初詣兼年明けのカウントダウンの為に近くの神社付近までやって来たなのは達を待っていたのはメダルコンビ。ではなく、イエーガーズの面々だった。その中にはあのクリスマスパーティーで珍しくカップルになった団員達もいた。
「あ、高町さん。それにアリシアさん達もこんばんは」
「ちーちゃん、やっほー。また風邪とかひいていない?」
「ええ、熱も下がって今のところは大丈夫です」
「それは。・・・逆に不安になるんだけど」
クリスマスでは告白できなかった女性団員のちーちゃんやそのほかの団員の面々とも挨拶を交わす。
なのはたちの面々は各々がブルジョワ兼邪神というコネが有るためか身綺麗な着物を着ての年明けを待っている。だが、その着物の制作に携わっていただろう邪神はというと。
「遅れて(→→)、しまい(↑)、大変(↓B)、申し訳(→→)ございせd」
人ごみの中をかき分けて走ってきながら空中で土下座の体勢をとり、なのはたちの目前まで滑りこもうとした裕だったが目測を誤りなのはたちのすぐ近くにあったベンチの下にスポーンと綺麗に入ってしまった。
「…え~と。やっ、ほっ、やっ、やっ、やややややややや」(A連打)
「無理にしゃがみジャンプしながら前進しないで普通に這い出てこようよ!」
コイーンッ。
「金貨あった?!」
ベンチに座っているのはただの一般カップルだったのでさぞかし驚いただろう。
裕がベンチの下から這い出た後も思わずベンチの下を覗き込むくらい。ニンテン○ウは何処までも浸透している物だとその光景を見ていたはやてはそう思った。
「ところで裕君、他に言う事はないんか?」
「おう、もう少しであけましておめでとうだな、はやて。白い着物がよく似合っていいぞ。ヴィータは黒でシグナムさん達は互いのイメージカラーを入れ替えた2Pキャラみたいで似合っている」
「それは褒めているのか?」
はやてや裕とよくゲームをするヴィータは微妙な表情をする。ちなみに裕はジーパンにジャンパーという冬の普段着と言ったところだ。本当ならなのはたちと同様に着物をつけたいところだが一応邪神という事を勘ぐられないように着物は出来るだけ控えている。まあ、それも微々たる抵抗。というか管理局にはばれているのだがそれでもそれは一部であり全体ではない。それに対しての抵抗だが。
「テスタロッサ姉妹も中々。黒かと思いきや白で攻めてくるとは光の加減と妄想力で補えば全裸にも見えるな」
「それはもう妄想百パーセントだよ。というか視姦っていうんじゃないかな?」
普段のバリアジャケットがバリアジャケットなだけに最近その所を姉のアリシアや最近母親と仲良くなってきたリンディに注意されているフェイトが思わず裕から距離を取る。逆に姉のアリシアは見れる物なら見るがいいとふんぞり返っているが。
「そしてなのは様。いつも麗しゅうございます」
「「「なんでなのはだけ様?!」」」
同じ顔のシュテルに調教されたから。とは言えない。そのシュテルとなのはたちの家に泊まっていた王ちゃま達は今では二頭身のねんどロイドようになって裕の持つ金の懐中時計の中で英気を養っていることを邪神とそれを見たザフィーラしか知らない。
「まあ、着物を褒めてくれるのは嬉しいんやけど他にも言う事あるやろ?例えば誰かとデートするとか」
「え~、やだぁ、はやてさんたら何処で聞いたのかしら~?」
思わずオネエ言葉になって場を誤魔化そうとした裕だったがそれを見逃さないのがイエーガーズ(非カップル組)。
「誰となんですか団長!」
「どう言う事なんですか団長!」
「俺とですよね団長!」
「いやー、実はアリシアとの約束で、って、最後のやつ誰だよ?!」
周りを見れどもそれらしき人物は見当たらず裕は警戒の色を見せる。声はすれども姿は見えないBL団員に戦々恐々と言った具合だろうか。
「どういうことなの裕君?」
「どうしてアリシアと急にデートするようになったのかしら?」
それ初耳なんですけど。と、静かに怒っているように見えるアリサとすずか。そしてイエーガーズの面々。
「いやー、じつは、昨日アリシアにデートを申し込んでみたら意外とすんなり受け入れてくれて~」
「「「なんだ」」」(イエーガーズ面々)
「「「あれ、あっさり?!」」」(裕&アリサ、すずか)
淡白な反応に思わず驚く裕。
てっきり団員達が嫉妬のあまり自分を叩いてくるんじゃないかと思っていた話をしたら。
「もしかしてそれを断られた傷心と僕等に叩かれたくてアリシアさんをデートに誘ったんですか?団長ってばエムいんだから」
「まだそんな極みに達してないから!」
「まあ、俺達のリーダーが勇気を出してやった行動を貶すなんてことするわけないじゃないですか」
「・・・お前達」
いつの間にか団員達は裕と肩を組み始め、そして。
「表向きはっ!」
この野郎いつの間に抜け駆けしやがって。見せつけやがって。やっぱこいつ良い尻してんぜ。となのはたちからは見えない所で裕を抓ったり叩いたり撫でたりする団員達の統率力は相も変わらず脱帽物だ。
「裏側が酷い!あと誰だよ!俺の尻を狙っている奴は?!」
後ろを振り返るが誰か団長の尻でも触ったかという顔をしているから怖い。ステルスホモ団員。一体誰なのか・・・。
「まあ、そんな事よりも早く行こうよ裕!」
アリシアが裕の腕を取って早速と言わんばかり露店めぐりをしようと言いだす。
だが、そこは裕達同様に初詣に来た人達がごったがえしている。そんな中に入りこめば体の小さい二人はあっという間に離れ離れになる可能性がある。だから手をつないでいこうというアリシアに対して何かを思い出したかのように何かを取り出したフェイト。
「一緒に行くならこれを持っていって」
裕に首輪をつけさせアリシアにそれを繋いだリードを渡す。
「も~、なんなのこの天然どS。…嫌いじゃないけどよ」
「それじゃあ行こうか」
「本気でその格好で行くんか?!」
レッツゴーと行こうとした二人を思わず止めたはやてに首輪を外された裕がどこか残念そうな顔をしていたがデートに出向いた二人を見送った。
「まだ付き合うってわけじゃないんだから」
「でもっ、でもっ・・・」
「うううぅ~」
「アリシアちゃんの裏切り者~」
「「「・・・団長、グッドラック」」」
三者三様の様子を見ながら裕とアリシアの後ろ姿を見送る面々。そんな中、
「そんなに気になるのなら音声だけでも聞いてみようか?さっき裕に首輪をつけると一緒に盗聴器を襟首につけたんだけど」
いつの間に?!と他の面々が驚く中興味もある。という訳で早速盗聴してみる。いろんなところが逞しくなってきたフェイトは待機状態のバルディッシュを盗聴器だと言って周りの人達に聞こえるようにした。
周りにいたシグナムやシャマル。高町夫妻も気になるのかそれに耳を傾ける。
『ほら、これを見て嗅いで見ろ』
『・・・うん、これ面白いね。この粉』
いきなりやばそうな所を回ってないかあの二人?!
『綿菓子って見ていて面白いね』
「そっちかーいっ!」
と、思わずツッコミの声を上げてしまったはやてだが周りに人がいる事に気が付いて慌てて口を抑える。ここから先は何が聞こえてもツッコミをしてはいけない。
『あれってかき氷とか言う冷たい食べ物だよね。こんな寒いのに買う人なんかいるのかな?』
『いると思うぞ。ラインナップを見てみろ。イチゴにザクロ。スイカとドラゴンフルーツ。いろいろなかき氷があるだろ』
どれも赤いんやん!と必死にこらえるはやてと美由紀。
『でも、本物はどれか一つだけなんだぜ』
残りは何だ!?
恭也やザフィーラと言った男性陣もツッコミを堪えていた。
『あ、射的。私、結構得意なんだよね(パァンッ!)』
実銃?!
といった具合にツッコミが絶えない音声を拾うフェイト達だった。
番外編。邪神様と初・猛デート(イチゴ味)。アリシアサンルート。
アリシアとデートを開始して三十分もしないうちに手を繋いで歩くようになった。子どもの体だから離ればなれになりやすいし、この方が効率的だから別にいいよね。っと、自分に言い聞かせながら露店めぐりをする俺こと田神裕。実はドッキドキのワックワクである。前世も合わせて幼女とはこんな美少女とのデートは初めてだからだ。それを気取られないようにと出来るだけ平静を保ちながらアリシアとデートを楽しんでいるとある程度開けた場所に出るとアリシアがアクションを起こしてきた。
「ねえ、ユウ。左手も寒いんだけど」
今は自分の左手とアリシアの右手を繋いでいるから暖かい。なので両手で繋ぎ合う。これであったかい。
「ねえ、ユウ。ゲームしようか?」
この状況で?
「じ~」
アリシアがこちらの顔をじ~っと見る。なんざんしょ?
「・・・我慢できずに先にキスしたほうの負けだから」
・
・・
・・・
へへ、笑えよアリシア。
お前がナンバーワンだ!
勝者アリシア!TKO(トークによるノックアウト)により邪神様の彼女の座を射止めました!