ブラック・ブレット〜赤目の神喰人(ゴッドイーター)〜 作:緋悠梨
影胤再臨よりはマシですよね?ね?
そして気付いたらお気に入り件数100件突破してました。
本当にありがとうございます!!
『子供たち』が警官に撃たれるシーンは無理でした(^_^;)
ーーーside悠梨ーーー
夜。約束通り事務所からの帰り道にコンビニに寄った。
「コンビニすごいですね!!」
「俺には今更だが……」
蓮さんが僕の右手をちらっと見て、
「買いすぎじゃね?」
「………そんなことないですよ〜……」
「最初の間な。自覚あんなら自重すりゃ良かったものを」
「じゃ、じゃあお布施ってことで!」
「こいつ廃課金厨の匂いすんぞ……!!」
「ハイカキンチュウ……何か分からないですけど、次は買いすぎないよう気をつけます」
そう、僕の右手には膨らんだビニール袋。そこにはクッキーやグミなどお菓子の山が!!
……買い過ぎました。興奮してて気付いたらこんなことに……。
仕方ないじゃん!クッキーとか見ると、誤射姫ことカノンさんの作ってくれたブラストクッキーとか思い出しちゃうんだから!!
(カノンさんのお菓子美味しかったなー……)
それでも1500円は使い過ぎた感がめっちゃするから、さっき言ったとおり自重しよう。
まぁコンビニ、スーパーよりも多いので便利なんだね。
ちなみに延珠ちゃんはもう少し悩むらしく、後で追いつくから大丈夫との旨を言ってたので、置いてきた。延珠ちゃんなら不審者からでも簡単に逃げられるだろうしね。
というわけで、今は車一台分くらいの狭い道で蓮さんと二人っきりー……きゃー怖ーい(棒)
「……今なんかすげー悪寒がしたんだが、何なんだ……?」
「……キ、キノセイジャナイデスカー?」
「なんで棒読m「ほう、気付かれていたとは」……は?」
にゅっ
僕と蓮さんの間から、白い顔が生えてきた。
「「っ!?」」
蓮さんは後ろに、僕は左にとっさに飛ぶ。
……さて、思い出していただきたい。道の狭さを。加えて、ゴッドイーターの脚力で飛ぶ。更に背後にはコンクリートの塀。
…………後は、分かるね?
「げふっ」
背後のコンクリートの塀にぶつかった僕の完成。
そのまま崩れ落ちる。
「…………」
蓮さんと白い顔の人がこっちをガン見しているのがわかる。
(……いや、白い顔じゃなくて仮面かこれ)
今更そこに気づくが、それよりも恥ずかしすぎるのでこちらを見ないで欲しいなーっ……!!
願いが通じたのか、ふたりとも同時に僕から目を話して向き合う。
「か、影胤!?」
「………や、やぁ里見くん。昨日ぶりだね」
どうやら無かったことにされたっぽい。………ん?
「影胤……ってまさか!」
「ほう、情報はすでに出回っているようだね。そうさ、私こそ世界の破滅を目論む者、蛭子影胤。覚えておいてくれたまえ、里見君のイニシエーターよ」
この人があの……という驚きはひとまず置いといて、と。
「……僕イニシエーターじゃないんですけど」
「おや?身長が小さいからてっきりそうかと……」
ブチッ
頭の中で何かが切れる音が聞こえたきがした。
「小さい言うなっ!!」
立ち上がりざまにスチェッキンを腰からドロウ。
「待て悠梨!そいつに銃は」
「待たない!!」
早撃ちで3発撃つ。距離は3m程、まず回避は出来ない筈だ。
だが、
「ヒヒッ、無駄無駄」
「えっ!?」
影胤さんの周囲を青白い燐光……まるでヴァジュラの放電(もしくはGNフィ○ルドでも可)のようなものが影胤さんの周囲に展開して、銃弾をはじき返してしまった。
放電した瞬間にステップで突っ込んで、見事に吹っ飛ばされた記憶が蘇る。これも懐かし……い……なぁ……。
………………。
(嘘だ、こんなので郷愁の念に駆られるとか……っ!!)
出来れば思い出したくない記憶だった。もっと楽しい思い出の方が……いやそれどころじゃない。頭を降ってどうでもいい考えを追い出す。
「驚いたかい?斥力フィールドだよ。この『イマジナリー・ギミック』は、ステージⅣの攻撃を受け止める。そうそう破れはしない」
「『イマジナリー・ギミック』……?」
ステージⅣと言ったら、通常のガストレアの最高到達点。その攻撃を止められるとか……どういう構造してんだこれ。
「貴方、人間なんですか?」
「人間だとも。ただこれを発生させるために内臓のほとんどを取り出してバラニウムの機械に詰め替える手術を行っているがね」
「機械、ですか……?」
「改めて名乗ろう。陸上自衛隊東部方面隊第七八七機械化特殊部隊、『新人類想像計画』蛭子影胤。これが私の元の肩書きさ。肝臓を病で失ってね、その代わりに斥力発生装置を入れてある」
「……『新人類想像計画』……?」
また分からない単語が出てきた。
「蓮さん!!『新人類想像計画』ってなんですか!?」
とりあえず面倒事は蓮さんのところに移動ついでにパスする。
「……訳分からねぇだろ?だから撃つの待てって言ったのによ……それで、だ。『新人類創造計画』っつーのは……」
・ガストレア戦争時に、ガストレアに対抗するために生み出された『機械化兵士計画』の一つ
・体内に機械を埋め込んで、それによって脅威的な攻撃力・防御力を生み出し、ガストレアの殲滅を図った。
・手術成功率の低さ、莫大なコストに加え、自然発生する『呪われた子供達』の能力の高さが判明したため、すぐに廃止された。
「……こんなもんだ。今まで都市伝説と言われてたくらいだがな」
「なるほど……。……詳しいですね?」
「しまった」とでも言いたげな顔をする。
「こ、これくらい裏サイトいきゃすぐ出て来るっての! ……それで影胤、何の用だ?戦うなら場所を変えるぞ」
「まぁ話を聞きたまえ。今日は君に話があってきた。……だがそっちの子にも用ができた」
「僕に、ですか?」
僕なんかになんだろう……?
「とりあえず結論から話そう。……君達、私の仲間にならないかね?」
…………え?
ーーーside蓮太郎ーーー
「……君達、私の仲間にならないかね?」
随分とふざけたことを抜かしやがる。
「おい、何の冗談だ影胤?」
「私は至って本気さ。実は、里見君を一目見た時から何故か気に入ってしまってね。仲間に引き入れられたら思った次第だ」
「あっ、┌(┌ ^o^)┐ホモォ…………痛ッ!?」
余計なことを口走った悠梨の頭を殴っておく。多分影胤にも聞こえていただろうが、知ったことか。
……仮面の下の表情が、少しはドン引きしててくれるといいんだが。
「……里見君、私が言うのもなんだが、その子の頭は大丈夫かね?」
「奇遇だな。俺も常日頃から不安に思ってたところだ」
良かった、ここは影胤が普通の感性を持っていて。
「あはは〜、冗談でs「ちょっと黙ってろ悠梨」せめて最後まで言わせて下さいよ!!」
俺は事実を述べただけなんだが。
再度影胤に意識を集中させる。
「俺がそっちに着くと思うか?」
「さぁ?だが、もし仲間になればすべての面で優遇されることを保証しよう。金も女も、君の思い通りのままになる。聞けば、君は経済的にあまり裕福な暮らしをしてないそうじゃないか」
「悠梨が来てからは少しマシになってるけどな」
そうだ。悠梨が来てから依頼の達成率が前より少しあがってきた。
おかげで生活がわずかに上向いている。
「だが、依然厳しいのは変わりないのだろう?」
「お前に何がわかる、と言いたいところだが……否定出来ねぇな……」
痛いところをついてきやがる。
「だろうと思ったよ……。これは前金だ」
影胤が指を鳴らす。すると、どこからともなくアタッシュケースが現れた。それをこちらに向かって滑らせてくる。目の前で止まって蓋が空いたそれの中には、
「「おおぅ……」」
俺達がこのまま働いてもまずお目にできないくらいの大金が入っていた。
「これでは不満かね?」
「……いや、前金としては十分だ」
「なら……」
「だが、そっちにつく気はねぇ!!」
ケースの蓋を閉めてから影胤に蹴り返す。それと悠梨、蹴った瞬間に小さい声で「あっ」とか言うんじゃねぇ。
「……わざわざ蓋を閉めるとは律儀なことだ」
「金が飛び散ったら勿体無いだろうが」
「貧乏くさいことを言う。そして、君は間違いを犯した。私についてこないことだ」
「悪かったな、儲かってなくてよ。ついでに、最初に出会った時にお前を殺さなかったのが一番の間違いだ」
「ヒヒッ、それは残念だったね。……小比奈」
右首筋に冷たい感触。動く間もなかった。
「動かないで。首、落ちちゃう」
少し視線をさげる。先程の場所に黒い刀身が突きつけられていた。その向きと声のした方向からして、背後に影胤のイニシエーター、蛭子小比奈がいる。少しでも体を動かせば、即座に俺の首は胴体から切り離されるだろう。
(……無理に動かない方がいいか)
「さて、里見君は決裂した。次は君だ」
やっぱりか!
「悠梨、気をつけろよ……」
小声で念を押す。
「分かってますよ。それよりも、なんであの人が僕に用があるかですよ……!」
「ああ、ちゃんと聞き出せよ……!!」
「全部筒抜けになっているが……いいのかい?」
「「…………」」
小声とはなんだったのか。
「まぁ説明はするからいいんだけどね。実は、君をどこかで見た記憶があると思ってたのだが……悠梨君だったか?」
「緋上悠梨ですよ」
「ふむ。じゃあ里見君とお揃いで緋上君でいこう。それで、何故知っているかだが……私は、未踏査領域で君を見ているんだ」
なに?
「……いつですか?僕は貴方を見てませんよ?」
「一ヶ月程前だったかな?そして、君が私を見ていないということは間違いなく事実だ」
「……つまり、えーと?」
「悠梨が混乱するからさっさと話を進めてやれ」
「……実は、先程の発言には誤りがあってね。正しく言うと、私は未踏査領域で悠梨君を『拾った』んだ」
「拾ったぁ!?」
声が裏返った。人間に使う動詞じゃないだろ、おい!!
「え、え!?」
「思い出したまえ。君は未踏査領域で狼型のステージⅢのガストレアと交戦していたろう?」
「…………あ」
思い当たる節があるのか。
「思い出したようだね。それを偶然見ていたのさ。そしてそれに吹っ飛ばされて気絶した悠梨君を拾って、東京エリア内に捨て置いたというわけだ」
「……なるほど。そしてそれを俺が見つけた訳か」
「恐ろしい偶然もあるものだね」
全くもってその通りだ。
もし、影胤がそのまま悠梨を持ち帰っていたら、今頃悠梨は俺達の敵として対峙していたのかもしれない……そうなっていなくて本当に良かった。
そして、もう一つ。
「何故僕を捨てていったんですか?」
そう、問題はそれだ。
捨てて行った事自体は影胤に感謝していいかもしれない。正直、戦う時のスイッチ入った悠梨は敵に回すと厄介だろうからな。
だが、悠梨を捨てていったメリットが分からん。
「こいつアホだからそこでそのまま連れていっても多分洗脳出来たぞ」
「私もそう思っていたところだよ。だがここまでの阿呆な行動見てると、連れてかなくて良かったと思わなくもない」
「2人してアホアホ連呼しないで下さい……」
普段の行いを振り返ってから言え。
「阿呆な事はさておき……緋上君がほっといたらどうなるかを見たくてね」
は?
「ああ、安心したまえ。ストーカーしていたわけではない。今、偶然出会うまで忘れていたぐらいだからね」
「僕なんかどうでもいいんですね……」
orzとなる悠梨。仕方ないので俺が話を進める。
「どうなる、ってのはどういう意味だ?
「この世界に対して、緋上君がどういう反応をするか、ということだね」
……どうも話が見えない。
「ぼかしてないでさっさと説明しやがれ」
「やれやれ、せっかちだね。……悠梨君が気絶してる間に、死んでいないかどうか確認するために目を開かせてもらったんだが……」
「……っ!?」
動揺で体を動かしてしまった。首筋が少し切れたが、それを気にしてる余裕はない。
(目を開かせただと……)
それはつまり……
「悠梨君。君は……赤目だろう?」
……今1番知られてはいけない奴に、悠梨の秘密がバレていた、ということだ。
(……嘘だろおい、勘弁してくれよ)
台場カノン……二重人格、誤射姫といったらこの方。背後からフレンドリーファイアしてくださいます。戦闘にさらなるスリルを求める方は是非チームメンバーに入れることをオススメします。
……いや、カノンさん人気キャラですよー。
感想、指摘等ありましたらよろしくお願いします。
次はいつになるやら……。