雪の軌跡   作:玻璃

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SCでは徹底的にエステルを避けています。
一緒に行く意味がないから。
エステルが育たない?
ル=ロックル以降にカシウスブートキャンプでちょっとは鍛えられています。
あくまでも、ちょっとですけど。

では、どうぞ。


任務のために

艦内へと戻り、単独行動すべくユリアに話しかける。

「無事だったかね、アルシェム君。」

「御陰様でね。単独行動は許してくれるのかな?」

「許す訳なかろう。誰かがついて行くならば兎も角、単独行動だけは許さん。」

敵意をむき出しにしてくるユリア。

勘弁してくれ。

「だよねー…」

まあ、するんだけど。

「んじゃ、アタシ達が付いていくよ。」

リオが入ってくる。

ナイスタイミング。

「へっ…」

「り、リオさん!?」

「…アタシ達がついて行けば良いでしょ?幸い、アタシ達も私用があってね。あの塔に登らなくちゃならないんだ。」

私用というか、公用というか。

「いや、そうじゃなくて…どうやってここに!?」

「企業秘密だよん。」

ま、物理的に有り得ないんだと思われてるんだろうなあ。

「おいおい、そりゃあないだろう。」

だから、ヒーナが黙らせる。

「お黙りなさいな、《不動》風情が。貴男がきちんとしていないから《変態狼》がのさばることになったのですよ?分を弁えなさいな。」

「む…」

「それに、貴男が動けなかったから助からなかった子供達が一体何人いたとお思い?」

「それはっ…!」

ヒートアップしそうだったので、水を差そうとしたところで…

「あー、シスター・ヒーナ。程々にせいや?」

ケビンが、水を差してくれた。

「あら失礼致しましたわ、ネギ神父。」

「誰がネギ神父やねん!?マジでいい加減にせいや!?」

「ああ、私としたことが、うっかりしていましたわこのヘタレが。」

よく言ったヒーナ。

「ぐはっ…」

「な、何この緩い空気…」

「ふ、ふええ~…」

「言い返したいのなら、良いところを見せていただきたいですわね、ファーザー・ケビン?」

言葉の裏に、意味を含ませて。

失敗だけは、出来ないのだと。

「…分かったわ。ああ、そうそう。ヨシュア君。」

「な、何ですか?」

「ちょっと漢同士の話があるんやけど…30分くらいくれへん?」

「…良いですよ。受けて立ちましょう。」

おい、シェラザード。

目を輝かすのは止めろ。

「それでこそ漢やで。てなわけで部屋貸してくれはりませんか、シュバルツ中尉?」

「あ、ああ…くれぐれもおかしな事に使わないで貰えると助かるが…」

「…ユリアさん?一体ナニを想像したんですか?」

クローディア、お前もだ。

「あ、いや、これはその…」

「あら、イケナイ妄想もするのね、中尉さんって♪」

「シェラザード…言わぬが花、だ…」

空気さんも分かったのなら黙っていて欲しいものだ。

「ウホッ、イイおと…」

「黙れ。」

「ハイ…」

と、一息ついたところで。

「…さーて、と。んじゃ、露払い行きますかね。」

「アル?どこ行く気なの?」

笑顔で言うなよ、エステル。

流石に怖いから。

「お花を摘みに。」

「あら、では私もお花を摘みに参りますわ。」

「アタシもー。」

アルシェムの騎士達が、動く。

「ハッ、これが所謂女子の連れ…」

「良いから黙れ。」

「ハイ…」

「じゃ、行ってきまーす(笑)」

アルセイユからメルカバへと移動する。

ちゃんと見えない位置に止めていたようだ。

ステルスしてるけども。

「…よし。」

「え、お花を摘みに行くんじゃないの?」

んなわけあるか。

「ボケねーでよ…さて、作戦だけど。まずはメル。」

「後方待機という名のお留守番ですよね?」

お留守番、というよりもまだまだ切り札だから姿を見せるなってこと。

「緊急時には単独での発着を認めるよ。で、リオ。」

「グラハム卿の後方支援、だよね。おも…《白面》を狩るための。」

もう《面白》でも良いよ。

ただの滑稽な人だから。

「そ。その後《輝く環》の回収任務に合流ね。それで…ヒーナ。」

「…はい。」

任務の確認の前に。

「聞いとかなくちゃいけないことがあってね。」

「何ですか?」

「全てが終わって、もしもあのおバカを連れ戻せたらどうする?」

レオンハルトを連れ戻すことが出来たら、どうするのか。

もしも、ヒーナが…

 

カリン・アストレイが望むのならば、還俗だってさせるつもりだった。

 

だけど。

「勿論、貴女について行くわよ?」

カリンは、当たり前のように返事をした。

「あのおバカを置いて?」

「ええ。私は、エルについて行くって決めたから。」

…そうか。

ならば、やることは1つだけ。

「ふーん…じゃあ、決まりだね。ヒーナ…いや、カリン・アストレイ。《剣帝》を確保し、お持ち帰りしてきて。その際、ヨシュアにバレても構わないからね。」

「え…」

「その後、リベールの楔になって貰うつもりだから。」

リベールに押し付けて、情報の横流しをしてもらう。

カリンとレオンハルトは…

切り札に、なり得る人材だから。

戦力の貸し出しという意味でも。

…《ハーメル》の、生き証人であるという意味でも。

「それは、私がエルのもとを離れるという意味…?」

「結果的にはそうなるかも知れないね。だけど、カリン姉とレオン兄が適任なんだ。」

リベールに借りを作るには、教会の人間でなくてはならない。

リオだろうがメルだろうがリベールとの関係が薄すぎる。

だから、カリンなのだ。

「適任って…アルシェム、アンタ、ヒーナの気持ちも…!」

「誰がわたしの指揮下から離れるって言ったの?ヒーナには、リベールの情勢を把握し続けて貰う。」

「その間に、エルは危険なところに行くんでしょう?」

当たり前だ。

それが、星杯騎士。

「行くよ。それが任務だからね。だけど、だからといってヒーナを巻き込まないわけじゃない。」

だから、そんなに心配しなくても…

だが、その考えはメルに打ち切られた。




ユリアさんとは険悪です。
流石に、仲良くはできませんでした。

では、また。

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