ブラック・ブレット〜赤目の神喰人(ゴッドイーター)〜 作:緋悠梨
……すいません今まで「TS」のタグ入れてて……。
これ「T(TRANS)S(SEXAL)」の略だったんですねぇ……。
「T(転)S(生)」だと思ってました俺の馬鹿……っ!!!
消しました。知った瞬間に。もうほんと、それ求めてこの作品来た人いたらホント申し訳ないことをしました……。まじですいません(・_・;)
……最初に感じたのはわずかな振動。だが、目をちゃんと開く気力はない。誰かが俺に向かって怒鳴っているようだが、それもまともに耳に入ってこない。
しばらくすると振動が止まり、僅かに開いた目の隙間から強い光が差し込んで来た。ここはどこだろう? そう思い、あたりを見渡そうと頑張って目を開きながら首を動かし、
「――――――っ!!!!!????」
そこにあった鏡に映る自分の姿を見て、声なき悲鳴を上げた。
切り落とされた右手右足、そして抉られた左目からとめどなく血を流す己の姿。思い出したかのように全身を激痛が苛んでくる。
ふと、頭上に誰かの気配。眼球だけを動かして見やると、そこには緑色の手術衣を着た女医が立っていた。その女医は右手に持った紙を眼前に持ってきて言った。
「はじめまして、里見蓮太郎君。そしてもうすぐさようなら。今私が右手に持っているものは死亡診断書だ。これに私が書き込めばその時点で君の存在は抹消され、すぐに燃やされるだろう。だが」
そこで女医は一度言葉を切り、今度は左手に持った紙を突き付けてくる。
「こちらの紙は、君の生を取り戻すのが可能な紙だ。勿論アフターケアも私がしよう。ただ、こちらを選ぶと、とんでもなく辛い道が待っているだろう。もしかしたらここで死んだ方がよかったと、君は思うかもしれない。それでも生き延びることは出来る。このどちらを選ぶのかは君の自由だ。左手で指差すだけで構わない」
さぁ、と女医は続けた。
「どちらを選ぶ? 楽に死ぬか、辛くとも生きるか。選ぶんだ、里見蓮太郎君」
残っていた左手をわずかに持ち上げる。それだけであり得ないほどの痛みが襲ってきた。
(このまま死ねば、楽になれる……ごめん、父さん母さん、先に……)
手が、女医の右手の方に動きかけ、
『死にたくなければ、生きろ、蓮太郎』
……気づけば、自分の手は女医の左手にある紙を指していた。
いい子だ、という女医の言葉を最後に意識が途切れた。
―――side蓮太郎―――
「……あら、起きたのね」
「……ぃ…さぁ、さ……?」
声が出ない? いや、喉がカラカラに渇いて掠れているだけか。
「あ、水出すわね」
そんな俺の気持ちを汲み取ったか、木更さんが水を手渡し、ついでにベッドを起こしてくれた。手渡された水をゆっくり飲んで、人心地つく。
「……悪い木更さん、ありがとな」
「お礼なら延珠ちゃんと悠梨君に言いなさい。君をここまで連れてきたのは2人なんだから」
「ん?……!! そうか、俺は影胤と……」
思い……出した……!!
俺は未踏査領域に感染源ガストレアを倒しに生き、延珠が撃破したところまでは良かったものの、そこで影胤と小比奈が現れ、俺をボコボコにして川に落とし、
「『七星の遺産』を……あいつら……!!」
「まぁ待ちなさい。七星の遺産関係については後で話してあげる。とりあえず悠梨君を呼ぶから。その間に延珠ちゃんと話していたら?」
「は? 延珠?」
「……あ、悠梨君? 里見君起きたわよ……」
(ガン無視かよ……)
木更さんが答えてくれそうにないので、仕方なく首だけを巡らせて周囲を見渡すも、特に延珠は見当たらない。むしろ真っ白な部屋が起き抜けの目には眩しいくらいだ……
もぞっ
「……は?」
……いる。何かが。布団の中に。間違いなくいる。
俺は今、上半身を起こされて腰から下だけを布団で覆っているわけだが……嫌な予感しかしない。
掛け布団を勢いよくめくり上げる。……いた。延珠が俺の左足に抱き付いて眠っていた。
「ったく……おい、起きろ、延珠」
「ぬぅ?……ってあーーー!!!!」
叫ぶやいなや飛びついてくる延珠。
「ちょ、声でけぇし痛ぇし……!!」
俺に全力で抱き付くのはいいんだが(いやよくないけど)傷にこすれて痛い。
「延珠、頼む……傷に響くから離れてくれ……」
「知るかぁぁぁ!!! 一日以上も目を覚まさなかったのだぞ!? 心配するなという方が無理だ!!」
「……は? そんなに?」
想像以上に時間が経っていたに驚く。焦らないわけがない。
「な、なぁ、木更さん……俺どんぐらい寝てたんだ……?」
「だいたい1日と3時間くらいかしら。あ、悠梨君もすぐ来るって……」
「蓮さん大丈夫ですか!?」
「「「早っ!!!???」」」
木更さんが電話をしまった直後に病室のドアが開いて、悠梨が飛び込んできた。
「何でそんなに早いのよ……?しかもほとんど息切れしていないみたいだし」
「偶然近くにいたのと身体能力全開で来たからじゃないですか?」
「……そうか、ありがとよ」
この際、誰かに見られたんじゃないかとかそういう疑問は置いておこう。
「……ありがとな2人とも、助けてくれて」
「気にしないで下さいよ、僕はもっと助けてもらってるんですし」
「妾ももう大丈夫だ。だが……」
バン!!×2
「いってぇ!?」「痛い!?」
延珠の手刀が俺と悠梨の頭に振り下ろされた。
「2人に罰は与えておくぞ」
「おい、怪我人なんだから手加減しろよ……!!」
「僕なんかしたっけ……?」
「しなければ罰は与えないぞ。それに、罰なのだから痛くしたに決まっている」
「罰って……」
「蓮太郎は妾に一人で逃げさせたこと、悠梨は何も考えず川に飛び込んだこと……その罰だ」
「いや、でもさ……」
「ちょっと待て」
記憶が正しければ、あの日は雨が降っていて川は増水していたはずだ。
「お前、あの川に飛び込んだのか……?」
「蓮さんが流された、って思ったらもうそれしか頭になかったです、はい」
「……アホか。お前も流されたら元も子もないだろうが」
こいつは人の心配はしすぎほどしてるのに、自分のことは全く顧みないんだよなぁ……。
「……いいか? お前が死んだら悲しむ奴がいる、ってこと忘れんなよ? いいな?」
「……それ、奏にも言われましたよ……」
そう言って苦笑いする悠梨。
「僕だって自分のことを考えてないわけじゃないですよ? ただ人が傷つく、いなくなるよりは自分が傷ついたりした方がマシだと思ってるだけで……」
「ドアホ」
悠梨の額に軽くデコピンをお見舞いする。
「痛っ!? 何するんですかっ?」
「いいか? もっと自分のことも考えろ。お前は自己犠牲の気持ちが強すぎる。何がお前をそこまで急き立ててるのか分からねぇが、そもそも死んだら元も子もねぇよ。もうちっと自分のことも考えろ、いいな?」
「……分かりましたよ、二人に言われちゃ……」
不満がありそうな表情だが、一応納得はしてくれたみたいだ。この際言質が取れれば何でもいい。
「……さて、そろそろいいかしらね? 里見君に情報を話したいのだけれど」
「あ、了解です」
返事をした悠梨がベッドから離れたのを確認して、木更さんが話し始める
「聖天使側が情報をよこしたわ。プロモーター蛭子影胤。彼の出す斥力フィールドは対戦車ライフルの銃弾をはじくらしいわ。イニシエーターは蛭子小比奈。モデル・マンティス、つまりカマキリの因子を持っていて、ある程度以上の刃渡りのある刀剣を持たせたら敵はいないと言われているそうよ。そして、IP序列は元134位」
「134位!?」
道理でむちゃくちゃな強さのはずだ。今更ながら、よく命があったもんだと思う。
「……って元? 今は?」
「問題行動……まぁ殺人が多すぎて、今はライセンスを停止されているらしいわ」
「なんつーやつだ……」
民警同士のいざこざなんてものは日常茶飯事だし、それで殺し合いに発展することだってままあるのが実情だ。その度に民警ライセンスを取り上げていたら、すぐに民警はいなくなってしまう。なので、相当数の犯罪を犯さない限り、ライセンスを取り上げられることはないはずだ。
……だが、現実問題、影胤はライセンスを取り上げられているという。つまり、奴は超一級の危険人物ということだ。
「話を続けるわね。今あの二人は、未踏査領域に逃げて、ステージⅤを召喚する準備に入ってると予想される。そこで、政府主導での大規模な作戦が予定されているの」
「大規模な作戦、ねぇ……それは俺も参加するのか?」
「当たり前じゃない」
「あ、蓮さん、僕も行きますよ」
「……そうか、んじゃまぁ俺が行かないわけにはいかないか」
まぁ使える戦力は一部を残して総投入となったんだろうな。それか悠梨が自分から志願したか。
と、その時。
~~♪
「『亡き王女のパヴァ―ヌ』……」
つまり木更さんの携帯の着信音だ。
「『亡き王女のためのセプテット』じゃないんですか?」
「逆になんだその曲?」
「あら?……何かしらこの電話番号? まぁ一応出てみましょうか……」
「え、ちょ、アンタ……」
「はい、もしもし……」
止めるも無駄に終わった……と思ったら二言三言話すと、すぐに俺に携帯を渡してきた。疑問に思いながら電話を代わる。
『里見さん、私です』
「……人違いじゃねぇの? 俺とアンタは知り合いじゃねぇだろ」
『いいえ、貴方であっています。天童民間警備会社所属の民警、里見蓮太郎さん』
「……で、聖天使様が今更一介の民警に何の用だ?」
延珠と悠梨が驚いた顔でこちらを見てくるので、黙ってろとジェスチャーをして通話に意識を戻す。
『間もなく、蛭子影胤追撃作戦が開始されます。多数の民警が参加する、東京エリア始まって以来の大作戦となります。病み上がりで申し訳ありませんが、私は、貴方にこの作戦に参加してもらいたいと考えています』
「……どうして俺に?」
『それは、貴方が一番分かっているはずです。蛭子影胤を止める力を持つのは、貴方しかいませんから』
「俺だけ、ねぇ……」
馬鹿馬鹿しい、そう俺は吐き捨てた。だいたいこの件自体、お上の隠ぺい体質が招いたものとも言える。必要な対策も打たず、不祥事を隠し続けてきたツケがこのような形になって表れただけだ。その尻拭いをさせられるのが俺達一般人とかどう考えてもおかしい。
「……というわけで俺は参加したくないんだが、そしたらどうなるよ?」
『東京エリアは滅びますね』
「簡単に言うなアンタ。仮にも元首だろうが」
『貴方にはどうでもいいことかもしれませんので』
いや住むとこなくなるから一概にはどうでもいいとも言えないが。
『それよりも、こういった方が確実に効果的ですから』
そして、そのあとに続く言葉は、簡単に予想ができる。
『貴方の友人が、大切な人が東京エリアの道連れとなって死にます』
「……やっぱな。そう来ると思ったよチクショウ」
分かり切ってたことだ。これは依頼の体をとった命令に他ならない。人質を取られているようなものだ。断れるわけがない。
「……いろいろ言ったが、元々参加はするつもりだ。こっちにはカタをつけたい因縁もあるしな」
『……そうですが、ありが―――』
「但し、だ」
聖天使様の言葉を遮る。これだけはちゃんと言っておきたい。
「俺は、自分の大切な仲間を守るために闘わせてもらう。決してアンタ達のためじゃない、ってことだけ覚えておけ」
『それで構いません。あなたが守りたいものを守ることは、すなわち東京エリアを守ることに繋がりますから。……では里見さん、ご武運を―――』
「あ、待て」
『はい? 何ですか?』
よかった、まだ繋がっていた。
「もう一つ、アンタに言っておきたいことがある」
『……聞きましょう、どうぞ言ってください』
「緋上悠梨―――この名前を覚えておけ」
「え、蓮さん? なんで僕の名前を?」
『……何かしらの意味はあるのですよね?』
「ああ、そのうち否が応でも聞く時が来るだろうよ」
『……では、覚えておきましょう。やらなければならないことがあるので、そろそろ失礼いたします』
「え、あのー……?」
そう言って聖天使は電話を切った。スマホを木更さんに返してベッドに身を預ける
「ちょっと里見君。仮にも相手は国家元首よ? 態度どうにかならなかったの?」
「いちいちんなもん気にしてられっかよ。それに、俺は俺の目的のために闘うことに変わりはないんだしな」
「本当にぶれないわね。……勝てるの?」
突然木更さんが不安げな表情になって聞いてくるので、思わず胸が高鳴った。
「勝てるか、じゃないな。……勝たなきゃ駄目なんだよ。そうしないと目的は果たせねぇ」
「死ぬわよ?」
「覚悟してる。何もしないで死ぬよりはよっぽどいい」
「全くもう……頑固なんだから。延珠ちゃんと悠梨君は?」
「妾は蓮太郎が行くなら行くぞ!!」
「僕は最初から行くつもりでしたから……。それになんか名前出されちゃったし、行かないわけにもかないですし。 それに、今更止めても無駄ですよ木更さん?」
決まっていると強く示したいのか、二人とも食い気味に答えた。
「馬鹿ばっかね、死にに行くなんて……」
「分かってても、やらなきゃならないことがある―――」
「……誰も死にませんよ。僕が、絶対に殺させません……!!!!」
……俺の言葉に重なった悠梨のその言葉には、とても強い意志を感じた。
「……ええ、そうね。ごめんなさい、弱気なこと言って。それじゃ、私も気になることがあるし、それを調べてみるわね」
そこで木更さんは表情を引き締め直し、続けた。
「ここからは社長命令です! 蛭子影胤、小比奈ペアを倒し、ステージⅤの召喚を阻止、そして、3人揃って無事に帰って来なさい、以上!!」
「「「了解!!」」」
俺と延珠、悠梨の声がきれいに重なった。
―――side聖天使―――
……里見蓮太郎が参加するということは確定した。これで自分が東京エリアを守るために打てる手は全て打ったはず。そう言い聞かせる、そうでもないとやっていられない。
「失礼いたします。……聖天使様、全員お揃いになられました。そろそろお願いいたします。」
「分かりました。今向かいます」
SPが近づいてきて、JNSC(日本国家安全保障会議)の全メンバーがそろったことを告げた。……あの計器だらけの狭い作戦会議室が、自分の死に場所になるかもしれない。覚悟はとうに決めている。東京エリアとともに、自分は消えるのだ。
椅子から立ち上がり、……ふと、電話の最後に里見蓮太郎が言っていたことが気にかかった。とりあえず自分の秘書官である天童菊之丞に聞いてみることにする。
「菊之丞さん。緋上悠梨、という名前に心当たりはありますか?」
「緋上……? 聞いたこともありませんな。蓮太郎が何か変なことでも?」
「いえ、そういうわけでは」
失礼しました、とだけ告げ、顔を戻す。菊之丞が里見蓮太郎の利用にあまり賛成していないのは知っているから、あまり彼に関係した話をしないほうがいいだろう。
それに、だ。菊之丞が知らないということは、緋上悠梨なる人物は天童の関係者ではないだろうし、政治家でもないはずだ。そして、民警の高位序列者にも、自分の知っている範囲ではそのような名前はなかったはずだ。
(……彼が、緋上悠梨が、何をするというのでしょう……東京エリアを守る力になってくれればよいのですが……)
最近+99行き過ぎて、難易度追加なしじゃ物足りなく感じるんですよねぇ……。
でも+99に出撃するときはショートアサルトタワーに『空断ちの陣』で必ず出撃するから。ショートに飽き始めているというジレンマ←おい。
でも他の刀身でクリアできる気もしないんですよね。決して俺はPS高いわけでもないですし。
やっぱバスターが一番いいですよねぇ……!!!!ラスリベとか知らないけど!!!!
よし、気分切り替えてアンケートのコーナー。
1.タイトルを「ブラック・ブレット~赤眼の神喰人~」にするか否か。
2.どんなタグをつければいいか。
この二つについて意見ありましたら、感想かメッセにてお送りください。参考にさせていただきます。
通常の感想、指摘等もありましたらよろしくお願いいたします。