雪の軌跡   作:玻璃

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今日は投稿しないといったな?
あれは嘘だ(キリッ)

…冗談です。
では、どうぞ。


ヤヴァイキノコと鉱山

報告していると、アイナの顔がだんだん引き攣っていくのがわかる…

「兵士訓練とオーブメント灯交換終わりましたっと。」

「は、早いわね…まだあの子達が鉱山に行ったばかりよ?あまり飛ばしすぎないでね?」

「分かってますよ。でも、掲示板をバリバリ終わらせねーと、何か心理的に不安になんねーですか?」

「依頼が片付くのは良いんだけどね。…正直、あなたを舐めてたわ…」

舐められていたのか…

じゃあ、もうちょっと頑張らないとね。

「そうですか?次、キノコ狩り行って来ますねー。」

「行ってらっしゃい。」

遊撃士協会(ギルド)を出て、発着場に向かった。

すると、ぶつぶつ呟いている怪しい男が一人。

こいつがオーヴィットさんかな?

「ったく、遊撃士(ブレイサー)共め、一体いつまで待たせる気なんだ。」

…そのようだ。

「すみませんね…遊撃士協会(ギルド)、今は人不足なんですよ。お待たせしました。」

「漸くか。…早速、仕事内容を説明するとしよう。私はオーヴィッド商会代表のオーヴィッドだ。」

自己紹介されたので取り敢えず名乗っておく。

「アルシェムともーします。」

「ふむ、随分と若いな。」

そりゃあ、多分16ですから。

「準遊撃士ですから。ですが、遊撃士協会(ギルド)の協力員として働いていたこともあるので、安心して下さい。」

「…まあ大丈夫か。今、『ホタル茸』という珍しいキノコを探してるんだ。七耀石が豊富な土壌にしか生えないと言われていてね。ロレントで採取された記録はあるが今はどこも扱っていないんだ。だが、どうしても手に入れる必要があってね…」

…ホタル茸!?

それって…

かなり危なめのキノコだ。

七耀石を多分に含むため、魔獣を引き寄せる。

「…失礼ですが、オーヴィッドさんはそのキノコをどーされるおつもりで?」

「どうするって…食べるんだよ。」

…食べる?

あの緑色のヤヴァイキノコを?

「…ホタル茸は七耀石の影響で魔獣を引き寄せます。あくよーするつもりはありませんよね?」

「あるわけがないだろう!うちは真っ当な商会だぞ!?」

真っ当な商会がヤヴァイキノコを食べようとはしないと思うが、それはさておき。

「すみません、昔やりやがった奴がいたので。気を付けていただきてーだけです。」

「勿論だよ。」

嘘は吐いていなさそうなので、取りあえず受ける。

「では、採取してきます。少しばかりお待ち下さいね。」

「うむ。」

発着場を出てマルガ山道に出、草むらを漁る。

草むらに生えているのは分かっていたからだ。

「…あった。」

ついでに赤茶玉蟲を狩って魔獣の羽を採取しておく。

薬の材料をデバイン教区長に渡すために、必要な物だ。

ベアズクローは、とある理由でミストヴァルトによく行くため、その時に採取しておいた。

これで…

…!?

地面が不自然に揺れた。

「…地震…いや、爆破!?」

震源地に向かって走る。

震源はどうやら鉱山の地下のようだ。

「失礼しまっす!」

「あ、おい君!?」

鉱山の門番をすり抜けて昇降機を強制的に動かし、揺れた方向に走る。

「こ、こんなつもりじゃ…ひいいいっ!」

すると、男が逃げて行った。

「火薬の臭い…っ!魔獣の巣じゃねーの!」

運の悪い事に、先ほどの男が火薬で爆破したことで魔獣の巣に繋がってしまっているようだ。

出てくる魔獣を片っ端から狩る。

「不破・弾丸!」

クラフトで一度一掃するが、それでも湧いてくる。

暫く撃ち続けているとエステル達が来た。

「アル!?どうしてここに…」

そんな悠長なことを言っている場合ではない。

「取り敢えず上に!他の人は避難させた?」

「うん、もう君だけだ!」

「りょーかい。おまけに、不破・弾丸!退くよ!」

その場から退き、走って昇降機に乗って地上に戻る。

すると、鉱員達に囲まれた。

「親方、大丈夫ですか!?」

「ひええ~っ、よく無事だったなぁ!」

「この嬢ちゃん達のおかげだよ。」

それで思い出した。

「その…すみません、さっきは…」

「?何で謝ってるの?」

「や、さっき…ここ、無理矢理突破して来たから。」

許可証とかないとダメな気がする…

「いや、おかげで助かったよ。…全員、揃ってるな?」

「へい、全員いますぜ。さっき見習いが慌てて逃げ出していきましたが…よっぽど恐かったんだな…あいつ。」

…見習い?

逃げて行った?

それは…

キナ臭い。

「そうか…こんなことで挫けなきゃ良いんだがな…兎に角、地下にはまだ魔獣が残ってるだろう。安全の確認が取れるまで昇降機は使うんじゃないぞ。」

そこで鉱員達は解散し、親方が入口まで見送ってくれる。

「済まなかったな、余計な仕事までさせちまって。そのうちギルドに連絡してちゃんと礼をさせてもらうからな。」

「あはは、気にしないで。当然のことをしたまでだもん。」

「そーそー、コレもしゅぎょーの内ですし、気にしないで下さい。」

というか、本来なら怒られてしかるべきなのだが。

許可証もなく突破したし…

「ところで…地下はどうするんですか?」

「何とか自分達でケリを着けるさ。ま、余程困ったことがあったらギルドの手を借りるかも知れねえ。」

「うん、その時は任せてね。それじゃあ、あたし達は市長さんに結晶を届けるわね。」

「エステル…落としたりしてないよね?」

念のためにヨシュアが聞くが…

「失礼しちゃうわね。そこまでウッカリ………」

「ま、まさか…」

「お、落としたのか!?」

エステルがふざけているのが分かったので、釘をさす。

「エステル、ふざけねーで。しんぞーにわりー。…あるんでしょ?」

「な、何で分かるの!?」

「カン。」

まあ、カンではないけど…

これは一種の…

「君ってヤツは…」

「心臓に悪いぜ嬢ちゃんよぅ…」

…あ、キノコ。

「…あ、こんなことしてるばーいじゃねー!ごめん、エステル、ヨシュア。先帰るね!親方、しつれーします!」

「おう。ありがとうな!」

オーヴィットにキノコを渡すべくマルガ山道を爆走し、発着場まで駆け戻った。

「遅かったじゃないか。」

「すみませんね…ちょっと、トラブルがあったので。どうぞ。」

ヤヴァイキノコを渡す。

「うむ、確かに。私は次の商談の準備があるので失礼するよ。」

「お気を付けて。」

発着場を出て、ついでに教会に寄る。

薬の材料の依頼を果たすためだ。

「お久しぶりです、デバイン教区長。…お邪魔でしたか?」

「おや、アルシェム。どうかしましたか?」

遊撃士協会(ギルド)に依頼されたベアズクローと魔獣の羽です。どうぞお納め下さい。」

それを見て、若干驚いたようだ。

「これは…!確かに依頼はしましたが、まさかあなたが集めてくれるとは…怪我はありませんでしたか?」

「勿論ですよ。」

というか、怪我のしようもない。

この辺りの魔獣は、アルシェムにとっては雑魚以下だから。

「そうですか、ご苦労様でした。あなたの行く空の下、常に女神の導きがあらんことを。」

「では、失礼します。」

教会から出ると、何故か少女にぶつかった。

「すみません、お怪我はありませんか?」

「は、はい…こちらこそ、すみません。前を見ていなかったものですから…」

何でだろう。

微かに、火薬の臭いが…

「…?ほんとーにすみません…」

「いえ、気にしませんわ。なのであなたも気にしないで下さいな。…ご機嫌よう。」

少女は小走りにホテルの方へ去っていった。

「…何か、合わねー…気が、するな…さっきの見習いといー、あの女といー…」

何よりも、火薬の臭いが怪しい。

が、何も確証がないのでそのままにしておく。

だが、それは間違いだった。

問い詰めるべきだったのだ。

まあ、後の祭りなのだが。




というわけで、少しばかり流れが変わります。
大きく逸脱はしませんがね。
そのうち、「え、何で?」というくらい逸脱します。
…たぶんね。

では、また。

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