雪の軌跡   作:玻璃

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というわけで3rd開始です。

てーか、後半ですけどね。

では、どうぞ。


3rd編開始~微睡の中で~
星の扉:白き翼、ただ一人で足を踏み入れよ。


【先史、リベル=アーク】

 

銀髪の赤ん坊を抱いた男性が、金色の光にその赤ん坊を差し出した。

その間も眠り続ける赤ん坊。

一向に目を醒ます気配は、ない。

けれど、金色の光にはどうでも良いことだった。

赤ん坊はただの人質で、用などないのだから。

金色の光には、感情がなかった。

だから、赤ん坊を道具として扱うことが出来た。

金色の光は、男性から赤ん坊を受け取り、自らの中枢近くに赤ん坊を収納した。

その場所は、管理システムの中、《影の国》と呼ばれる場所。

意識のない赤ん坊に、金色の光はその場所の管理を任せたのだった…

 

【七耀暦4年、リベル=アーク、アクシスピラー前】

 

「こちらです、急いで!!」

走る集団は、地下道に入る。

短い紫色の髪を翻して走るリーダーと思しき女性。

名を、セレスト・D・アウスレーゼという。

その隣、銀髪の赤ん坊を抱いて走る薄緑の髪の女性は。

名を、ユーリィ・E・シュバルツ。

彼女は、この作戦において、最も重要な役目を負っていた。

走りに走り、分岐が見えた。

「ユーリィ、後は手筈通りに…!」

「承知しました、セレスト。…空の女神の加護を…!」

セレスト達が右に。

ユーリィが左に折れて走る。

そのままセレスト達はリベル=アークから脱出した。

「…正念場、だな。」

ユーリィはリベル=アーク内を複雑に走り回り、わざと《環》に追跡される。

「さあ、こっちだ!」

この赤ん坊は、《環》にとって重要な子だった。

この赤ん坊は、《環》のシステムの一部を管理させられていた。

まだ目を醒ましたことのない赤ん坊。

それでも、《環》と一緒に犠牲にさせるわけにはいかなかった。

生きている者を、犠牲にはしたくなかった。

彼女は、ユーリィ達の怠惰な生活を支えてくれていたのだから。

だから、尚更だ。

死なせるわけにはいかない。

死なせたく、ない。

だからセレストは自身のコピーまで作ってあそこにとどまらせたのだ。

充分走り回ったところで、セレスト達とは別方向へと脱出した。

《環の守護者》が追いかけてくるが、もうどうしようもない。

追い詰められて、動けなくて。

「…ごめんね、セレスト。私…生き残れないかもしれない…」

目の前には、崖。

もう逃げようがない…

「ごめんね、リィサ…」

せめて。

せめて、この子だけでも。

ここにいれば死ぬだけ。

どうすれば、生き残れるか?

…じゃあ、私が取るべき行動は!

「あ…ああああああっ!」

恐怖を振り払い、ユーリィは跳んだ。

赤ん坊を庇い、落ちてゆく。

これが、最善の選択だと信じて。

 

ユーリィが最期に見たものは、銀髪の赤ん坊を連れ去る美しい女性の姿だった。

 




短いです。

そして、これがすべての答え。

では、また。

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