雪の軌跡 作:玻璃
土日が使えない制限、どうにかなればいいのに。
さて、原作逸脱回です。
いや、これまでもあっただろ?という声は聞こえないことにします。
「キノコ狩りと薬の材料、終わりましたよっと。」
「…何て言えば良いのかしら…準遊撃士とは思えないわね…」
アイナにかなりあきれられた。
まあ、確かにかなりの速度で依頼を片付けているのだが、アルシェムにとってはこれが普通だ。
…忘れる前に報告を付け加える。
「あと…少し、エステル達の依頼に手を出しちゃいました。」
と言っていると、丁度エステル達が帰って来た。
「ご苦労様。鉱山では大変だったみたいね?」
「アル、もう報告したの?」
今からだと言いたいところだが、アイナが知っている理由に心当たりはあった。
「や、多分鉱山から連絡が行ったんじゃねーかな?」
「その通りよ。あなた達にとても感謝していたわ。その辺りも含めて報告して頂戴ね。」
エステル達は鉱山での出来事について報告した。
何故か許可も取らずに強行突破したことはお咎めなしだった。
緊急時と判断されたのだろうか?
「ふふ…期待以上の仕事をしてくれたわね。突発的な事故に対処するのも
「うん!」
…さて、次は…
掲示板を見て、受けられそうなものに目星を付ける。
「あ、次は子猫のそーさくと手配まじゅー受けますね。」
「…ちょっとは休んだら?アルシェム…」
何故か心配されている…
「これくらい軽いですよ。体力だけは無駄にあるんで。」
「…そう?なら良いけど…」
そんな心配、全くの見当違いなのに。
「安心して下さい。無理だと思ったら休みますから。」
「ほんとにもう~、どうしましょう~。」
…あの人か。
「あなたがイーダさんですか?」
「はい~あなたはひょっとして、ブレイサーさん?」
…なんだか、ほわほわした人だ。
どうでも良いが、話しづらい。
「はい。お困りのよーですが、どーなさいました?」
「うちのアリルちゃんが帰ってこなくなっちゃったのよ~。」
「…あの子猫が?」
記憶力は良い方だ。
確か、毎日ここで昼寝しているイーダの傍に子猫がいたはずだ。
「あら~アリルちゃんを知ってるの~?」
「はい、いつもこちらにいらっしゃるときに傍にいる小麦色の子猫ですよね?」
「そうよ~カッワイイんだから~。」
何だか話し込むとどうしようもなく鬱陶しそうなので早めに話を切り上げる。
「分かりました。探してきますね。」
「お願いね~ブレイサーさん。」
辺りの気配を歩きながら探る。
時計台の方に、それらしい気配があった。
時計台を通りがかると、やはり子猫がいた。
「…おいで、アリル。」
子猫は何故か逃げて教会に逃げ込んだ。
…子猫に嫌われるような事したっけ…
地味に傷つきながら子猫を追って教会に入る。
…目視ではいない。
じゃあ、隣の部屋かな…?
隣の部屋に侵入すると、メルがいた。
「…メルせんせ?子猫は?」
「捕まえましたよ…」
「にやゃゃあ~~。」
メルはこういう生き物はすぐに捕まえたくなるらしい。
しかも懐いているので若干羨ましいと思ったことは秘密だ。
「何かごめん…ついでに1つ。わたしがロレントを去ったら、ルーアンに行って。またタイミングは言うから。」
「…分かりました。そこで何がしか掴めば良いんですね?」
「察しがいーね。じゃ、また今度。」
子猫を受け取り、アーベントまで連れて戻る。
「見つけましたよ。」
「あら~アリルちゃん~。無事に連れてきてくれてありがとう~。」
「にやゃゃあ~~。」
ご満悦のようだ。
猫は可愛いが、飼っても懐いてくれないのが困りものだ。
「そろそろ行かないと。しつれーしますね。」
「まったね~。」
ギルドに戻ると、アイナが信じられないといった顔でアルシェムを見た。
「ま、まさかもう手配魔獣を…!?」
「流石に無理です。今から行ってきますよ。子猫はちゃんと見つけましたよっと。」
「エステル達は塔に行ったわ。もし、そっちに行く用事があれば手伝ってあげてね?」
いや、手伝ってくれって何気に言ってる?
「はい、余裕があれば。じゃ、行って来ます。」
ギルドを出て、エリーズ街道に出る。
いつもと同じく魔獣を片っ端から狩りつつ手配魔獣を探す。
「ライノサイダーか…クロノサイダーに似てるな…」
ツァイスには、この魔獣が山ほど街道をうろついていることがある。
ロレントでは、確かミストヴァルトに棲息していたはずだ。
通常攻撃で1カ所をしつこく撃ち続け、表皮を砕けばこっちのもの。
表皮を砕いた後は1発で仕留めた。
「ふう…にしても、ミストヴァルトに、わたし達以外に誰か侵入してるのかなー…?」
ミストヴァルトには、とある秘密基地がある。
法術で近づけないようにしてあるそこには、特殊なものであふれている。
アルシェム達の本拠地でもあった。
だが、生態系を脅かすような造りはしていない。
だから、何かが侵入した可能性が…
と、考えながら歩いていると、ロレント市の直前で再び少女にぶつかった。
「きゃっ!?」
「…済みませんね?度々…」
「あ、あら?あの時の遊撃士さん?」
…?
遊撃士であると名乗った覚えはないのだが…
取り敢えず、良家の子女っぽい怪しい少女に注意だけはしておく。
「街道に出るなら、気を付けて下さいね?魔獣も出ますし、何より1人歩きは危ねーですよ?…鉱山でも、魔獣が湧いたらしーですから。」
「はい。気をつけますわ。…アンタもね?」
…!
取り囲まれた。
が、これだけの集団が潜むには…
やはり、あそこしかない。
一応場所を完全に特定するためにわざとぶん殴られる。
気を失ったふりをして、話を伺おうとした。
が、追跡を免れるために気を失わせたわけではないようだ。
「キミ達、連れて行きな!人質だよ。」
「で、でもお嬢…」
「保険さ保険。危害は加えないよ。」
仕方がないのでそのまま連れ去られることにした。
途中、道標にオーブメント用の小さい螺子を蒔いていく。
これならきっと気付いてくれる。
万一気付かれなくても、この錬度なら1人で制圧できる。
連れて行かれた先は、やはりミストヴァルトだった。
というわけで、まさかの捕縛です。
次回、アルシェム無双!
…嘘です。
感想などお待ちしています。