ブラック・ブレット〜赤目の神喰人(ゴッドイーター)〜 作:緋悠梨
えっととりあえず現状。
大学は無事受かりました。S修大学にいます。んで町田で一人暮らししてます。
アニメーション愛好会と文化祭実行委員会に入りました。
伝えられるのはこういうことです。
後書きにて、重要なことをお伝えいたしますが、GE2RBのネタバレを含む内容になるため、ネタバレが嫌だという方はぜひクリアしてから後書きの方をお読みになって下されればなと思います。
ーーーside悠梨ーーー
……とりあえず事務所に戻ってみたはいいものの……
「……蓮さんも延珠ちゃんもいない……」
見事にもぬけの殻だった。ふぅ、とため息を一つつくと、喉がひりついた。教室を飛び出してからここまでずっと走ってきたのだから当たり前か。台所に入って水を一口飲むついでに、汗だくの顔を洗う。少しだけさっぱりした。
「……とりあえず蓮さんに連絡してみようかな……」
闇雲に蓮さんや延珠ちゃんを探しに飛び出すのはまずいだろう。少し冷静になった今ならそう考えられる。事務所のソファーに座ってポケットからスマホを取り出し、蓮さんへ電話をかける。
pr…
『延珠か!?』
「っ……蓮さん、僕です」
ワンコールもしないうちに電話が繋がった。スマホを目の前においてあったんだろうか。
『ああ、悠梨か……』
「ごめんなさい、延珠ちゃんじゃなくて」
『いや、いい』
(……声がすごい焦ってるな……)
やっぱり延珠ちゃんは家にも戻ってない様だ。
「蓮さん、一つだけ。事務所にも延珠ちゃんはいないんで、こっちは来るのは無駄足です」
『……そうか、分かった』
いい情報とは言えないけど、少しは探すのが楽になればなぁ……という気持ちでなけなしの情報を伝える。
『……それで、そっちはどうなった?』
そりゃ気になるよなぁ……誤魔化すのは無駄だろう。
「……まぁとりあえず未織さんに助けられて逃げ帰り、ってとこですね」
『未織が来たのか……。……ホントに、いてやれなくて悪い』
「いえ。大丈夫ですよ。それに奏や新堂君を筆頭に分かってくれる人もいましたしね」
『……新堂って誰だ?』
「ちゃんとクラスメイトの名前覚えときましょうよ……」
蓮さんのここは本当に心配なんだけど……とか考えられるくらいには落ち着いてきた。
「それで、延珠ちゃんは……」
途端、蓮さんの声が少し低くなる。
『ああ、分かってる。……とりあえず明日の朝までは延珠が帰ってくるかもしれないから家にいるつもりだ。来なかったら39区まで足を伸ばしてみる』
「39区?」
『……まぁ、一応あいつの故郷だ』
「なるほど。ならいるかもしれないってことですね」
『可能性しかないけどな』
「……きっと、いますよ」
『……ああ、絶対連れ帰ってくる』
「お願いしますね。僕も今日は事務所にずっといるんで」
『夜にはちゃんと帰れよ』
「…………勿論ですよ」
『なんだ今の間。帰れよ』
「分かりましたよ……」
まぁ、これくらいはさせてもらってもバチは当たらないだろう。
「じゃあまた」
『おう……ありがとな』
「いえいえ。お礼を言うのはこっちですよ。それでは」
そう告げて電話を切る。
「ふう......」
電話を切ると、思わずため息が漏れた。蓮さんと電話していた時は大丈夫そうだと思ったが、思ったほど精神は回復していないみたいだ
(……少し、寝ようかな……)
このままじゃ夜までもたないかもしれない。そう僕は判断し、ソファで仮眠をとることにした
……起きたときに、少しでも状況が好転していることを願いながら。
――――――
バンッ!!
「――――悠梨っ!!!」
「うわぅ!?」
唐突に僕を呼ぶ声がして目が覚めた。声の主は……
「……奏?」
奏が事務所の入り口に、息を切らせて立っていた。
「どうしたの、そんなに焦っ……」
「悠梨っ!!」
そして突然、僕に抱き付いてきた。
「え、ちょ、奏!?」
「ごめん、ごめんね悠梨……ボク、何にも出来なかった…....!!」
「何にも出来なかった……って、ああ……」
どうやらさっきのことを言っているみたいだ。……でも、謝られてもなぁ……。
「……別に、奏が悪いことはないでしょ?」
僕は本気でこう言ったけど、奏には違ったらしく、
「あるよ!!たくさん!!」
と反論されてしまった。
「えーそうかな……?」
「そうだよ!例えば……」
「あの、奏、ちょっとストップ」
「何!?」
話の腰を折る形になってしまったが、無理やり言葉を介入させる。……正直、これ以上は耐えられない。
「……そろそろ離れてもらってもいいかなぁ……?」
「…………あ」
僕に勢いで抱き付いたままだ、というのを今の今まで失念していたといったような様子で奏が顔を少し赤くしつつ離れる。……まぁ僕も少し顔が赤くなっているのは否定しないけどさ......。
コホンと一回咳払いしてから僕は言葉を紡ぐ。
「でね、奏。僕はホントに奏が何も悪いとは思ってないから。実際隠してたのは僕が悪いんだしね」
「それだったらボクだって共犯だよ!?」
「共犯、ねぇ......」
すぐに言い返してきた奏に、思わず考え込んでしまう。何を言ったらいいものか......。
(まぁ何が一番悪いって、僕がこの世界に来てしまったことだけろうけどね)
そんな大元を考えても仕方ないわけで。
「僕はホントに大丈夫だからさ」
「……ホントに?」
不安の色を瞳に宿してこちらを見つめてくる奏。いつものさばさばした奏らしくなくて、なんか変な気分になる。
「大丈夫だって。明日にはマンションに戻るからさ」
「……明日? 今日は?」
「延珠ちゃんが帰ってくるかもしれないから待ってる、ってさっき蓮さんに言ったしね、このまま事務所にいるもりだよ」
その発言を聞いた途端、奏が盛大な溜息をついた。
「もう……ここまできてもまだ人の心配を......」
「いやだって僕なんてどうでもいいじゃん?」
「良くないよ!!」
またすぐに切り返されてしまった。
「いい!?悠梨は自分のことどうでもいいかもしれないけど、ほかの人は心配してるんだからね!?それを忘れないように!!分かった!?」
「だから僕h」
「分・か・っ・た・ね!?」
「……はい」
勢いに押されて頷いてしまった。
「明日の夜には部屋に戻るんだね?」
「う、うん、そのつもり」
「……ちゃんと戻ってきてね?」
「……それは演技?」
「あ、ばれた?」
一瞬で不安の色を消し、ペロっと舌をだす奏。何時の間にか通常運転に戻っていた。
「それくらい分かるってば......」
「そっかそっか。んじゃちゃんと明日もどってくること。あと学校の方は任せてよ?」
「分かったよ」
「了解、任された」
んじゃまたねーと言って奏は事務所を出ていった。あれくらいの軽さのほうが奏らしくてやっぱいいと思う。
「ってなんか最後、学校がなんとか言ってたっけ......?」
……どちらにしろ行けないしし、まぁいいか。そう思いつつソファに腰を下ろした。
…………そして、二日間、延珠ちゃんは事務所には帰ってこなかった。
――――――
約束通り、夜には一度マンションに戻った。
今の僕たちの状況と裏腹に、煌々と灯りの灯る廊下を抜け、二日ぶりに帰ってきた803号室……我が家の鍵を開ける。
少しは事務所の冷蔵庫にあったものを食べていたが、それだけで足りはしないと思うのだが、如何せん食欲があまりわかない。夕飯も食べなくていいか、と思いながら部屋の電気をつけ……そして机の上に置いてあるものを確認し、一瞬考えたのちにスマホを取り出し、とある番号をコール。
Prrrrr……
『あ、戻ってきたの悠梨?』
「約束通り戻ってきたよ、奏。……そして、机の上にあるあれは?」
『悠梨の夕飯に決まってるよ?』
「それは見ればわかるけどさ。どうやって置きに来たのかなと」
『もちろん合鍵』
「完全に不法侵入だ!?」
いくらおいしそうな夕飯とはいえ、合鍵を持たれているというショックで魅力が半減しそうだ。
「捨てて、と言っても無駄なんだろうねぇ......」
『その気はないよ!!』
「リボ○ズの真似もいいから......」
ちなみになぜ奏が置いて行ったか分かったかというと、食器に見覚えがありまくりだったからである。
「お皿は明日にでも返すから」
『分かったよー』
「……ありがとね、奏」
『どういたしましてだよ』
そこで電話は終わった。それとやっぱり奏の料理はおいしかった。
さらにその翌日。
久々に朝日を浴びながら起きれた。時刻を確認するともう8時半……
「……あ、メールだ、って蓮さん!?」
急いでメールを開く。
To悠梨
さっき延珠の単位んから連絡があて、延珠は今日学校にきてるといっていt。
だから、もう探さんくて大丈夫だ。
「……どんだけ急いで打ったんですか蓮さん」
誤字だらけだが、言いたいことは分かった。とりあえず今日はもう部屋にいることにしよう。下手に出て知り合いにばったり会うのもまずいしね。
とりあえず部屋にほこりが少したまっていたから、それをきれいにしてから奏に皿を返すことにする。
掃除をしている間にヘリが上空を二回ほど通ったようで、ローターの音が聞こえてきた。あれに乗って作戦ポイントまで行ってたなぁと思わず考える。
(いや、それよりも早めに皿を返そう)
さくっと掃除を終わらたあと、昨日料理が盛り付けられていた皿を持って、奏の部屋のインターホンを鳴らす。すぐにランちゃんが出てきてくれた。
「お久しぶりです悠梨さん。あの、その、今回は......」
「あー、まぁ大丈夫だからね?気にしないで?」
「あ、はい……奏呼んできます?」
「あ、お願いしていいかな?」
分かりましたと言ってランちゃんが奥に入っていった。
Wanna know why Wanna know your fantasy〜♪
「お?」
一応ポケットに突っこんでおいたスマホから着メロが流れだした。
「どうしました木更さん?」
珍しく木更さんからの着信だった。
『悠梨君ごめんね!!さっき例の感染源ガストレアが32区で発見されたの。そこで学費はたいてヘリを借りて里見君と延珠ちゃんをそこまで運んでもらうように頼んだのはいいのだけれでも、悠梨君を連れていくよう頼むのを忘れちゃって……』
Oh......。
「……えーと、僕も行った方がいいんですね?」
『蛭子影胤の件もあるし、人が多い方が何かといいとは思うのだけれど……いけそうかしら?』
「まぁどうにかして行きますよー」
『ありがとう悠梨君!ホントにごめんね……!!』
最後まで聞かず電話をすぐに切り、部屋に神機を取りに行こう……としたところで、後ろから肩を掴まれた。
「まぁ悠梨、ボクの車に乗ってきなよ?」
「……奏の車?」
「…………よかった、奏が運転するんじゃなくて……」
「いやまだ18歳になってないからねボクも?」
というわけで僕と奏、そしてその他二名(運転手の人と助手席の人、どちらもAEの戦闘員)が車に乗って32区に向かっていた。ちょうどAEのほうにも感染源ガストレアが見つかったという報告が入ったらしく、奏の便宜でちょうど出撃する車の一台にのせてもらえた。
「まぁ戦場についたらライバルということはお忘れなく」
「もちろん分かってる。こっちだって負けないよ」
いたずらっぽく笑う奏に負けじと言い返す。まぁ蓮さんが先行してるし、そうそう負けはしないだろう。
「……奏様、つきました」
「あ、すいませんあ、ありがとうございました」
一応お礼を言ってから車を降りて、軽く体をほぐす。その脇で戦闘員の人たちは着々と戦闘準備を整えていく。一方ラフな格好のまま降りてきた奏に僕は声をかけた。
「ホントにありがとね奏。ここまで早く来れてホントにありがたいよ」
「ま。友達だもんそれくらいはね。……でもここからはさっき言った通り......」
「わかってる。ライバルだね。お互い気を付けて」
「うん!」
そう言って奏と別れた。
(……さて、蓮さん達はどこにいるかな)
森の中を探すのは骨が折れそう……
ビュン!!
「うわ!?」
目の前を黄色い物体が飛んでいった。いったい何事かと飛んでいった方を見ると……
「あ、延珠ちゃん!!」
「!! 悠梨!?」
よかった、蓮さんが見つけたとは聞いてたけど延珠ちゃんにまた会えて……
どすっ、っと延珠ちゃんが僕に抱き付いてくる、その赤い眼には大粒の涙が……
「――――悠梨っ!! 蓮太郎、蓮太郎がぁっ……!!」
「……え」
一気に進んだ上にひどい内容で大変申し訳ございません......。
ペース配分をもう一度見直します......。
感想、指摘等ありましたらよろしくお願いいたします。
ここからネタバレ注意です。嫌だよいう方は回れ右をお願いいたします。
さて、今回GE2RBにおいて、ジュリウスどころかロミオまで生き返るというちょっと予想外な展開になったわけですが......。
この作品では、話が始まったのが6章の終わり、『世界を拓く者』と戦った直後から物語がスタートしているので、ジュリウスとロミオは死んだものとしてとりあえず扱っていこうと思います。じゃないと悠梨の行動概念がぶっ壊されてしまうので......。
そこの点だけ承知してくださるとありがたいです、よろしくお願いいたします。