ブラック・ブレット〜赤目の神喰人(ゴッドイーター)〜   作:緋悠梨

9 / 23

いつの間にかお気に入り50件突破してました、ありがとうございます!!

さて、説明回ラストです、多分。



9.霊安室内の講義?

 

 

ーーーside悠梨ーーー

 

 

勾田大学付属病院。そこが室戸先生の拠点らしい。

 

僕達3人は病院についてから、無駄に急な階段を伝って地下へと降りて行った。薄暗くなってきて怖い。

 

そしてとある部屋の前で蓮さんが足を止めた。部屋の名前を見る。

 

「…………れ、霊安室…………」

 

いや、これホントに霊安室なの?ドアに悪魔の顔がついてるよ?どういう趣向なのこれ?霊安室っぽくないよ?

 

「せんせー、いんだろ?入るぞ」

 

しかし、蓮さんが躊躇わずに扉を開けて中へ入ったので、僕もそれに続く。

 

次の瞬間

 

ビュン!!

 

何かが目の前を通り過ぎていった。

 

……人間の腕だった。

 

「「うわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!」」

 

病院内ということも忘れて、蓮さんと悲鳴を上げる。

 

続いて、

 

「ふひひ、いい悲鳴だったよ2人とも」

 

そんな言葉と共に何かが暗がりから現れた!

 

「うわあぁぁぁ今度は髪の長い幽霊!!!」

 

「マジで!?って先生じゃねーか!ビビらせんなよ……」

 

「えっ、なんでわざわざそんなところに……」

 

「私の意図しない所で騙される君たちが悪い」

 

はぁ?という顔をして、室戸先生は僕達の反撃?を一発で封殺して下さいましたチクショー。

 

(ん?2人?)

 

なんで2人?

 

考えていると、延珠ちゃんがちょうど扉をくぐったのが見えた。

 

「延珠ちゃんを驚かすわけにはいかないだろう?入ってこないよう電波を送っておいたのさ」

 

「いやそれメールじゃねぇのか」

 

「そうとも言うね。念力と言うよりは現実的だろう?」

 

「そういう問題でもないんだが」

 

「ちなみにその腕は精密な模型だぞ」

 

「……俺達は模型にビビってたのかよ……」

 

謎のやり取りする2人を尻目に、延珠ちゃんに話しかける。

 

「僕にくらい教えてくれたっていいのに……」

 

「菫からのメールに『悠梨君も脅かしたいから絶対に言うんじゃないぞ』って書いてあったからな」

 

「…………」

 

酷い差別だ。今度は嵌められないよう気をつけないと。

 

っていうかさっきのニヤニヤ笑いはこれを知ってたから?……いやでも、それだと蓮さんが割って入った理由が……うーん、なんなんだろ?

 

「悠梨君?どうかしたかい?」

 

「いえ、少し考え事を」

 

まぁ分からない物を考えても仕方ない。

 

そろそろ本題に入るか。

 

「あの、菫先生。これ、ありがとうございました」

 

「ん?ああ、サングラスはあげるよ。どうせ私には不要なものだ」

 

……ありがたくもらっておこう。

 

「ありがとうございます」

 

「報酬はそれの情報で構わんよ」

 

そう言って、視線を向けてきたのは勿論神機だ。

 

「分かってますって。ちゃんと話しますよ」

 

元々そのつもりできたのだ。話さないで帰るわけはない。

 

拳銃を机にしまい、室戸先生がこちらに向き直る。蓮さんと延珠ちゃんも座った……よし、いいかな。

 

「んじゃ、すこし長くなりますけど、説明させてもらいます。これは『神機』という対アラガミ用の特殊武器です。ポイントとしては……

 

・オラクル細胞で作られた「、人為的に調整されたアラガミ」と言える武器。

・アラガミのオラクル細胞を『喰い破る』(切ってるように見えるが)ことで結合を断ち切る。

・それぞれの神機に組み込まれた『偏食因子』が適合する人にしか扱えない。その他の人が使った場合、最悪死ぬ。

・神機使いには腕輪から偏食因子が投与されていて、腕輪と神機をつなげて初めて神機が使用可能になる。腕輪は一度つけると一生外すことは出来ない。

 

……こんなとこですかね。何か質問はありますか?」

 

「悠梨、そのいろんなパーツは何に使うんだ?」

 

蓮さんが聞いてくる。

 

「これですか?これはですね……」

 

ガキョン、と音がして神機が変形し白銀の『シロガネ銃火極型』が出る。

 

「こうなるんです」

 

「……変形とかありかよ……」

 

「これだけじゃないですよー」

 

ガキョン。今度は緋色の巨大盾、『天龍大甲・極』を出す。

 

「盾もかよ!オールラウンダーじゃねぇか……」

 

「まぁ単独ミッションとかもありますから」

 

接触禁忌種への単独討伐とか……大型アラガミの同時を1人でとか……泣きそうだった。

 

三度ガキョン。真紅の大剣『ガルドラ』を出した。

 

「おおおお……かっこいいのだ!!蓮太郎!!妾も神機ほしいぞ!!」

 

「無理言うな。現代の技術で作れるもんか」

 

うん、まぁ無理だろうねぇ……。

 

次に室戸先生が聞いてくる。

 

「君の体には、そのオラクル細胞が入っているんだね?」

 

「そうですよ。それのおかげで身体能力が劇的にアップしています」

 

「なるほどね……ということは、君達はほとんど延珠ちゃん達と一緒だな」

 

気付かれた。

 

「……ええ、その通りです」

 

当然、延珠ちゃんが反応してくる。

 

「悠梨、どういうことだ!?」

 

「……体内に本来いてはならない物がいる、ってことかな……」

 

ちょっと言い方悪いけど、これが正しい。延珠ちゃんも理解したようで、

 

「じゃ、じゃあ……妾達と同じ境遇とかは……」

 

……来たか。

 

「まぁ、ないと言えば嘘になるね。『バケモノの力を取り込んだ奴ら』みたいなことは。あと、僕達は命をかけてる分、給料とかも抜群に良い、所謂特権階級だったりするから、それを言われることもあるよ」

 

「……悠梨、お前も苦労してんだな……」

 

「あはは……でも、上からみたいになっちゃうけど、守ったことで『ありがとう』って言ってくれる人も沢山いるから。やったことは絶対に無駄じゃない、って思える。これは当たり前の事だけどね」

 

「…………」

 

「僕達ゴッドイーターは、『人類最後の砦』。皆が安心して暮らせる世界を作るためのね。それまでは、何であっても負けられないよ」

 

最後は受け売りだけどね。でもホントにそう思ってる。

 

しばらくして、蓮さんが口を開く。

 

「延珠、今の、どうだ?」

 

「……すごい。妾も、いつか言えるようになるのかな……」

 

一瞬どういう意味か掴みかねる。だが、なんとなく言いたいことは分かった。

 

「延珠ちゃん、無理して理解しようとしても駄目だよ。これは、あくまで僕が戦う理由。延珠ちゃんは、自分が戦う理由を、自分で見つけなきゃいけない」

 

「でもっ……」

 

「……自分で見つけないと、強くなれないよ?」

 

「!?」

 

「戦いだってそうでしょ?最初は誰かの真似でも、段々と自分のスタイルが出来ていって、それがある程度以上にいけば、強くなる。….戦う理由を見つけるのも、それと同じだと、僕は思ってる」

 

僕のスタイルはほぼ剣での斬り込みだったけど。

 

「……うむ、そうか、分かった。もっと探してみる」

 

「うん、それがいいよ」

 

柄にもないことをやった気がするが、まぁいいか。

 

「さて、次も大丈夫かい?」

 

「……はい、大丈夫です」

 

室戸先生がそう言ってきた。心構えはしておく。

 

「『子供たち』は体内浸食率が50%を越えるとガストレア化する。……さて悠梨君、君は……」

 

「確率は、ありますよ」

 

あえて室戸先生の言葉を遮った。はっきりと言葉にされるのは、なんか……嫌だった。

 

ジュリウスのことから、立ち直ってなんかいない。これはそうそう治らなそうだ。

 

「体内浸食率とかはありませんが、偏食因子を抑制する薬は毎日投与されてました。投与がしばらくなかったり、腕輪が破壊されたりした場合……神機使いは、アラガミ化します」

 

「……悠梨君、あえて聞こう。……君は、どうなんだい?」

 

室戸先生は、これも気付くか。目を逸らしてた事実なんだけどねぇ。

 

「・・・・正直、いつアラガミ化するか分かりません。転生特典とかでそういう危険が無くなってないと、って感じですね」

 

室戸先生は「ふむ……」と言って考え込んでしまった。蓮さんと延珠ちゃんは何も言えないからか沈黙している。

 

……最後は明るく言ったつもりだったけど……やばい、空気が暗い!!どうしよう!!

 

(………!! そうだ!!まだあれが!!)

 

「じゃ、じゃあここでとっておきを!!」

 

「いや、これ以上驚く要素ないと思うんだが……」

 

(蓮さん、それフラグですよー)

 

神機を刀身に戻し、半身で構えて態勢を低くし、引いた右手で神機をまっすぐ構える。

 

と、

 

神機の柄から、黒い『顎』が現れた。

 

「「「(え)!?」」」

 

「ね?驚いたでしょ?」

 

そのまま僕が一歩前に出ると同時に、『顎』は噛みつくような動きをしてまた格納された。

 

「今のは『捕食形態(プレデターフォーム)』と言って、文字通り、アラガミを『喰いちぎり』ます。そうすることで、『バーストモード』になって一定時間身体能力がUPします」

 

「まだ能力上がるのかよ……反則級だな」

 

「いやでも、こっちの世界で使う訳にもいかないでしょう?ガストレア捕食したらどうなるやらで」

 

「まぁ確かにそうか」

 

「使わないに越したことはなさそうだね」

 

「分かってますよ」

 

うん、やる気は起こすまい。

 

「だいたいこんなところですかね……」

 

「まだあるなら、俺はパスするぞ。頭がパンクしそうだ」

 

「おや、君の貧相な記憶力ではもう限界かい?」

 

「貧相で悪かったな!」

 

2人とも軽口を叩いている感じだ。少しでも空気を軽くしようとしてくれているのだろう。

 

「でもいいのかね?まだ悠梨君に何かあったとして、それを聞かなくても」

 

「ん?別にいいだろ。そんなん聞かなくても悠梨は悠梨だしな」

 

「蓮さん……」

 

……ちょっと感動した。

 

「蓮太郎君がクサすぎる。明日は槍でも降るんじゃないかい?」

 

「そんなにかよ!!」

 

台無しだー!!!

 

ーーーーーー

 

「それで悠梨君、君は今後どうするんだい?」

 

見事にシリアスをぶっ壊して下さった室戸先生が聞いてきた。

 

「それなんですけど……蓮さんおn」

 

「断る」

 

「まだ何も言ってないですよ!?」

 

いくらなんでも早すぎる!!

 

「どうせガストレア討伐に加えてくれ、だろ?わざわざ危険に足を踏み入れる必要はねぇよ」

 

「完全に読まれてた!!」

 

地味に悔しい!でも引き下がる訳にはいかないんだ……!!

 

「いやでも、僕が蓮さん達に出来ることって言ったらそれくらいで……」

 

「だから返す必要はねぇ、って言ってんだろ?」

 

「ぼ、僕の生活費の為に……」

 

「バイトなりなんなりもあるぞ」

 

「イライラが溜まってるからガストレアぶっ飛ばしたいです」

 

「それが本音か。危ないからマジでやめとけアホ」

 

……蓮さん1人に完全論破された。どうしよう……。

 

「……バイトするって言っても、何をしたら……」

 

「探すのは勿論手伝ってやるからよ」

 

「……でも実際、今の僕には、戦う以外の生き方が分からないんですよ……」

 

「……!!」

 

あれ、蓮さんが動揺してる。苦し紛れの一言だったけど、これで畳み掛けるか……!

 

「戦うことが、生きる証、までは言わないですけどね。これが、今までで1番向いてた生き方だったんです。勿論それだけじゃないですけどね……」

 

…………さて、どうだ?

 

「っああもう分かったよ!次出たら連れてく!!それでいいか!?」

 

「蓮さんありがとう!!」

 

勝った。いぇーい。

 

「……甘いねぇ、蓮太郎君」

 

室戸先生がなんか呟いたけど無視だ無視♪

 

あ、でも僕はバトルジャンキーじゃないからね!そこんとこよろしく!!

 

よし、次の出現が楽しみだなぁー……

 

 

紅く燃えるーその眼差しにー♪

 

 

…………うん、すっごいデジャヴ。しかも昨日あったね。やっぱり蓮さんの携帯の音だ。電話にでる。

 

「……木更さんか?どうし……マジかよ、タイミングがいいやら悪いやら……。……ああいや、こっちの話だ。すぐ向かう」

 

お、これは……

 

「悠梨、早速ガストレアが出やがった。行くんだろ?」

 

キターーーーーー!!!!

 

「勿論です!!よし延珠ちゃん、行こう!!」

 

「分かったのだ!!」

 

「んじゃ先生行って来ます!」

 

「元気だねぇ……。気をつけて行くんだよ」

 

室戸先生に見送られながら、延珠ちゃんと走って行く。サングラスもちゃんとつけた。

 

……後ろから蓮さんが「お前ら場所聞いてないだろぉぉぉ!!」と走ってくるのもいとをかし。冗談です。

 

あ、現場はそんな遠くなかったです。





悠梨は基本天然ですねw

感想、指摘等ありましたらよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。