鎮守府に変態が着任しました。   作:「旗戦士」

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榛名「はい、榛名は大丈夫です! 」
提督「ほんとうに!? 大丈夫!? マジで!? まことに!? 」

榛名「いえ、あの大丈夫……です……」
提督「大丈夫? なんならついてくよ? 本当? 」

榛名「ううっ……ぐすっ……」



第奈々集

<イベント>

 

 

 「あれ、司令官? 何を読んでいるんですか? 」

「あ、吹雪君。いやね、さっき大本営から書類が届いたんだけど……」

 

私が着任してから数か月経ったある日のこと。

ここの鎮守府の艦娘とも仲良くなり、私にある書類が送られた。

 

「"特別海域制圧作戦"? なんですかそれ? 」

「どうやらヲ級ちゃんとかの深海棲艦とはまた違った子が出てきたらしいんで、それを倒しに行ってほしいとの事なんだよ」

 

「確かに私たちの練度も上がって来てはいますが、そういった海域に出撃するのはまだ早いんじゃ……」

「私もそう思うんだよねー。まあいざとなれば私が出撃してその新しい深海棲艦の子に超絶技巧セクハラアタックを仕掛ければ余裕なんだけど」

 

真面目な雰囲気が一気に変わる。

 

「前のそんな事やろうとして股間に艦載機飛ばされてましたよね」

「あれは死ぬかと思った」

 

まさか深海棲艦もブチ切れることがあるんだと実感させられる瞬間だった。

ヲ級ちゃんも「あれは誰でも怒るヲ」とか言ってたなぁ。

 

「プロデューサー! 那珂ちゃん達が遠征から帰ってきたよー! 」

「おっ、お帰り那珂ちゃん。どうだった? 」

 

「ばっちり営業してきましたー! 」

「良くやった那珂ちゃん! これでCDの売り上げも伸びるぞ! 」

 

「楽しみだねプロデューサー! 」

 

お前らだけなんか原作違くね?と思ったそこの貴方、ぶっちゃけ大正解だ。

まあ彼女のやる気向上の一環としてやっているだけなんだけど。

 

そういえば、数か月経ってこの鎮守府にも大勢の艦娘が配属された。

那珂ちゃんも含め、遠征部隊を編成できる程には増えたんだよね。

 

「他のみんなはどうしてるかな? 」

「夕立ちゃんと時雨ちゃんは入渠しに行って、不知火ちゃんとイムヤちゃんは部屋に戻ったよ! あとは深雪ちゃんが食堂でご飯食べてる」

 

「分かった、じゃあここの書類にサインしたら那珂ちゃんもお休みして大丈夫だよ」

「うん! ありがとプロデューサー! 」

 

彼女は慣れた手付きでサインをし、執務室を出て行った。

 

「元気ですね、那珂さん」

「あぁ、提督アイズで確認したら今日は大丈夫な日らしいね」

 

「そういう事じゃないです。つーかキモいですそれ」

「ありがとう」

 

吹雪君、またS度のレベルが上がっているな……。

感心感心。

 

「まあ、この書類については私からみんなに言っておくよ。吹雪君も休憩してきなさい」

「えっ? でもまだ秘書艦の仕事が残って……」

 

「いいんだよ。それに私を侮らないでくれ、この量の仕事などシコりながらでも出来る」

「今の台詞がなきゃ完璧だったのに……」

 

失礼します、と彼女はお辞儀をしながら執務室を出て行った。

ふふ、素直になれないところがまた可愛いな。

 

 

「さーて、早速一人になった事だしX○ideo開くかぁ! あ、エロゲでもいいな……」

「提督さん、失礼するっぽい~」

「入るヲ~」

「へぁぁぁぁぁっ!? 」

 

我がマイサンを露わにしようとした瞬間にヲ級ちゃんと夕立君が執務室に入ってくる。

なんだか中学生の頃を思い出すな。

 

「ヲ? 提督何してたヲ? 」

「い、いやあなんでもないよ? 君たちこそどうしたんだい? 」

 

「むむむ、なんだか怪しいっぽい……」

「あっ! あそこにたくさんのボーキサイトが! 」

 

「えっ! どこっぽい! 」

「探すんだヲ! 」

 

「今だ! 逃げるんだよォ~ッ! 」

 

古典的なひっかけに掛かるとは可愛い奴らめ。

私はパソコンを閉じ、エロ本を背中に隠しながら執務室を出て行った。

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<買い物>

 

 

 

 「あ、鳳翔さん」

「あら、天龍さん。奇遇ですね」

 

俺は駆逐艦の奴らに頼まれたものを買うべく、鎮守府付近のスーパーに来ている。

まあお菓子を買うついでに電や響に頼まれたような感じだ。

 

「何を買いに来てるんだ? 」

「今日の夕飯の買い物ですよ。食堂も任せられてるので、こうして早くに来て仕込みをするんです」

 

「へぇ。じゃあ今日の夕飯は楽しみだな! 」

「うふふ、ありがとうございます。天龍さんは何を? 」

 

「お菓子を買うついでに酒も買っちまおうと思ってな。その時に駆逐艦のやつらにも買い物を頼まれたんだ」

「あら、それじゃあ私のところに来ませんか? 提督が小さな敷地を用意してくれて、不定期ではあるんですがお店をやってるんですよ」

 

鳳翔さんの居酒屋で一杯やる……。

うん、それもいいかもしれないな。

 

「いいのか? 鳳翔さん第一艦隊で疲れてるんじゃ……」

「私が好きでやってる事だから大丈夫です。是非他の方も誘って来てくださいね」

 

「じゃあお言葉に甘えて。提督とか龍田も誘ってみるよ」

「はい、お待ちしてます。そういえば、電ちゃんや響ちゃんには何を頼まれたんですか? 」

 

「え? ウォッカとジントニックだけど」

「……どう考えても酒なんですけど」

 

一瞬鳳翔さんの表情が暗くなる。

 

「なんで天龍さんはあの子たちにお酒をあげてるんですか! 普通やっちゃダメでしょう!? 」

「俺も止めたんだよ! けどあいつら"酒でも飲まなきゃあの変態の元でやってけない"とか居酒屋のサラリーマンみたいなこと言い出すんだもん! そん時のあいつら俺より怖かったんだもん! 」

 

「……わかりました。とりあえずみんなは私が説得してみます。天龍さん、あの子たちにはお酒を与えないであげてくださいね」

「あぁ、わかってる」

 

俺の脳裏には電の虚ろな顔が浮かんだ。

"ブラック企業ってこんな感じなんですね……"とか言ってたけど、正直言って俺達の鎮守府は相当ホワイトだと思うぞ。

 

「で、提督はあの子たちに何を? 」

 

「"私を罵ってくれ"って迫った挙句に半裸で現れたらしい」

 

「もうぶっ殺しちゃいましょうか……」

 

その時の鳳翔さんほど怖いものはなかった。

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<落ち度>

 

 

 

 「ぬいぬーい! ちょっと入るぞー! 」

「……司令官はいつもパンツを被っているんですね」

 

「ドア見開きでぬいぬいのジト目とかどんなご褒美だよ」

「いや、これがデフォです」

 

不知火くんが部屋に戻ったという事で、私は早速彼女たちのアフターケアをすべく不知火の部屋へ突撃することにした。

なぜか行く途中に背筋がぞわっとしたが、まあ再生するし気にしないでいいだろう。

 

「それで、どんな御用ですか? 」

「いや、ぬいぬい疲れてると思うからアフターケアしに来たんだよ」

 

「司令官、その姿でアフターケアとか舐めてるでしょう」

「あ、やっぱ全裸かネグリジェの方が良かった? 」

 

「どつくぞ」

 

やっぱぬいぬいって眼光的に戦艦クラスだと思う。

 

「じ、冗談だよぬいぬい。実は君に聞きたいことがあったんだ」

「はあ、なんでしょう? 」

 

「これ何? 」

『きみのことぬっいぬいしてあげるー♪ 』

 

沈黙が部屋を占めた。

不知火君は固まったまま、口をぽかんと開けている。

 

「…………消す」

「いやいやいやいや!! 待って聞いただけじゃん!? それにすごく可愛いと思うし! ね!? 」

 

「消す」

「ねえ伝わってよ! 私ぬいぬいのファンになるから!! 」

 

瞬間、不知火君の動きが止まった。

 

「……お、おかしいと思いますか? わ、私がこういう事をしているの」

「え、全然。むしろ女の子らしいこともっとしたらいいのにと思ってた」

 

「ほ、本当ですか? 本当の本当? 」

「うむ、この動画を見た瞬間に私の20cm単装砲が最大仰角になった」

 

「そういう意味か貴様」

「冗談だから奥から日本刀出さないでくれない? 」

 

彼女はため息を吐く。

だがかわいいと思ったのは本当だぞ。

 

「……私、那珂さんに憧れているんですよ。彼女は可愛くて愛想もあるし、それに踊りも上手。それに比べて私は……」

「そんなことないぞぬいぬい。君のその性格をもっと表面に出していけばいいんじゃないかな? なんというか、無表情だけど不思議な可愛さというかさ」

 

「し、司令官……」

「自分を表現することは難しいことだけど、それを君はやろうと努力してるんだろう? ならば応援しよう。紳士は女の子の頑張る姿に弱いのさ」

 

そう言うと彼女はフッと笑った。

日本刀を仕舞い、照れくさそうな笑顔をこちらに向ける。

 

「その……司令官のことをただのヘンタイと勘違いしていました。司令官、いえプロデューサー。私のアイドル活動をプロデュースしてくれますか? 」

「その為にはまず髪を緑色のツインテールにしてミニスカニーソにしようか」

 

「やっぱ殺すわアンタ」






ぬいぬいっていいよね。
語感とか。

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