鎮守府に変態が着任しました。   作:「旗戦士」

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提督「木曾の眼帯をふざけて股間に付けてみたら予想以上にフィットした」

今日の提督:軍刀による刺殺


第弐六話

<温泉街>

 

「さあみんな! せっかく旅行に来たんだしもっと楽しんだらどうだい? 」

「変態二人のストッパーやらされてる事のどこが旅行なんだよ」

「同感ね。武蔵のヘンタイっぷりには驚かされるわ。胸にサラシ巻いて出歩くし」

「あとミニスカに眼鏡とかいうフル勃起コスチュームだしな」

 

直後、私とビスマルクの腰に武蔵の容赦ないローキックが襲う。

若干気にしているのか、彼女は少しだけ顔を赤らめている。

かわいい。

 

「べ、別にあれ自分でカッコいいと思ってやってる訳じゃねーし……。軍からの命令だし……」

「むっ、武蔵さん!? なんでちょっと思春期っぽい反応なんスか!? 」

「何ならサラシとかいらねーし……ふんどしでいいし……」

「いやサラシは必要っすよ!? ってかめっちゃ気にしてんじゃねーか! 」

ぎっくり腰よりも痛い武蔵の蹴りに耐えた甲斐があった。

思わず私は隣で一緒に悶絶していたビスマルクとハイタッチを交わす。

「おいアホ二人! どうしてくれんだ! 武蔵さんいじけちゃったじゃんかよ! 」

「あー、天龍ちゃんが泣かした―! 元帥に言ってやろー」

「元はと言えばてめぇらが元凶だろうがっ! 」

 

天龍ちゃんの蹴りが放たれると同時に私はポケットから携帯を取り出し、足を上げた拍子に見えたスカートの中を激写する。

今日は水色か、中々女の子らしいものを穿いているようだ。

 

「ったくよぉ……。ほらさっさと行こうぜ。俺達が騒ぐから結構人見てんぞ」

「じゃあ脱ぐか」

「そうね」

「待てやコラ」

ズボンのベルトに手を掛けようとした所で天龍ちゃんからの制止が入る。

「まあ落ち着け提督よ。お前も今年で幾つだ? もうそんなに馬鹿をやっている年齢ではないだろう。どんどん周りが身を固めていって……」

「止めろおおおおお!! もう嫌だ! 現実逃避したいよぉぉぉぉぉ!! 雷ママぁぁぁぁ!! 」

「うわっキモッアドミラール」

「ごめん」

 

ビスマルクの言葉で急に現実に引き戻された私は、騒然とする温泉街の道を何もなかったかのように歩き始めた。

先程の混沌とした(主な原因は変態達)空気とは打って変わって、オレンジ色の街灯に照らされた赤い鳥居や屋台が煌びやかな雰囲気を創り上げている。

ちょうど温泉街の中心部に差し掛かった所で、私たちはとある人物と出会った。

 

「おや、司令にビスマルクさん。それに武蔵さんと天龍さんも」

「やあぬいぬい。私服可愛いね、私と青姦しないかい? 」

「息を吐くペースで下ネタを吐くの止めて貰えますかマジで」

「秒速五センチメートルの速さで下ネタを言うぜ」

「やかましいわ」

最近ぬいぬいのノリがいい気がする。

そんな彼女はキャスケット帽を被りながら木刀と温泉卵を手にしており、一見普通の剣道少女のような空気感を感じた。

「ところでぬいぬい、君は一人で回ってたのか? 」

「いえ、マックスさんとレーベさんと一緒に回っていました。お二人はお手洗いに行くという事で、私がここで待っているのです。不知火に落ち度はありません」

彼女は少しだけ口角を吊り上げてドヤ顔を見せ、あまり膨らんでいない胸を張る。

ぬいぬいの手袋を盗んで観賞用と実戦用に使ってたけどここで言うと絶対に怒られるのでやめておこう。

「一言も悪いなんて言ってないんだけど……。まあいいや、私達と一緒に行動しないか? 」

「変態のストッパーは天龍さんが一番向いてると思うので遠慮しておきます」

「おいどういう意味だそれ」

 

あっさり誘いを断られてしまい、仕方なく私達は彼女達をその場に置いて後を去った。

煌びやかな温泉街の中心部から歩くこと数分、私達はある屋台へと辿り着く。

 

「ほほう、射的か。懐かしいな、よく大和姉さんと祭りでやったものだ」

「あら、大和とは本当の姉妹だったのね。少し意外だわ、姉妹で艦娘って」

「姉妹丼か……胸が熱くなるな」

「話聞いてたかお前」

 

そう言いつつ天龍ちゃんは屋台のおじさんにお金を払い、射的用のコルク銃を手に取った。

彼女の豊満な胸に銃床が当たり、なんだかものすごくエロい感じがする。

こういう事を天然でやってくる辺り天龍ちゃんはあざとい。

 

「なんで鼻血出してんだよ」

「続けて」

「いやでも血が」

「早く!!! 」

「うるせぇ」

 

気を取り直してもう一発。

彼女の放った球は酢昆布の箱に当たり、コルクと同時に地面へ落下する。

酢昆布を受け取った彼女は懐かしむように一枚の昆布を頬張った。

 

「やるじゃない天龍。でも私はこの銃を使わずにあの景品を落として見せるわ」

「おいおい、どうするつもりだよ? 成層圏まで狙い撃つ俺に勝てるのか? 」

「まずスカートを脱ぎます」

「絶対やると思った」

 

その場にあった棒でビスマルクのケツ目掛けてフルスイングする天龍ちゃん。

しかもスカートを脱いでいるからよりダメージが大きい。

思わず私と武蔵君は顔を顰め、急いで彼女の救援へ向かった。

 

「どうしてよ! 今の明らかに振ってたじゃない! ダチョ○倶楽部だったじゃない! 」

「うっせぇ! 竜ちゃんでも初回から脱ぐ訳ねぇだろ! リアクション芸出直して来い! 」

「天龍が言うとすごく納得できるなぁ」

「姉御もシバいてやろうか」

 

直後、何故か私も天龍ちゃんからケツバットを食らう羽目に。

全く理不尽な物である。

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<旅館・提督の部屋>

 

街の散策も終え、そろそろ夕暮れ時となった温泉街はより一層艶やかに彩られ、赤一色に染めあがる。

私は思わず身に纏っていた衣を脱ぎ捨て、生まれたままの姿に――――。

 

「うぎゃあああああああああ!!!! なんて格好してるんですかぁぁぁぁっ!!! 」

「山城君、これは自然と一体化してるんだよ。あと声デカッ」

「早く服着てください変態! ああもう、私が見るのは姉様の裸体だけよ!!! 」

「それには私も同意だ。あと山城君、多分それ君の姉様にも聞こえてるよ」

 

帰ってきて早々山城君に黄色い悲鳴を上げさせてしまうとは。

私もなかなか罪作りな男だ、お詫びに足を舐めよう。

そう思った私は早速山城君の均整の取れた程良い肉付きの脚に飛び込もうとした矢先に膝蹴りが飛んできた。

 

「そうやっていつも姉さまにセクハラを……! 許さないわ……提督……」

「落ち着きたまえ山城君、今の君は清○にしか見えない」

「FG○のやり過ぎです」

 

そんな話はさて置き、ようやく腰を落ち着けた山城君は自分で淹れた緑茶を啜りながら私に視線を向ける。

何か用があってここに来たみたいだが、何か問題でもあったのだろうか。

 

「んで山城君、なんで私のとこに来たの? 夜這い? 」

「源氏の小手が落ちるくらい有り得ないです。……あまり大声では言えませんが、今日の風呂の件で……」

 

今私には山城君がまるで救いの手を差し伸べてくれた天使のように見える。

まさか彼女も風呂覗きに参加するとは正直驚きであった。

山城君は身を乗り出し、小さな声で囁くものだから思わずゾクゾクして股間が勃起する。

 

「……と、言う訳で提督には囮になって頂きたい。その間に私が防水無音カメラで激写します」

「任せておけ。囮役は慣れてる。それよりも山城君、君の横にいるその明石君はどうしたんだい? 」

「あっ」

 

その後、私の記憶はない。

ただ一つ覚えていた事は明石君を怒らせると非常に怖いという事だった。




お久しぶりです。
今回ちょっと少なめです。

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