鎮守府に変態が着任しました。   作:「旗戦士」

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KG『お前さっき私達が着替えている時にチラチラ見てただろ(因縁)』
ZIKK『いや、見てないですよ』
AKG『嘘つけ絶対見てたゾ』

ZIKK『なんで見る必要なんかあるんですか(正論)』

KG『あっお前さZIKKさ、さっきヌッ、脱ぎ終わった時にさ、なかなか出て、来なかったよな? 』

加賀「なんですかコレ」
提督「レズビだ」


提督は弓矢とキスをして終了


第二重産集

<鎮守府埠頭>

 

 「元帥閣下と第一精鋭艦隊、及び遊佐少将と遊撃艦隊と大本営に、敬礼っ! 」

 

翌朝。

酒を浴びるほど飲んだのにも関わらずやけに身体が軽い日のこと、私達はこの鎮守府に来た元帥殿――所謂私の師匠と演習相手の遊佐少将、彼らの率いる艦娘達、それに来賓に来た大本営の上官たちを見送る最中であった。

いくら私と言えどこのような厳粛な場では真面目になる。

けど本当にかったるいなぁ、早く叢雲君の黒スト美脚に踏まれたいよ。

 

「見送りご苦労。今回の演習、両者共に見事であった」

「お褒めに授かり光栄です、閣下。鷹津大将殿も、わざわざご足労頂き感謝致します」

 

「構わないさ。久しぶりに"白狼"の痺れる指揮が見れたんだ、文句はない。それに僕たちにわざわざ寄宿舎を貸してくれたしね」

「いえ、当たり前の事です。本当に、ありがとうございました」

 

私の前に手を差し伸べてきたあごひげの生えたダンディな士官の名前は鷹津征士郎海軍大将殿。

穏やかな面持ちながらも彼の身体には軍人らしい気迫を纏っており、正に理想の上司といった感じである。

 

ああいう大人の色気で若い女の子を落とすのは正直言ってズルい。

私のように健康でムッキムキな体に目が向いてもいいのではないか。

 

「中佐殿。この度は多大なる迷惑と、無礼な言動、申し訳ない」

「いえ、お気になさらず。前線に立つ少将のお気持ちがより良いものになればと思った所存です」

 

「だが、私は謝罪だけでは済まされない。これを、受け取ってほしい」

「これは……? 」

 

目の前に立った遊佐少将が私に何かが入った封筒を差し出す。

3人に一度断っておいてから封筒を開けると、そこには"辺境鎮守府ご一行・温泉宿泊券"と記されているチケットであった。

 

ゆ、遊佐少将……!

まさか私に覗きのチャンスを与えてくれるとは……!

 

「こいつがどうしても"彼に休みを与えてほしい"としつこくてのう。面倒だからお前を明日から3週間程休暇にしてやったわい」

「げ、元帥殿……。ですが、私が休みの間はここをどうしたら」

 

「それは僕に任せてくれ。君たちが休暇の間、僕の艦隊がここを守っておくよ」

「いいのですか? 鷹津大将? 」

 

私の問いに彼は笑みを浮かべながら頷く。

気前も良くてイケメンとか本当に私の勝ち目がない気がする。

 

「それじゃあ、わしらはこれで。せいぜい頑張るんじゃぞ、馬鹿弟子」

「……はい。御足労いただき、ありがとうございました」

 

師匠は遊佐少将より先に送迎の車に乗り込み、後部座席に腰を落ち着けた。

同じようにして遊佐少将も師匠の隣に座り、間もなく車は発車する。

私と鷹津大将はその車を見送ると、彼は早速私に振り向いた。

 

「君は彼女たちに明日から休暇という事を告げてくるといい。話し終えたら、私の元に来てくれないか? 色々と施設の説明を受けたい。あと、君が保護している友好的な深海棲艦とも話がしたいんだ」

 

「……既に耳に入れられていましたか。了解です、ではまた後ほど」

「あぁ。じゃあね」

 

大将殿に別れを告げ、私は車が道の向こう側へ消えていくまで敬礼し続けた加賀さん達の元へと歩み寄る。

何分この鎮守府の艦娘全員が見送りに来ていた為、休暇の件を告げるのには丁度いい。

 

「司令官、あんた大将殿と何の話してたのよ? 」

「あぁ、明日から3週間の休暇が入るって話」

 

瞬間、叢雲君の顔が硬直する。

彼女との会話を聞いていた隼鷹や那珂ちゃんも思わず唖然とした表情を見せ、私は素早くカメラを取り出して彼女達の顔を撮影した。

ふっふっふ、この画像を使ってエロいコラ画像を作る……!

 

「提督ぅ! それマジぃ!? 」

「本当だとも。それに慰安旅行に行って来いって通達もあった」

 

「ヒャッハーッ! 大本営様様だなぁ! 今なら身体売ってもいいぜぇ! 」

「じゃあ私のところに」

 

「いや、流石に異種姦はちょっと」

「誰が異人だコラこのアル中」

 

いくらなんでも人間じゃない扱いはひどい。

下半身を射出したりケツを薙刀で刺されてもピンピンしたりするけど決して化物ではない。

既に休暇の事が知れ渡ったのか隼鷹の背後で阿鼻叫喚の事態となっている。

あ、今テンション上がり過ぎた夕立とビスマルクが海に飛び込んだ。

 

「いや……長期休暇初めてだけど私週二日の休み上げてたよね……? 正直言ってドン引きなんだけど……」

「セクハラに関してはブラック鎮守府だと思う。まあオリョクルない分だけマシだけどね」

 

「そうです提督! あなたセクハラがひどすぎるのよ! 演習の時だけほぼ手を出さないなんて卑怯極まりないですわ! 」

「遊佐少将や鷹津大将に見られたらさすがにクビになっちゃうからね、仕方ないね」

 

「今までセクハラを写真に現像したものがこちらです」

「おいばかやめろ」

 

ゲス顔をしながら鈴谷は大き目の封筒に写真を入れ、鷹津大将が向かった先へと走り出す。

無論の事私は彼女を追いかける羽目となり、決死の表情で鈴谷の後を追う。

 

「待て鈴谷!! それをバラされたら確実に死ぬ! 」

「へっへーん、いつも甲板ニーソをパクってるお返しだよ! 」

 

「パクってない! ただちょっと夜のオカズにしてるだけだ! 」

「余計にキモいよ!? ってかそんなのに使ってたの!? 」

 

思わず自供してしまうのは提督おちゃめポイントだ。

 

「たっ、鷹津大将! 今回は貴方にお伝えしたい事があって来ました! 」

「よせ鈴谷っ! 変態神拳"パンツは脱がす為にある"ッ! 」

 

彼女を後ろから抱き寄せようとするも、私が掴んだのは鈴谷のスカート。

あっ、という声と共に私は反動で一気に彼女のスカートをずり降ろしてしまう。

 

「いっ――」

 

瞬間、鷹津大将が彼女の口を人差し指で制する。

 

「ここで声を上げてしまっては君のその状態を見られてしまう。それは嫌だろう? だからここは静かに、ね? 」

「はっ、はい……」

 

鈴谷は急いで落ちたスカートを元の位置に戻した。

直後鷹津大将の視線が私に向き、私の背筋に悪寒が走る。

 

「中佐。大丈夫かい? 君も派手に転んでしまったようだが」

「えっ、えぇ。大丈夫です。お見苦しい所をすいません」

 

「いいんだよ。元気がある事は良い事だ。それと鈴谷君。僕は何も見ていないよ、安心するといい」

「あ、あっ、ありがとうございます……」

 

鈴谷の顔がみるみるうちに赤く染まっていき、彼女は顔を俯かせた。

彼はそんな鈴谷の様子を見て少しだけ笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、私は先に行っているよ。では、また」

「失礼しました」

 

顎髭を撫でながら、鷹津大将はその場を後にしていく。

何だあのイケメン、男である私も惚れそうになったぞ。

 

「……イケメンだったな」

「うん、果てしなくイケメンだった」

 

「……鈴谷、今日はエメラルドグリーンか」

「提督の性格ってほんと深海棲艦みたいだよね」

 

「止めろ、みなまで言うな」

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<執務室>

 

 

 「中佐。私だ、入ってもいいかな? 」

「どうぞ」

 

数回のノックの後、鷹津大将が白い軍服を脱いだ状態で執務室に入ってくる。

私の隣には普通の私服を纏ったヲ級ちゃんが笑顔で立っており、彼の表情は驚きのものへと変わった。

 

「彼女が、あの深海棲艦の空母ヲ級なのかい? 」

「そうですヲ! よろしくお願いしますヲ! 」

 

ふむ、と言った調子で彼は顎髭を撫でる。

きっと大将の癖なのであろう。

しかしもっと驚くと思っていたが、鷹津大将の表情は落ち着いていた。

 

「俄かには信じがたい光景だ。まさか敵対している深海棲艦がここまで人間と変わりない姿なのはね」

「私も出会った時は驚きましたよ。漏らしましたし」

「漏らしたって……」

 

「あの時は匂いがきつかったヲ」

「止めて! 言わなきゃよかったって後悔しちゃうから! 」

 

現在のヲ級ちゃんの姿は白いワンピース姿である。

無論の事私のリクエストだ。

 

「それで、幾つか聞きたい事がある。いいかな、ヲ級君」

「どうぞですヲ」

 

「まず、君たちが何故人類に敵対するのかを教えてほしい」

 

「うーん……私が生み出された時にその……胸の中で悲しい感情が生まれたんですヲ。寂しいとか、大切な人に会いたいとか。それで陸に上がったら、艦娘と戦う事になってしまった。おそらく負の感情を抑えきれない他の深海棲艦が人類に危害を加えていたせいで交戦する羽目になったと思いますヲ」

 

彼は懐からメモ帳を取り出し、彼女の挙げていく内容を書き記していく。

 

「それで深海を彷徨っていたら……深海側の提督とお会いしたんですヲ」

「……なんだって? 深海棲艦の方にも提督が存在するのか? 」

「はいですヲ。その人は"陸に上がる技術を君に教える"と言って私を連れてきたんですヲ。私が来たときには既に軽巡の子とか、戦艦のル級がいましたヲ」

 

私も初めて聞く深海棲艦の明かされていない真実に耳を傾ける。

確か、ヲ級ちゃんが来た理由は深海棲艦の提督の命令によって来たんだったな。

 

「けど、そこの提督は戦いを望んではいなかったんですヲ。来る日も来る日も鎮守府にいる提督の元を訪ね、攻撃され……の繰り返しでしたヲ。もう駄目かと思った時、ここの提督に出会ったんですヲ」

「なるほど……ようやく君たちの友好性をアピールできるチャンスを掴んだ、と」

 

彼女は頷く。

 

「鷹津大将。これはあくまでも私の推測ですが……深海棲艦は元々艦娘だったのではないかと」

「……うむ。僕も彼女を見て、その仮説を信じる事が出来た。だが、まだ敵対している深海棲艦の理由づけが出来ていない。それについて、何か分かる事はあるかな? 」

 

「多分……それは野良の深海棲艦が知能を持った深海棲艦、いわゆる"棲姫"によって拾われたのが原因だと思いますヲ。あの人たちは自分の沈んでしまった悲しみや無念を、違った形であなた方に伝えようとしてるんですヲ」

 

ヲ級ちゃんの口調から察するに、深海棲艦は轟沈した艦娘が生まれ変わった姿だと断定できるだろう。

彷徨っている深海棲艦たちを深海側の提督が集め、友好的な意思を示そうとした。

それならば合点がいく。

 

「そうか……ありがとう。だが今後も我々は君たち深海棲艦と戦い続ける。君の仲間を傷つける事になるだろう。それに関しては申し訳ない」

「大丈夫ですヲ。もし将来深海棲艦の感情を理解してもらえたのなら、再び沈んでいった子たちも浮かばれると思いますヲ。そのために私は危険を省みずに来たんですヲ」

 

鷹津大将は懐にメモ帳を仕舞い、ヲ級ちゃんと握手を交わす。

上層部の方も彼女をこの鎮守府に捕虜として置く事を許可している為、彼のような上流階級が訪ねられる事を追記しておく。

 

「今日はいい収穫があったよ。今後引き続き、彼女に関する書類を上に送ってほしい。僕はこの事を報告し、より良い未来を作り上げる事を保証しよう。ヲ級君、もし将来深海棲艦と人類が共存できた時は一緒にご飯でも食べよう。僕が奢るよ」

 

「はい! 楽しみにしてますヲ! 」

「ありがとうございました、大将閣下。出口までお送り致します」

 

「いや、ここでいいよ。君も明日から慰安旅行だろう? 艦娘たちを呼んでくるといい」

 

そう言いながら、彼は私に敬礼を見せる。

同じようにして敬礼をした後、ヲ級ちゃんは丁寧にお辞儀をした。

 

「じゃあ、また」

 

鷹津大将は執務室を出ると、深くため息を吐く。

 

「"戦いを望んでいなかった"……か。彼女は紛れもなく、"希望"だね」

 

そんな言葉が、私の耳に聞こえた気がした。

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<鎮守府講堂>

 

 

 そんなこんなで私は全員をこの講堂に集め、私はマイクを片手に彼女たちの前に立つ。

彼女たちは興奮を抑えきれないといった形で絶え間ない話をしていた。

 

「あー、君たちを呼んだのは他でもない。明日の慰安旅行の事だ。今回私達は群馬にある草津温泉へ向かうんだが

、ここで一つの企画を計画した」

「企画?一体何をするっぽい? 」

 

私は夕立の問いに答えるように、講堂のスクリーンにパソコンの画面を映す。

AVが開きっぱなしになっていたのを急いで消すと、私はパワーポイントを起動した。

 

「題して、"移動手段決定戦"だ! ただ移動するのではつまらないからね、こんな企画を発案したんだ」

「移動手段って……どうするつもり? まさか徒歩で向かえなんて言うつもりじゃ……」

「心配ないさ、今から内容を説明するよ」

 

パワーポイントを操作し、一つ目のスライドを表示する。

 

「まず移動手段の項目は6つに分かれている。一番良いのがリムジン、二番目が高速バス、三番目が車、四番目が新幹線、五番目が電車、そして六番目がスーパーカブだ」

 

「スーパーカブってランクダウンってレベルじゃないですよね」

「本当は中型バイクにしたかったんだけどさぁ。危ないからスーパーカブにしたよ」

 

「それで……それを決める方法は何なんでしょうか、提督? 」

「よくぞ聞いてくれた扶桑。決めるのはくじ引きだ」

 

瞬間、扶桑が膝から崩れ落ちた。

 

「姉さまっ!? どうしたんですか!? 」

「終わりよ山城……くじ引きなんて不運に極振りしている私達にとっては死の宣告と同じ意味だわ……まるでタイラントを目前にしてナイフしか持ってないような感じよ……」

 

「大丈夫です姉さま! ナイフでもタイラントとは戦えます! 」

「全部壁に当たってフルボッコだったわ……」

 

「単に下手糞なだけじゃねぇか! 」

 

むしろ壁にぶつかりまくってハンターに即死されられたのはいい思い出である。

それはさておき、電が手を挙げた。

 

「あの……もし私達駆逐艦が車やバイクを引いてしまったらどうすればいいのですか? 私免許持ってないのです……」

「車の時は運転して貰える人に頼んで、バイクの時は二人乗りかな。特にバイクには気を付けるんだよ」

「はいなのです。ありがとうございます」

 

他に質問が無さそうなので早速私は急いで作り上げたくじ箱を取り出し、全員の元へと回った。

まだ見てはいけない事を予め言っておき、全員に配り終えた事を確認した私は講堂の壇上へと戻る。

 

「じゃあ、一斉に開けっ! 」

 

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<翌日・鎮守府埠頭>

 

 

 「んじゃ、先行って待ってるぜ提督」

「あぁ……いってらっしゃい……」

 

そう言いながら私服姿の天龍ちゃんはミニバンの運転座席に乗り、龍田君とそのほかの駆逐艦の子たちを後部座席に乗せると間もなく発進した。

吹雪君や叢雲君も既に高速バスに荷物を詰めており、楽しそうな様子を見せている。

 

「足柄、良かったわね。リムジンなんて乗れて」

「えぇ。私乗るの初めてだもの。霧島の方も興奮してるわね」

「提督、この武蔵は新幹線に乗るまで彼女らの心配は不用と言っておこう。皆の者、そろそろ時間だからいくぞ」

 

武蔵も同じようにして軽巡や駆逐艦の子たちを連れ、最寄りのバス停まで早速向かい始めた。

ほぼ全員の艦娘たちがこの鎮守府を離れたことを確認すると、一人私は駐車場へと歩く。

 

「企画者が結局スーパーカブっておかしいだろ!! 」

「て、提督……まあ落ち着いて……? 」

 

そう言いつつ現れたのはライダースジャケットとスキニーパンツに身を包んだ扶桑である。

どうやら彼女は自前の大型バイクがあるらしく、私が乗るスーパーカブの隣に停めてあった。

 

「ううっ……まるで水曜どうでしょうの四国めぐりみたいだ……。ムカつくから後ろの方にダルマ乗っけよ……」

「だ、ダメですよ! ローに入ってウィリーしちゃうかもしれません! 」

「この際自棄だ! オイシイからウィリーしてやんよぉ! 」

 

閑話休題。

既に私の荷物は宿泊地に送ってあるため、財布や携帯などの最低限の荷物をスーパーカブの荷物置きに入れる。

対する扶桑はヘルメットを被ってからバイクに跨り、エンジンを掛けると凄まじい轟音を鳴り響かせた。

 

「それでは、提督。サービスエリアでまたお会いしましょう」

「あぁ……。って私これで高速乗れないんだけどっ!? 待って扶桑!! 待ってぇぇぇぇぇぇぇ!! 」

 

私の制止も虚しく、扶桑のバイクは瞬く間に消えていく。

しょうがなく私はスーパーカブに跨り、エンジンを点けた。

 

「行くぞ相棒メルセデス! 私が一番先に着くんじゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!! 」




前書き小ネタが過去最長です。

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