目の腐った能力者   作:ウルトラマンイザーク

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雑音開放

 

 

会議が終わった。だが、俺はまったく聞いておらず頭の中で「対白井用言い訳100選」を考えていた。で、今は帰り道。御坂の提案で遊びに行くことになったらしいが俺にはそんなもの関係ない。

白井、初春と分かれて帰ろうと思ったのだが、

 

「どこに行くんですか比企谷さん?」

 

初春が質問してくる。

 

「帰るんだよ。疲れたし」

 

「疲れたって…会議なんてまともに聞いてなかったじゃないですか」

 

なんでわれてるんですかねー。

 

「だってすることないだろ。帰らせろ」

 

「え?比企谷さんも一緒に遊ぶんじゃないんですか?」

 

…なんでそうなる。女の子五人相手に男一人で楽しめるわけないだろ。

 

「いかねぇよ。お前達の空気悪くすんのもアレだしな」

 

「そ、そんな気にしなくていいですよ。私達だって比企谷さんと遊びたいですし。ねぇ白井さん?」

 

は?俺と遊びたい?冗談は顔だけにしとけ。

 

「私は別にどっちでもいいですわ」

 

ほら見ろ。女子の「どっちでもいい」は「どうでもいい」なのだ。「いい人」も同じである。

 

「とにかく、俺のことは気にしないで楽しんで来るといい。春上だって、俺みたいなよくわからん男と一緒にいたくないだろうしな」

 

「そう、ですか…」

 

「じゃあなー」

 

そのまま俺の学生寮に向かう。その帰り道、コンビニに寄ってMAXコーヒーを買った。

 

 

________________________

 

 

 

「たでーまー」

 

帰るなりテキトーな挨拶。すると、白いシスターが上条に噛み付いていた。それを止めようとする神裂。なにこれ…カオス?

 

「あ、はちまん!おかえりなんだよ!」

 

「すいません部屋間違えました」

 

「いやあってる!あってるから待ってくれ!」

 

上条が俺のことを呼ぶ。

 

「なんでお前らいんだよ…」

 

「あ、あぁ。記憶失って色々辛いと思ってさ、今日は俺達と一緒に飯でもどうかなって思って」

 

「……」

 

なんていい奴なんだ…こんなにいい奴を俺は見たことがない。記憶がないからなんとも言えんが…。今度は神裂がスリッパを用意する。

 

「ほら、比企谷。早く上がってください。夕飯の支度は出来ていますよ」

 

「さんきゅ」

 

そのまま上がり、飯を食うがあのインデックスとか言うシスターがヤバイ。この世の九割の食い物を食い荒らすんじゃないかってレベルで食卓の物を口の中に放り込む。

 

「なぁ上条、こいつなんなの?食道が掃除機でできてるの?」

 

「な。この小さな体のどこに栄養が…」

 

「なんか言った?二人とも」

 

「「なんでもないです」」

 

そんな様子を神裂は終始苦笑い。すると、なにかを思い出したように顔の前で手を合わせる。

 

「そういえば今日、花火大会とやらがあるそうですよ。お二人で見に行ってはどうですか?」

 

それはおそらく俺と上条に言ってるのだろう。

 

「あーすまん神裂、俺は補習の宿題が終わってないんだ」

 

「でも、息抜きも大切ですよ?」

 

「……」

 

で、上条は「どうする?」みたいな視線を向けてくる。俺は行きたくないのであえて無表情で視線を合わせない。

 

「分かった。行くよ」

 

え?なんでそうなるの?

 

「や、お前宿題はいいのかよ」

 

「や、でも神裂も息抜きは大事だって言ってたしな」

 

「この学生寮から花火ならみえるんじゃないのか?」

 

「上条さんの部屋からは見えませんことよ…」

 

「や、でもあっち人混みが…」

 

「比企谷、行って来なさい」

 

神裂に言われてしまっては行くしない。下手したら俺の部屋から追い出されかねない。俺の部屋なのに。

 

「じゃ、行くか」

 

 

________________________

 

 

 

インデックスもついて来て三人で祭りに向かう。途中でインデックスに奢らされながらも進み、なんとか人のいなさそうで尚且つ花火が見えそうな所に到着。

 

「あとは花火を待つだけか」

 

「とうまとうま、花火ってどんなのなの?」

 

「見てれば分かるよ。ほらもうすぐ始まるから」

 

すると、キャーキャーはしゃぐ頭の悪そうな声が数名分ほど聞こえた。んだようぜーな風紀委員の権力使って取り締まってやろうかと思ったら御坂とその愉快な仲間達だった。御坂は俺と上条を見つけるとゲッて顔をする。そんなゴキブリを見つけたような反応しなくてもいいじゃないですか…。

 

「あ、比企谷さん。こんばんは〜」

 

本当に一発目で挨拶してくれるとか初春がいれば世界は平和になるんじゃないか?

 

「こんばんはなの〜」

 

それに続いて春上も挨拶してくれる。

 

「な、なんであんたがこんな所にいんのよ!」

 

御坂が俺の右隣、つまり上条を指差して言った。なんだ、知り合いか?

 

「おービリビリ。なにしてんだこんな所で」

 

「わ、私は花火見に来ただけで…」

 

「ならおとなしくしてようぜ。こんな所で暴れるなよ」

 

それだけ言って上条は花火が上がるであろう空を見上げる。

 

「お前、御坂と知り合いだったのか」

 

「そっちこそ意外だな。比企谷とビリビリが知り合いなんてさ」

 

「だよな。俺も自分の知り合いに女子がいることが意外だ」

 

「は?なんで?」

 

わかんねぇのかこいつは…。なんて話してる間に花火が始まった。俺の隣にはインデックスを挟んで上条がいる。いつの間にか佐天が反対側にいた。

ドォンッ!とかめはめ波みたいな音が響き、思わず鼓動が早くなる。隣の佐天と初春が「たまやー」とか叫んでいた。てかたまやってどういう意味なんだろうね。

そして、花火が終わる。

 

「すごかったね花火!」

 

「また来年もみたいですねー」

 

なんて横で聞こえる。まぁ、確かにすごかった、のかな?上条もインデックスも満足そうに微笑んでる。

ただ、一つ異質に見えたのは楽しそうに話す初春と佐天を眺める春上だった。それに気付いた初春が春上を見る。

 

「どうしたんですか?春上さん」

 

「思い出してたの。あのね、昔わたしにも、初春さんと佐天さんみたいな…」

 

そこで言葉が途切れ、春上は俯きながら去っていった。

 

「ど、どこに行くんですか?」

 

それを追う初春。その瞬間だった、地震が起きた。しかもでかい。なに、白ひげでもいんの?

 

「じ、地震!?」

 

「しかも大きいですわ!」

 

その瞬間、俺と佐天の間で亀裂が入る。そして、下に落ちる御坂、白井、佐天。上条はインデックスをかばって下がる。俺は崩れる瓦礫を踏み台にして御坂、白井、佐天を抱えると、そしてまた瓦礫を踏み台に駆け上がった。が、最後の一つの瓦礫だけ砕けてしまった。

 

「いっ…」

 

とりあえず、三人を放り投げてなんとか元の場所に返す。

 

「っ痛っ!」

 

「ひ、比企谷さん!?」

 

まぁあれだ。じゃあな。と、思ったらどっかで見たことあるツンツン頭が俺に向かって飛び込んで来る。

 

「ばっ…上条!」

 

「比企谷ぁっ!」

 

そのまま俺と上条は仲良く下に落下した。

 

 


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