無茶したらしばき倒すよ。」
「リオが言うと洒落になんねーから…」
そうして。
ソレが言うことを無視して、皆はアンヘル以下略に攻撃を仕掛けた。
「まずは障壁を砕くぞ。はああああああっ!」
「恐らく、効かないでしょうけど。…受けなさい、七耀の裁きを。虚無の弾丸!」
メルが牽制しながら、レオンハルトが障壁を砕く。
「あ、流石に弱いね。」
「本物とは比べられないわよ、リオ。」
そうして。
「「合技、インフィニティ・インフィニティ!」」
リオとカリンが同時に法剣で攻撃を加える。
流石に弱すぎる。
本物は、もっと迫力があった。
もっと、強かった。
今のコレには…
「メル、ティオに後で口止めしてね。」
「分かってますよ。皆さん、危ないので下がって下さいね。…燃えますよ。」
メルの言葉を聞いて。
皆が、下がった。
「…炎舞。」
特殊オーブメントが、駆動して。
青い天使が燃える。
「遠距離攻撃は流石に持ってないんだが。…炎舞。」
物理は、という意味だろうが。
今零ストームやられたら、下手すれば消えてしまうから。
「何だか、水は止めた方がよさそうですね。それじゃあ…ファイアボルト!」
ティオもなんだかんだ言いながら、追い打ちをかける。
「えー、遠距離ってこれしかないよね。ま、いーけど。不破・弾丸!」
もう、これしか使ってないんじゃないかってくらい使いまくったクラフト。
なんせ、使いやすいのだ。
だから、幾度でも使い続けるだろう。
「ていうかさ、この手段だったら行けると思うんだけど。…幻蝶!」
リオが、半分忘れかけていた特殊オーブメントのアーツを発動させた。
「ふ、増えた!?」
「気にしちゃ負けだからね、ティオ。」
「は、はあ…」
本体は、距離を取って離れている。
だが、分身ならば。
「インフィニティ・ホーク!」
分身は、焼かれながら特攻してぎりぎり攻撃を加えたのちに消滅した。
「うっわぁ…これじゃあ、効率悪すぎるね。」
「分かってたんじゃないのかしら。…さて、と。」
カリンが、法剣を握り替えた。
「皆に、護りを。」
その言葉だけで、全員に薄い膜が張られる。
「これって…」
「完全本気モードじゃん、カリン姉…」
そうして。
「外法に、七耀の裁きを。」
煌めく弾丸が、生成されていく。
「あの、この弾丸って…」
「あ、触んない方が良いですよ、ティオさん。状態異常になっちゃいますから。」
「む、無茶苦茶です…」
数えきれないほどに、増殖した弾丸が…
「…貫け。スフィアノヴァ…!」
青い天使に突き刺さって。
天使は、消えた。
「す、凄すぎです…」
「やり過ぎだろう、カリン…」
「やり過ぎじゃないもの。ほら、キッチリ仕留めたわよ?」
それはキッチリとは言わない。
そうして、階段が現れた。
「さ、きりきり登るよー。」
「タフすぎます…」
ティオを気遣いながら、一行は終わりの道へと向かった。
カリンさん最強。
では、また。