男の娘アイドルによるスクールアイドル育成譚   作:片桐 奏斗

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真姫ちゃん視点でお送りします。

キャラ崩壊していたらすみません……。
特に地の文だと崩壊している可能性が……。

うーん、なんだろ。
好きなんだけど、地の文を書く際にはいつもの癖が出てしまう。



……まぁ、気付かなかった振りをしましょう。うん。


そんなこんなで十話をお送りします。どうぞ!


第10曲目 やるったら、やる!

 ――Maki side

 

 

「愛してるばんざーい」

 

 モニター越しに聴こえる彼の声――。

 いつもは普通に聞こえる彼の歌なのだが、今日はいつも通りに聞くことが出来なかった。

 

「え……」

「これって、真姫ちゃんの」

 

 自分が作詞作曲した自作の曲を生放送で歌い始めた蓮、改め『REN』。

 私の曲を音楽室で勝手に聴いていた穂乃果先輩は歌を聴いた瞬間に気付いたみたい。

 視線を私に向け、表情を驚愕に染めていた。

 

「……そうくるわけね。あなたは」

 

 幼い頃に聴かせた後、いっさい聴かせてないはずなのに歌詞が完璧なことや、絶賛アイドル中なこともあり、歌唱力はとても良くて、ずっと聴いててたいぐらい凄かった。

 自分が作った曲を完璧に歌い、我が物のように見ている観客全員を魅了するその姿や歌に感動し。

 

 ――そして、悔しかった。

 

 

 そこで気付いてしまった。

 彼がやろうとしている作戦(こと)、何のために私ら『μ’s』のメンバー全員に見せる必要があったのか。

 

 

「みんな、『REN』の曲を聴きながらでもいいから聞いて」

 

 視線や耳はステージ上で輝きながら歌っていた蓮に持っていかれているけれども、私は告げる。

 彼の目的を――。

 

「おそらくだけど、蓮はきっと……」

『みんなー。急な四曲編成且つアカペラってことになったけど、声援ありがとー!』

「私達を精神的に」

『じゃあ、時間もおしてるってことで、最後の曲にいきます。聴いてください』

 

 ――つい最近、聴いたことのあるイントロがロック調で流れ始める。一応、アレンジはされているけれども、私達にはその曲が流れ始めた際、一同が目を見開いた。私は予想がついていたので、驚かなかったが、穂乃果先輩達にとっては驚きを隠せなかったらしい。

 

「う、うそでしょ」

 

 誰かが口にした台詞。

 そう言ってしまうのも無理はない。たかがスクールアイドルの曲を好んでライブの締めの曲にしてしまう破天荒な人は彼ぐらいしかいない。

 

 私達『μ’s』のスタート地点。

 私と凛と花陽とにこ先輩は当時、『μ’s』に加入していなかったけど、穂乃果先輩達が率先して結成し、ゼロからのスタートを経験した『μ’s』にとって大切な曲。

 

 

 ――START:DASH!!。

 

 

「す、すごい……」

「私達と全然違う」

 

 自分の曲ですらない曲を見て覚え、作曲家や作詞家、振り付け師の誰にも相談することなく既に自分のものだと言わんばかりに披露するダンスパフォーマンス、歌唱力、表情の作り方。全て負けた。

 ダンスはとてもキレがあり、動きの一つ一つが大きく大胆に見せつけていた。かといって、動きが遅れるわけではなく、動くところは動く、止まるところは止まるときっちりと行っていた。

 歌唱力は元々あったので、アイドルになってボイストレーニングを普段から行っているおかげかトップアイドルの名に相応しい歌声だった。

 

 何を取っても、敗北感を感じてしまった私達の表情に影が差していた。

 トップアイドルに私達の曲を歌ってもらえた。そういう見方もあるけど、感動を覚えたのも束の間。尊敬しても、驚愕しても。

 そのあとに残るのは辛い気持ち。

 

 自分達との差はなんなの……。私達が努力した結果っていったい。

 

 私だけでなく、誰もがそう思っているはず。

 特にファーストライブでこの曲を披露した穂乃果先輩達には、測り知れないダメージがあってもおかしくはない。

 あんなにも頑張って練習して、基礎体力も上げてと頑張っていた穂乃果先輩達を嘲笑うかのように簡単に行ってしまうのだから。

 

 

「穂乃果先輩……」

 

 モニターを真剣な眼差しで見つめる先輩らだったけど、その瞳の表面に映っているのは尊敬心、けれども、奥底に秘めているのは悔しいという感情だった。

 手をギュッと握り締め、堪えるようにしている先輩の姿を見て、私は声をかけた。

 

 辛いのならもう見なくてもいいのよ、と。

 

 それでも、彼女は……彼女らは見ることをやめることはなかった。

 自分達に足りないものは何なのか。それは今でもわからないけれども、これを見続けることで何かわかるんじゃないかと皆、心の奥底で思ってしまったから。

 

 

『今までありがとうございましたー! ですが、これで終わるわけではありません。俺に足りないモノを探して戻ってきます。この曲はその想いを込めて歌いました。最後ではなくて、最初なんだという意味を込めて……。『START:DASH』ってね』

 

 本当にそういう意味で歌ったの……?

 

 怪訝そうな表情を浮かべながら心の中で私は問い掛ける。

 声に出していないので、返事が返ってくるわけではないけれども、私は違うと思った。これはやっぱり、私達『μ’s』に対する挑戦状。

 ここで実力の差を知り、折れるか。より一層努力を積み重ねて追い越すか。

 

「……穂乃果先輩。どうします?」

 

 モニターの電源を消し、未だにギュッと握ったこぶしから力を抜かない先輩に尋ねる。

 やめると言ったらにこ先輩は怒るかも知れないけれど、私は怒らない。それはきっと、凛も花陽も、海未先輩もことり先輩もそうだと思う。

 にこ先輩もいつもの元気で自信満々な態度を取らないことから、自分の頑張りを正面から否定された気分に陥っているはず。

 

「どうするって……。やるよ」

「穂乃果っ!?」

「穂乃果ちゃん!?」

 

 幼馴染の決心が固いことを改めて実感したのか、二人の先輩は声をあげた。

 

「海未ちゃんにことりちゃんも大袈裟だよ? 最初から言ってるでしょ。例え、何があっても、やるったらやる! 」

 

 あの宣戦布告同然の動画を見せられても尚、決心は揺らがず努力することを決意する穂乃果先輩の姿を見て、私達も気合を入れなおす。

 

「穂乃果先輩」

「ん? 何かな、真姫ちゃん」

「その気持ちをあの子にぶつけたら振り向いてくれると思うわよ。明日にでも行ってみたら?」

「え、ほんとに!? うーん、そうと決まったらテンション上がってきた。今からでも練習を……」

「やりません」

「えー。海未ちゃん、そこをなんとか」

「いけません。これ以上の練習は体に支障が出ます」

 

 穂乃果先輩と海未先輩の言い合いを微笑ましく見ながら、私は今、遠くにいる幼馴染に向けて呟く。

 

「ほらね。『μ’s』は諦めが悪いわよ。私を含めて、あなたを逃がすつもりなんてないんだから」

 

 

 ――もう、昔のような二の舞は踏まない。

 

 今度は振り解こうとする手をしっかりと握って、絶対に手放さない。もう二度とあなたを一人ぼっちにしないから。

 

 

(ねぇ、蓮。あなたは後悔してるかも知れないけど、私にとっては感謝してるのよ。今の私がいるのは、あなたがその道を選んでくれたから。だからこそ、今度は私があなたを助けてあげるから)

 

 

 

 




果たして、蓮と真姫ちゃんの過去に何があったのか……。

ちなみに詳しく書く予定はございません(笑)



もしかしたら、書くかも知れませんが今のところは予定がないですね。
気になるって方はコメントでお願いしまーす。気が向けば書きますんで(露骨なコメ稼ぎ乙w)

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