あの後、結局絹旗に説明するのに30分掛けて、今度どっかに連れて行くと約束をさせられて、別れた。その後は小町と一緒にいたのだが、土御門から連絡が入って別れた。
「で、俺はどこへ向かえばいいんだ?」
『西武山駅だにゃーそこで落ち合うぜよ。ステイルと上やんも一緒にですたい』
「了解」
で、言われたとおり駅で改札を出ると、上条とステイルが立っていた。
「土御門は?」
「今、オリアナの位置を割り出してるよ。少し待て…なんだ?通話が切れたぞ!?」
「なに、まさか…あいつが狙われたのか?」
おそらくそうだろう。どうやら、追うやつから逃げるより追うための地図を潰したか。俺達は土御門の居場所を知らない。
「まずいな…土御門をなんとかしないと…!」
「無理だ。奴から連絡が来るまで、待つしかない…」
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その数分後、ステイルの携帯に連絡が入った。
「無事か?」
『オリアナは今、ここから離れようとしてるはずだにゃー。ちょっとばかし、ハッタリを効かせたからな』
それを聞いて上条が携帯を開く。
「土御門の地下道から一番近いのは地下鉄か!」
しばらく走ってると、なにやら人混みを見つけた。見てみると、月詠先生が泣き崩れていて、血塗れの女の子が倒れていた。
「姫神!」
「……誰?」
「その体操服は君達と同じじゃないか。なぜ知らない?」
「愚問だな」
「必要悪の教会にいた時と変わってないんだな君は…」
ステイルに思いっきり呆れられた。そんな俺達を他所に上条は先生に聞く。
「先生、ここでなにが起きたんだ!」
「か、上条ちゃん…比企谷ちゃん。女の人とぶつかったんです…その人、急に怖い顔したと思ったら…いきなり…」
「……オリアナか」
なるほどな、その姫神って奴のその十字のやつを見て勘違いしたか…。ステイルが人祓いのルーンを貼ると、その人混みは去って行く。
「救急車を呼べ」
それだけ行ってステイルはオリアナを追おうとする。
「待てよ!俺達のせいでやられたんだぞ!このまま放っておけるかよ!」
「なら君になにが出来る」
でステイルは上条の頭を掴む。
「調子に乗るなよ素人が!この傷ついた少女のために出来る事は何も無い、今僕たちに出来るのはオリアナを追うことだけだ!誰かを守るつもりがあるなら拳を握れ…君の右手には幻想を殺す力しか無い。幻想を守る力なんてどこにあるっていうんだ!」
「……クソッタレが!」
まぁ、ステイルの言う通りだな。すると、月詠先生が空き缶やら石やらでなんかを作っている。
「君はなにをしている?」
「シスターちゃんの時は、これでなんとかなったのですよ」
「まさか…あなたが…」
え、なになんかあったの?と、思ったら急にステイルは先生の隣に座り、ルーンを取り出す。
「上条当麻、比企谷。君らはオリアナを追え。彼女は僕がなんとかする」
「お前、まさか…」
「すべてを解決したければ、ここを跨いでいけ上条当麻」
で、俺と上条はオリアナを追った。
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だが、バスから降りた辺りで見失った。そこで上条は土御門に電話を掛ける。
「土御門、悪い見失った」
「どこに向かってそうとか、分かんねーかにゃ?」
「ここのバスは、第七学区をグルリと回っているらしいけど…」
…そういえば俺には腑に落ちない点がある。なぜオリアナは動き回るかだ。そんなことをすれば俺達に見つかりやすくなるはずだ。それなのに、なにか理由があるかのように動き回ってある。もしかしたら…、
「上条、少しいいか?」
携帯を代わってもらうと俺は聞いた。
「土御門、もしかしたら使徒十字って特別な環境じゃないと使えないとかあるか?」
『誰だ?』
「……比企谷です」
『お、おう…すまん。で、環境だったか?なんでそんなこと…いや、その辺はステイルに当たってもらってたんだが…』
「その辺はオルソラがステイルに送ってたぞ」
「だってよ土御門」
『あ、あぁ。送ってくれ』
で、携帯を返してしばらく切ったが、すぐに掛かって来る。
『分かったぜ二人とも』
そこから、土御門の解説。早い話が、星を組み込んだ魔法陣を利用して超巨大な力を得るつもりらしい。つまり、
「タイムリミットは夜までか…」
「で、俺達はどう動けばいい?」
「とうま?」
そこで、なんか聞いたことのある声。相変わらず絶妙なタイミングですねぃ。
「とうま、はちまんも午後から競技に参加してないよね。どうして?」
「あーれ?おかしいな…クラスの連中にはメールしたはずなんだけど…」
「メール?」
「圏外だったのかなぁ…」
ここでごねられるのは面倒だな。
「上条、早くしないと次の担当競技が始まるんだが。実行委員の手伝いしてくれるんだろ?」
「え?あー、そうなんだ。悪いインデックス、そんなわけだから…」
「ちゃんと来れる?」
「あぁ、出来るだけ早くな」
「分かった!」
「いや、手伝いはもういいや。だから上条はそっちに行け」
「「え?」」
俺が言うと、二人は驚く。たぶん、電話越しの土御門もだ。俺はその上条に耳打ちした。
「もういい。お前にはインデックスや家族もいるだろ?後は俺達に任せな」
「はぁ?ここまでやっといて投げ出せるか!」
「そういえばインデックス、さっき上条がお前のことブラックホールって言ってたぞ」
「……どういうことかなとうま?」
「ちょっ!比企谷!?」
そのままじゃれ合う二人を捨て置いて俺はその場を離れ、上条の携帯を切り、自分の携帯で土御門に電話した。
「すまん土御門、でもこれ以上は上条に負担は掛けられない」
『大丈夫だにゃー。俺も同じこと考えてたからな』
そう、上条には俺達と違って家族がある。これ以上は負担も掛けられないし、なによりただの学生なのだ。これは魔術師で解決させなければならない。
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俺と土御門は一度落ち合った。やはり、星座を利用するしかないらしいが夏の星座を秋の星座で代用することはできない。そこで、オルソラから電話が来た。その内容は、季節は関係なく発動可能だということらしい。
「で、オルソラ。日本での場所は分かったのか?」
『はい、勿論なのでございますよ』