目の腐った能力者   作:ウルトラマンイザーク

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比企谷八幡

 

あれから数日経った。俺は少し遠い所の本屋を目指す。なんかそこにクッソ安い値段でガンプラが売ってるそうだ。なんで本屋にガンプラ?とか思う所はあるが、それを買わない手はない。とりあえずスーパーパイロットさんの機体でもと思ってたらなんかやたら響く音がする。

んだようっせぇな。近所迷惑とか考えなさいよ。そういう奴が高速道路でバス止めて泣きながら立ちションすることになるんだよ。そんなこと思いながら歩いてると、その音を発してると思われる建物の門の前を通った。

なんとなくなにしてる所か気になって中を覗くと、御坂がなんかモビルスーツみたいなのに壁に叩きつけられていた。てか頭だけ人間とかあれギャグ漫画だろ。

 

「おい、あれ…」

 

俺はそれを見るなり落ちてた鉄パイプを持ってモビルスーツの頭をぶん殴った。その瞬間、御坂を離すモビルスーツ。その御坂を引っ張り上げておんぶする。

そのまま逃亡。

 

「ケホッケホッ…あ、あんた…なんでこんな所に…」

 

「ガンプラ買いに行く途中だったんだよ。てかレベル5の超電磁砲ともあろうものがなにやられてんの」

 

「キャパシティダウンよ。演算が邪魔されて能力が使えないの」

 

……なるほどね。おっと、話してる場合じゃない。さっきの頭むき出しとは違う量産型みたいな奴が追い掛けて来た。

 

「ち、ちょっと!追い掛けて来たわよ!」

 

「分かってるよ」

 

俺はその辺を走ってた車に飛び乗る。

 

「しっかり捕まってろよ」

 

「え?ちょっと待っt…」

 

車と車の屋根を飛んで逃げる。流石に一般の車に手は出せないのか、これ以上追い掛けては来なかった。で、途中で降りてどっかの公園。

俺はガンプラを買うはずだった金でMAXコーヒーを二本買う。

 

「おら」

 

「…ごめん。てかあんたはなんであんな所にいたのよ」

 

「それさっきも言わなかった?なんかガンプラが安いって言うからわざわざこんな所まで買いに来たんだよ。お前こそなんであんな所にいたんだ?確かあのモビルスーツってMARのだったよな」

 

「…敵だったのよ。テレスティーナが」

 

そこで御坂に大体の説明を受ける。なんか春上も捕まって木山とかいうよくわからん人の子供達も捕まってなんか、大変なことらしい。

 

「ふーん。そりゃ大変だったな」

 

「……なに他人事みたいに言ってるのよ」

 

「俺は一人だから周りの声なんて常に他人事だぞ」

 

「そういう悲しい自慢いいから…」

 

そこで少し俯く御坂。

 

「でも、まさかホントに学園都市の裏が関わってるとはね…あんたの言った通りだった…このままじゃ、佐天さんも危ない目に合うかも…」

 

「ま、確かに向こうが能力封じて来るなら御坂どころか白井とかも役に立たないだろうな。だからと言って能力無しで挑んだらモビルスーツと来たもんだ。これ警備員に頼んだ方がよくね?」

 

「無理よ。警備員は自由に動けない。上層部から圧力が掛かってるみたい…」

 

「……なぁ、ふと思ったんだけどキャパシティダウンって実体はなんなんだ?」

 

「音よ。スピーカーから流してるの」

 

なるほどな。

 

「だったらさ、子供達が運ばれてる時を狙えばいいじゃん」

 

「え?」

 

「施設にはまず確実にキャパシティダウンがあるって考えるべきだな。ならまずそこに到着する前に叩くか、もしくは奴らが到着するまえにキャパシティダウンを壊すか、だろ」

 

「確かにそれなら…!」

 

一気に明るくなる御坂。まぁ、ヒッキーからのアドバイスだ。

 

「じゃ、頑張れよ。俺は帰る」

 

「え?あんたは来ないの?」

 

「追い出したのはそっちだろ。てかその作戦に俺は不要だし」

 

「………」

 

黙り込む御坂。まぁ、そりゃそうだろ。

 

「じゃあなー」

 

「待って」

 

「えっ」

 

なんだよ。まだ話があんのかよ…。

 

「ちょっと、ついて来て」

 

 

_______________________

 

 

 

なんだかんだで一週間ぶりくらいの支部だ。いやそこまでじゃないか。まぁなんでもいいや。俺と御坂が入る。

 

「! 御坂さん!無事だったのね」

 

いい加減名前を知りたい眼鏡先輩が安堵の声を出す。

 

「え、えぇ。そこのに助けられて」

 

どーも、そこのです。全員、俺を見ると怪訝な顔をする。

 

「これから、テレスティーナの車に奇襲を掛けるわ」

 

説明を入れずに御坂はそういった。

 

「奴らはキャパシティダウンを持ってる。向こうの施設に着いてからじゃ遅いの」

 

「でも、急に今からと言われましても…」

 

「警備員に協力を要請して。それと木山先生のスポーツカー、とにかく使える足はすべて使って追うの。お願い、みんなの力を貸して」

 

御坂がそう言うと、しばらくシンッとする。だが、すぐにフッと笑う声がする。

 

「ま、仕方ありませんね。御坂さんの頼みですし」

 

「そうですね。私、黄泉川先生に連絡してみます」

 

と、動き出す177支部の皆さん。御坂は俺に振り返った。それに気づくと、なぜか周りも動きを止める。

 

「お願い、あんたの力も貸して」

 

そう言って頭を下げる御坂。俺は思わず戸惑ってしまった。

 

「追い出しといて勝手なのはわかってる。でも、キャパシティダウンを使われたらあんたの力が必要なの」

 

え、使われる前に奇襲を掛ける作戦じゃないの?

 

「もし、万が一ってこともあるわ。だから…」

 

や、俺としては別に構わないんだけど、周りがなんて言うか…。

 

「お願いします比企谷さん」

 

白井までお願いしてきた。その後に佐天、初春と続く。

まぁ、元々俺も俺のための作戦があったからな。

 

「別に構わないけど、俺は俺のやり方でやらせてもらうからな」

 

「え…?」

 

「な、なにか作戦があるんですか?」

 

初春に聞かれる。俺は頷いて答える。

 

「ただし、一人じゃなきゃ無理だ。まぁ任せなさい。必ずお前らの切り札になってやるから」

 

俺がそう言うと渋々頷く五人。さて、世界を変えるってことを教えてやる。

 

 

________________________

 

 

 

準備が整い、テレスティーナの車を追う。

 

「あの、ホント安全運転でお願いします。お願いだから転ばないで」

 

「大丈夫よ。任せなさい」

 

さっき、ようやく名前を知った固法さんのバイクの後ろに乗る。いいなぁ…あいつらはスポーツカーで。まぁ合法的に女の人に後ろから抱きつけるのでよしとしよう。

 

「ドサクサに紛れて胸とか触ったら振り落とすからね」

 

「アッハイ」

 

この人怖い。で、出発。しばらく走ること数分でようやくコンテナに追い付いた。さて、ここらは俺の仕事だ。

 

「じゃ、固法さん。失礼します」

 

「え?比企谷くん…なにを…」

 

俺はバイクからジャンプしてコンテナに登った。おそらく全員が唖然としてるな、俺、ドヤ顔。

 

 

_________________________

 

 

※御坂視点に変わります。

 

あいつがコンテナを開けると、パワードスーツの群れ。だが、予想外の行動にほとんどのパワードスーツがギョッとしている。そんなのも気にせずにあいつは無理矢理、パワードスーツをコンテナから蹴り落とす。

着地出来ずに転がり、爆発するパワードスーツ。

 

「す、すごい殿方ですのね…」

 

「なんか、大胆ですね〜」

 

黒子も初春さんも感動の余りドン引きしている。まぁそうだよね。

 

「おい、彼が何か言ってるぞ」

 

「えっ!?」

 

私は窓を開ける。

 

「中に子供なんていないぞ!」

 

「なに!?聞こえない!」

 

「だぁから!中に子供なんていないってば!」

 

「嘘!そんなはずは…」

 

一度、中へ戻るあいつ。だが、戻った瞬間そのコンテナは爆発した。

 

「なっ……!」

 

「比企谷さぁんっ!」

 

死んだ…あいつが…そんな…。まさか、今のコンテナはダミーだったってわけ?

 

「比企谷さん…」

 

佐天さんが悲しむように声を漏らす。

 

「あ、御坂さん!別の所にコンテナの反応が現れました!」

 

「えっ!?」

 

「仕方ない…そっちへ案内してくれ!」

 

「待って!まだあいつが…!」

 

「お姉様、比企谷さんは仕事の時は私情は捨てろと言っておりました。今は子供達を追うのが先ですわ」

 

「で、でも…!」

 

反論しようとしたが、口が止まる。黒子だって泣いていた。そう、私達があいつのためにしてやれることは今回の任務を遂行させることだけだ。

 

「分かった、みんな行くわよ!」

 

そして、別のコンテナへ向かった。

 

 

___________________________

 

 

 

コンテナを追い掛けてる途中ででっかい黄色いロボに襲われたり、またパワードスーツに襲われた所を黄泉川先生達に助けられたりで、結局施設に着く前に子供達を救うことは出来なかった。

でも、まだ全部終わったわけではない。中に入ればまだチャンスはある。

 

「初春さん、子供達は!?」

 

「地下です!」

 

六人で地下へ向かう。だが、中で待ってたのはパワードスーツの群れ。

 

「ほぉ、よくここまで来たじゃねぇか。お利口さん」

 

「ここまでよ。子供達を返して」

 

「なに追い詰めた気でいんだクソガキィ」

 

テレスティーナがそう言うと、音が響いた。キャパシティダウンだ。

 

「しまった…忘れてた…!」

 

「きゃはははっ!残念だったなぁ!お前らはここで死ぬんだよ!」

 

「やめろぉっ!」

 

木山先生がそう言うが、テレスティーナは私達に銃口を向ける。その時だった。パワードスーツの群れの後ろの方で爆発音がした。

 

「な、なんだ!?」

 

その爆発を引き起こした張本人と思われるパワードスーツは戸惑ってる周りをまったく気にすることなくドンドン自分の仲間を壊す。

そのパワードスーツは私達の前に立ち塞がった。

 

「な、なにしてんだてめぇは!気でも狂ったか!?」

 

テレスティーナに言われてそのパワードスーツは顔を見せる。

 

「声出す度に変顔するババァに言われたくねぇんだよ」

 

あいつ、比企谷八幡が立っていた。

 

 


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