雪の軌跡   作:玻璃

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時間ができたので連日投稿。
きっと明日は無理でしょう。

では、どうぞ。


街道灯の交換と兵士の訓練

アイナが次の依頼の話をしようとしたので、一応関係がないことになっているアルシェムは席を外すことにした。

「さてと…」

「今日もわたしは掲示板の仕事でもやるとします。けっこー来てるみたいだし…」

正直、リッジだけでは回らないと思う。

「ごめんなさいね。」

「あ、それと、メルダースさんからミルヒ街道の第6街道灯の交換の依頼を受けました。」

「あら、もうそんな時期だったのね。…頼むわ。」

ついでだし、ザクザク受けておこう。

経験は力になるし。

「じゃー行ってきます。キノコ狩り、薬の材料に兵士訓練も受けますね。」

「だ、大丈夫?」

流石に心配されるが、これくらい手配魔獣を連続で受けるよりも軽いものだ。

ツァイスに留学していた時、遊撃士協会(ギルド)の協力員としても働いていたアルシェムは手配魔獣を狩りまくっていた。

1日に3回受けたこともざらにある。

体力だけは豊富なのだ。

「暇より忙しー方がいーんですよ、わたしは。」

忙しい方が、気が紛れるから。

ギルドを出て、ミルヒ街道に出る。

「1…2…3…4…5…っとこれか。」

道沿いに街道灯を数え、第6街道灯を見つけると、魔獣が既に群がっていた。

「…面倒くせー…不破・弾丸!」

クラフトを使って魔獣を一掃する。

一掃できたところで手早く開錠コードを打ち込む。

「544818、と。交換して…完了、っと。このままヴェルデ橋まで行くかー。」

流石にすぐに終わり、兵士訓練の依頼があったヴェルデ橋まで魔獣を一掃しながら走る。

そして詰め所に入ると、そこにはアストン隊長がいた。

このアストン隊長はルックの父で、かなり真面目な性格の御仁である。

「おお、アルシェム君、ギルドの掲示板を見て来てくれたのかね?」

「はい、そーですよ。」

「丁度新米共を鍛え直そうと思っていてね。…1人で大丈夫かね?」

何だか心配されたが、心配なのは新兵の方である。

「ま、大丈夫でしょう。わたしに即座に倒されるよーなら、まあやべーんじゃねーかって脅しといて下さい。」

「はは、頼もしいな。」

…あ、そうだ。

「あ、剣貸して下さい。導力銃じゃしょーぶにすらなんねーんで。」

1発ずつ打ち込んで終わりだ。

流石にそれでは訓練にならない。

「うむ。」

剣を貸してもらって、外に出る。

そしてスコットとハロルドという新兵に声が掛けられ、整列した。

「では、これより訓練を始める。全員、5歩前進!…構えっ!」

「確かに退屈だったけど…」

「訓練だって分かっててもおっかないよぉ…」

何だか怯えられている…

「あー、私語は慎むように。実戦だと思って真剣に取り組め!アルシェム君、手加減は必要ないからね。」

「…言っときますけど、手加減しねーと一瞬で終わりますからね…?」

「ひぇっ!?」

申し訳ないが、本当に手加減しないと一瞬で終わりそうである。

アルシェムの剣は、とある修羅に堕ちた剣士から習ったものだから。

「前へっ!」

そして、訓練が始まった。

すぐさまペイント弾が飛んでくる。

というか、銃剣なのか…

だが、そのペイント弾は一度も掠ることはなかった。

「かりーかりー。当たんねー。」

狙いが甘すぎるのである。

「くっ…」

「行くよー?」

まずは緩く、剣を振る。

緩すぎたのか、スコットがよろめく。

「く…!」

「はい、ほい、へい、はい。」

掛け声と共に剣を動かし、追い詰める。

「ひいいっ!?」

これでスコットは沈んだ。

「な、ななな…」

「おせー。」

ハロルドは対応すら出来ずに沈んだ。

「…よし、そこまで。訓練は終わりだ。」

何というか…

「いててて…」

「い、一体何が…」

「よえー…ほんとーにへーし?あんたら…」

弱すぎる。

もうちょっと骨があっても良いんじゃないかと思う。

「う、うるさいなぁ。君みたいな化け物と一緒にしないでくれ!」

「…もう一回、やりてーの?」

誰が化け物だ、と猛烈に言いたかったが、抑える。

「スコット、やめるんだ。アルシェム君もすまないね…」

「いや、いざって時にやべーのはアストンさんなんだろーし。新兵君達に頑張ってもらえりゃいーですよ。ちゃんと市民を守って欲しーですけどね。」

「…スコット、ハロルド。これが市民の正直な声だぞ。本当に市民を守れるのか…真剣に自分を見る必要があるようだな。」

うわあ、真面目。

取り敢えずは何とかなりそうかな。

「は、はい…」

「うむ。今日のことを忘れずにこれからの任務に励むように。…アルシェム君、今日はご苦労だったね。あいつらも目が覚めただろう。」

「いや、コテンパンにしすぎたかなと…何かもーしわけなかったな…」

因みに、正直な感想である。

「ま、まあお互い立場は違えど、公に尽くす身であることに変わりはない。これからもお互い頑張ろうじゃないか。」

ごめんアストンさん。

アストンの顔は若干引き攣っていた…

「…ありがとうございます。じゃ、わたしはこれで。」

ヴェルデ橋を出て、ミルヒ街道を爆走する。

程なくしてロレント市に着き、メルダース工房に寄る。

「フライディさん、終わりましたよ。」

「ありがとう、助かったよ。」

「…この壊れた街道灯、貰っていーですか?」

何かのトラップに使おうかな…

冗談だけど。

「うん、また何か作るんだろう?楽しみにしているよ。」

「はい。しつれーします。」

そして、アルシェムはメルダース工房を出て遊撃士協会(ギルド)に戻った。




何でなんでしょう。
FCは100話とか行きそうなのにSCの文字数が全力で少なくなりそうなのは。

単独行動ってコワイ。

感想、質問などお待ちしています。

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